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2009/06/29 11:00

インタビュー

『初音ミク』の生みの親が語る開発秘話
――伊藤博之さん(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社代表取締役)【前編】(1/4)

 音声合成ソフトウェア『初音ミク』――。「未来からきた初めての音」がタイトルの由来という。北海道に本社を構えるクリプトン・フューチャー・メディアの大ブレイク商品だ。歌詞とメロディをパソコンに入力すれば、仮想の歌手「初音ミク」が合成音声で歌ってくれる。コンピュータと音の接点をベースに、お客様に喜んでもらえるソフトウェアを追求し続ける伊藤さんに、起業当時のエピソードをはじめ独自のビジネス観などについて熱く語っていただいた。【取材:2009年5月15日、BCN本社にて】

プロフィール

伊藤 博之(いとう ひろゆき)

 1965年、北海道生まれ。北海学園大学経済学部卒業。北海道大学に職員として在籍後、1995年、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社を札幌市に設立。効果音やBGM、携帯電話の着信メロディなど、音に特化した事業を展開。2007年音声合成ソフト『初音ミク』を発売、大ヒット商品となる。北海道情報大学客員教授。


 「千人回峰」は、比叡山の峰々を千日かけて歩き回り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借しました。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れることで悟りを開きたいと願い、この連載を始めました。

 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
株式会社BCN 社長 奥田喜久男

<1000分の第41回・前編>

※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。

 奥田 伊藤さんは今すごく有名でいらっしゃるけど、あまり表には出てこられないですね。

 伊藤 いやあ、有名じゃあないですよ。まあ、表に出てこないというのは、地理的に東京ではなくて、札幌だってところも大きいでしょう。それに、雄弁に語るというのが不得意ですし…。仕様書を書いてシステム設計するというのが性に合ってるんでしょうね。

 奥田 経営もしっかりとやっておられる。

 伊藤 でも、典型的な経営者タイプというのではないですし、クリエイターとか物を作っていく側の立場が合っているんでしょうね。だから外に出る機会は、そんなに多くはありません。 

コンピュータと音楽の接点

 奥田 創業されたのは?

 伊藤 1995年の7月です。いきさつから話しますと、会社を創る前は大学の職員をやっていたんです。公務員試験を受けて、ごくごく普通の就職でした。

 奥田 勤務先は北海道大学でしたよね。

 伊藤 ええ、そうです。それで就職して、赴任した職場が研究室だったんです。高校を出て、公務員試験を受けて入ったのですが、研究室ってところは初めてでしたし、最初はちょっとカルチャーショックというかギャップを感じましたね。でも、自由な雰囲気のある職場でした。実際の仕事は学生と一緒に“研究ごっこ”をしているというような感じもありましたね。学生はみんな同年代でしたし。

 奥田 どんな学科の研究室だったんですか。

 伊藤 工学部の精密工学科っていうところでした。職員もどんどん研究をやりなさいというような雰囲気で、ちょっと珍しい職場だと思います。そういう環境でしたから、私の前任の先輩も後輩も職員から大学の先生になっています。私も今、北海道情報大学で客員教授として教えています。そういった自由な気風がありましたね。

 奥田 そこでコンピュータにも出会われた。

 伊藤 そうです、そのあたりからですね。それで、職員ですから異動がありまして、大学の電算管理システムをやるようなセクションに移って、プログラムなんかも本格的にいろいろ覚えていきました。

 奥田 音との係わり合いは?

 伊藤 幼い頃から音楽が好きで、大きくなってからは趣味でギターを弾いていました。仕事では当時流行り始めたコンピュータをやっていて、趣味で音楽をやっている。つまり、コンピュータと音楽の接点にいたわけです。そうした自分が興味を持ち始めたのが、コンピュータで音楽をつくっていくということだった。マルチメディアパソコンの出始めの頃ですね。大学の研究室にもあって、それを使って音楽というか音をいろいろと加工してつくっていました。

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