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2011/05/27 11:00

インタビュー

10年も経てば、日本人が中国へ出稼ぎに行く
――中原 秀樹さん(経営塾副会長)(1/3)

 『財界』から『経営塾』と、ビジネス誌の第一線で長年にわたって活躍中の中原秀樹さんとは古くからの仲間だ。中国ビジネスの黎明期のことや、印象に強く残る経営者など、過去・現在・未来を縦横に行き交いながら、最前線だからこそ見えるさまざまな局面での経営者の素顔や時代の流れなど、興味尽きない話の数々をうかがった。【取材:2011年3月31日 BCNオフィスにて】

プロフィール

中原 秀樹(なかはら ひでき)

昭和19年6月生まれ、45年中央大学文学部哲学科卒。同年4月、日刊工業新聞社入社、編集局記者を経て昭和51年、経営評論家の三鬼陽之助が創立した財界研究所に編集部記者として入社。臨時増刊号副編集長を経て昭和62年、経済評論家の針木康雄が手がけた『月刊経営塾』(現在の『月刊BOSS』)の創刊に参画し、初代編集長。常務、専務を経て平成8年10月、社長に就任。同19年6月から副会長・論説委員長として現在に至る。

「日本人の感覚で国内と同じように中国に展開したら、ちょっと難しいと思うね」と、中島さんはヤオハンの事例をもとに語る

 「千人回峰」は、比叡山の峰々を千日かけて歩き回り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借しました。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れることで悟りを開きたいと願い、この連載を始めました。

 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
株式会社BCN 社長 奥田喜久男

<1000分の第52回>

※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。

幸之助さんのアドバルーン

 奥田 まず、中国の印象的な話や中原さんの考えなどを聞かせていただきましょうか。

 中原 中国といえば、一番はやはり松下幸之助さんですね。松下さんは1979(昭和54)年に訪中されて、「これからは中国の時代だ。太平洋の時代だ」とおっしゃった。今から30年前にですよ。

 奥田 その頃、中原さんはどちらにおられたんですか。

 中原 『財界』の電気担当の記者をやっていました。あの当時の中国って言ったって、まだパワーが感じられる片鱗もないし、閉鎖的だったし…。

 奥田 松下幸之助さんは、そんな時代にどうしてそうおっしゃったんでしょうか。

 中原 彼は戦前にすでに上海に進出していた。だから何かを感じたんだろうね。それで、日本に帰ってきて、「中国の時代だ」とマスコミにしゃべったんだけど、その時の反応というのは、世間も財界もすこぶる冷淡だった。何を言ってんだって感じで。

 当時の幸之助さんの主旨は、産業界としてもこれからの中国に技術的な支援だとか資本の支援というものをもっと積極的に行うべきだとアドバルーンを上げたんだと思う。ところが、みな冷淡だったね。新聞も雑誌も、鼻であしらうなんてことはなかったけど、何を言っとるんかねって感じだった。

 奥田 当時の松下幸之助さんはまだ力があった頃でしょう。

 中原 相談役にはなっていたけど、まだまだ力があった。でも、せっかく産業界を挙げて中国を応援しようとした松下幸之助さんのアドバルーンがぽしゃっちゃったわけだ。

 あの頃を知っている人って誰だろう。現役の経営者はほとんどいないね。ソニーの盛田さんも亡くなっちゃったし、電気メーカーのトップは誰もいないね。

 奥田 その辺も記事にされたんでしょ。

 中原 同僚が書いたんだけど…。今、思い出した。夏の花火に終わった松下幸之助の何とかっていう見出しだった。

 奥田 雑誌の見出しが?

 中原 そう、どーんと。

 奥田 それはまた、涼しげなタイトルですね。

 中原 そういうなかでも、なるほどおっしゃる通りだと腰を上げたのが三洋電機の井植薫さんでした。彼自身が戦前、松下電器の時代に中国の工場に赴任していたことがあって、だから中国への思い入れがあったんでしょうね。それで、井植さんが積極的に動いたんじゃなかったかな。

 それ以後、中国というものが産業界あるいは財界を挙げて積極的に動き出したっていうことはなかったね。法律なんかが中国側に整ってなかったし、社会主義の国だし。

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