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2017/04/19 09:05

コラム

[週刊BCN 2017年04月10日付 Vol.1673 掲載]

<BOOK REVIEW>『ビッグデータの支配とプライバシー危機』

知っておきたい情報化社会のリスク

 日頃からITにかかわっているIT業界の人なら、情報化社会のリスクを熟知していて、プライバシーにも細心の注意を払っていると信じたいところだが、実態は違う。例えば、SNSで子どもの写真をノーガードで晒す人をよくみかける。子どもの写真を晒すリスクについては、深く考えていないのだろう。

 欧州のIT関係者を取材したときに、「紙はいいが、ウェブには私の写真を載せないで」と言われた。日本語のサイトとはいえ、写真と名前で本人が特定されると、「家族に迷惑がかかる可能性がある」とのこと。日本とはずいぶんと違うという印象を受けた。

 ところで、プライバシーとは何かと問われたら、すぐに答えられるだろうか。本書では「プライバシーは他人に知られたくない私事」だと一般論を紹介するのみで、著者の見解は示していない。人によって他人に知られたくない私事が異なるため、定義をめぐる合意が難しいとのことだ。そこで、「プライバシーはなぜ守られなければならないのか」の視点で考察を重ねている。読み終えたときに、家族写真をSNSで公開するのかどうかの判断が変わるのか。公開派の人に聞いてみたい。

 プライバシーに対する考え方は、地域で大きく異なる。例えば、米国のプライバシー権は「自由」に根ざしており、欧州では「尊厳」を基盤にしているという。日本では「他者との関係において私事にあまり立ち入らない」というエチケットが出発点だとしている。SNSでのスタンスがバラバラなのは、人は人ということか。(亭)

『ビッグデータの支配とプライバシー危機』
宮下 紘 編
集英社 刊
(760円+税)

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