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2009/12/03 10:42

コラム

[週刊BCN 2009年11月30日付 Vol.1311 掲載]

商売繁盛の願いを込めて「酉の市」

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【浅草発】11月は酉の市。12日は一の酉、24日は二の酉。今年も熊手を買いました。今年こそと、気合を入れて買いました。浅草の「おとりさま」こと鷲(おおとり)神社に出向いて、もう6年になる。最初は山帰りの足で、ザックを背負ったまま、場違いな格好で、賑やかな酉の市に行った。“八百代”という店で、いちばん小さな熊手を買った。「それでは皆さん、商売繁盛、お手を拝借。よーおぉぉ」、しゃんしゃんしゃん…。こうして、景気をつけてもらい、手に入れた熊手は翌日、役員室にある神棚に飾った。3年前からは“松下”という店で買っている。

▼鷲神社の境内とその周辺は熊手だらけだ。腰の丈ほどの縁台から電柱の高さほどまで、天まで届けといわんばかりに吊り下がっている。熊手に笊。もちろんお金を掻き集めて、笊ですくうわけだ。この熊手は縁起物だ。お客は店の人と丁々発止のやりとりをする。「負けてくれなきゃ買わない」「その値段じゃ、赤字だよ」「その程度の値引きじゃ、買わないよ」「もう、きついねー。それじゃ、商売繁盛のかんざしもつけよう。もうこれ以上はダメ」「よし、買った」。交渉成立した金額を支払い。「商売繁盛! しゃんしゃんしゃん」となる。あちらでもこちらでも、大きな声を張り上げて、境内は三本締めの渦となる。そして帰りがけに、「ご祝儀だよ」と言いながら、元の値段との差額を手渡す。

▼この話を関西に長くいた編集者に伝えたら、「大阪には、えべっさんという商売繁盛の祭りがあって、同じように値切るんやけど、ご祝儀は渡さないですね」。なんとなく、関東の人はお人好しだね、そんなニュアンスが言葉に含まれていた。今回の酉の市でも「はい、ご祝儀」と言って手渡すと、「いいんですか。ありがとうございます」と、ハッピ姿のお姉さんが嬉しそうな顔。聞けば、明治学院大学の学生だとか。「この店の熊手は番台に座っている女将さんの手作りなんですよ」と誇らしげだ。酉の市が終わると、今年も残り1か月。時は正確に刻まれる。(BCN社長・奥田喜久男)

ご祝儀を喜んでくれたアルバイトの大学生。番台に座っている女将さんがせっせと手作りしていた熊手を買った
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