なんとも不思議な本である。出だしは、海外赴任していた一家に飼われていた二匹の犬の物語から始まる。両方とも迷い犬で、その家の少年が「チャンス」と「ピンチ」という名前をつけて可愛がっていた。ところが、一家に帰国命令が出て、犬たちとお別れしなければならなくなった。主人のいなくなった家だが、エサは隣の家のお婆さんが面倒をみてくれる。しかし、そのお婆さんが病に倒れてしまう。
ここから先、二匹の犬がたどる道は大きく変わっていく。「チャンス」は家を飛び出し、人間が多く住む都会を目指す。一方、「ピンチ」は元の家の周りをうろつきながら、何とか飢えをしのいでいた。結末をいえば、「チャンス」は野犬の群れのリーダーとなり、「ピンチ」は自分を拾ってくれた老漁師の最期を看取り、後を継いだ漁師の家で静かに暮らしている――。
50頁余りに及ぶ「チャンスとピンチの物語」を前提として、裸一貫でタリーズコーヒー・チェーンを築き上げた松田公太流の人生哲学が披露される。この本の底辺を流れるのは「ピンチのときこそ、チャンスである」という物事の捉え方である。スターバックスという巨人が市場を席巻するなかで、タリーズはどのようにして活路を切り開いていったか。書かれている内容に斬新さはないが、名のある刀鍛冶が鍛えた業物のような切れ味がある。
それにしても、和食と洋食をいっぺんに口にしたような妙な味がする本ではある。(止水)
『チャンスをつかむ人、ピンチをつかむ人』
松田公太著 幻冬舎刊(1200円+税)
ここから先、二匹の犬がたどる道は大きく変わっていく。「チャンス」は家を飛び出し、人間が多く住む都会を目指す。一方、「ピンチ」は元の家の周りをうろつきながら、何とか飢えをしのいでいた。結末をいえば、「チャンス」は野犬の群れのリーダーとなり、「ピンチ」は自分を拾ってくれた老漁師の最期を看取り、後を継いだ漁師の家で静かに暮らしている――。
50頁余りに及ぶ「チャンスとピンチの物語」を前提として、裸一貫でタリーズコーヒー・チェーンを築き上げた松田公太流の人生哲学が披露される。この本の底辺を流れるのは「ピンチのときこそ、チャンスである」という物事の捉え方である。スターバックスという巨人が市場を席巻するなかで、タリーズはどのようにして活路を切り開いていったか。書かれている内容に斬新さはないが、名のある刀鍛冶が鍛えた業物のような切れ味がある。
それにしても、和食と洋食をいっぺんに口にしたような妙な味がする本ではある。(止水)
『チャンスをつかむ人、ピンチをつかむ人』
松田公太著 幻冬舎刊(1200円+税)
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