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2012/10/11 09:18

コラム

[週刊BCN 2012年10月08日付 Vol.1451 掲載]

<BOOK REVIEW>『事故がなくならない理由』

 低タール・低ニコチンのタバコは、本当に普通のタバコより“安全”なのか。GPSを持ち、整備された道を歩いている登山者の遭難が減らないのはなぜなのか──。本書は、人間の心理を考えない安全対策では事故が減らないことを明らかにして、有効な対策を考える啓発の書だ。

 リスク・ホメオスタシス理論では、人間はリスクが低下したと認知すると、危険な行動を取るようになると説明する。ホメオスタシスとは生物学でいう恒常性のことで、外部条件が変化したときに、生物が体内を一定の状態に保とうとする機能だ。これと同じように、危険に対して安全対策が施されたとき、人間は危険が低下したことを認識して、より大きな利益や生理的な快楽を求めて危険な「リスク補償行動」に出る。

 例えば、自動車のアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)。急ブレーキを踏んでもタイヤがロックせず、ハンドルが利いて事故を回避することができる機構だ。これを装着していると、運転者には「ABSがついているから安心だ」という心理が働いて、運転が雑になるというフィールド実験の結果がある。

 こうした安全対策とリスク補償行動がイタチごっこになってしまうと、永遠に事故はなくならない。事故率低減の解は、リスク補償行動を取る個人の「安全への動機づけ」を高めていくことにある。

 リスク・ホメオスタシス理論に対する「安全技術の開発はムダだというのか」という誤解を解きながら、心理学の知見を披瀝する一冊だ。(叢虎)

『事故がなくならない理由』
芳賀 繁 著 PHP研究所 刊(740円+税)

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