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2011/07/19 15:54

インタビュー

中国が栄えれば、必ず日本も栄える
――浦 聖治さん(クオリティ代表取締役社長)(1/3)

 いただいた名刺を見ると、刷り込まれたフレーズが目に飛び込んでくる。「Think Global ,Act local」。そこに浦さんが目指すことの根本がみえる。広い世界に飛び込んでいきたいという志が、米国・中国・韓国へと彼を雄飛させたのだろう。海外進出の構想はますます膨れ上がる。今回は中国に焦点を当て、進出の成否を決定づける思考法や要因についてうかがった。【取材:2011年5月20日 東京・南青山の「たまな食堂」にて】

プロフィール

浦 聖治(うら きよはる)

1952年、和歌山県生まれ。73年3月、国立和歌山工業高等専門学校電気工学科卒業。同年4月、パイオニア入社。カーステレオ事業部にて生産技術業務に従事。米国勤務。81年2月、同社退職。同年9月、マイクロシステムズ入社。プロダクトマネージャ兼テクニカルライターとしてソフトウェア開発に携わる。83年9月、同社退社。84年2月、クオリティサービス(現クオリティ)を設立、代表取締役に就任。

「中国から日本にお金を持って帰りたいと考えたら、成功しないんじゃないか」と、浦社長は中国でのビジネスの秘訣を述べた

 「千人回峰」は、比叡山の峰々を千日かけて歩き回り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借しました。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れることで悟りを開きたいと願い、この連載を始めました。

 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
株式会社BCN 社長 奥田喜久男

<1000分の第55回>

※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。

絶対に世界に出る

 奥田 中国への進出には、どんなきっかけがあったのでしょうか。

 浦 私の心の底には、もともと「世界」があるんです。和歌山県の突端の串本で育ち、太平洋を望みながら、絶対に世界に出るんだと子どもの頃から思っていました。中国に決めたのは、何といっても広大であること、それに13億の人口もすごく魅力的でした。

 奥田 進出されたのは、何年のことですか。

 浦 2002年の10月です。よそ様と同じように最初はリソースとして使おうと。日本の開発を手伝ってもらうということですね。ただ、それだけでは面白くないですから、ゆくゆくは販売もしたいと思ってました。

 奥田 クオリティを設立されたのは何年でした?

 浦 1984年で、93年の10月までは翻訳会社でした。その年の12月から縁があってアップルのソフトを手がけるようになって、ソフトウェアの販売会社になったんです。

 奥田 そこから、どう中国につながっていくのでしょうか。

 浦 98年頃から中国へ進出したいと考えるようになりました。

 奥田 そう思うようになった理由は?

 浦 92年に当社に入社した上海出身の女性がいまして、その彼女と98年に中国に行きました。そこで彼女の知人・友人に歓待してもらいましたが、みんなビジネスの第一線で活躍している方なんです。こんな人たちがいるのなら、リスクがあるけどやってみようかと思ったわけです。

 奥田 最初は何の仕事だったんですか。

 浦 同時使用ライセンス管理ソフト「KeyServer」の開発です。

 奥田 海外指向が強くて、知人に中国人がいた、その方たちが上海にいて、それで上海で開発のリソースを始められたという流れですか。2002年といえば、中国ブームの第二弾の頃で、環境が整っていたわけですね。でも、苦労もされたんでしょう。

考え方が違うのは当たり前

 浦 2002年から06年までは、中国で開発をやっていました。日本で手がけていた細かい部分の開発とかですね。ところが、やっぱり日本と中国の人との考え方の違いや、品質に対する感性がかなり違うんです。中国ならまったく問題にならないことも、日本のお客さんだと絶対にダメだと言うから、われわれのテストチームも中国の開発者に厳しく指導することになる。そこのところで上海と日本でかなりやり取りしました。

 奥田 日中の考え方の違いと品質に対する感性の違いの二つを挙げられましたが、具体的には?

 浦 例えば日本だと、ある商品を買って、自分が使わない機能であってもうまく動かなかったら文句を言いますね。中国ではたぶん言わないです。自転車でも日本では新品はピカピカでキズひとつありませんが、中国ではそんな細かく気にしません。

 奥田 なるほど、そういう面はありますね。

 浦 考え方の基本が違うんです。だから中国人にも、日本ではこうだからというところをある程度理解したうえで仕事をしてもらっています。和歌山の白浜にテストセンターがありますが、中国の人にもそこに来てもらい、テストセンターの基準とか、テストに対する考え方を身につけさせています。

 奥田 日中の商慣習の違いや考え方の違いがハードルだとよく聞きますが、それはどの国でも同じじゃないですか。日米でも日仏でも日独でもね。でも、どうして日本人は、日中の問題にだけ、考え方の違いや品質の違いを強調するのでしょうか。

 浦 違いは日本と中国の間だけではないと思いますよ。今、とくに日中でのやり取りの件数が多いから目立つのではないでしょうか。私は、これからソウルにも力を入れようと思っています。

 奥田 韓国も考え方が違いますよね。

 浦 品質に対する感性では、韓国と中国は似ていると思います。例えば、韓国でよくいわれるのは、「そんなの、直せばいいじゃないか」ですね。日本なら、急いで納品してバグが出たら、「客にテストをさせるのか!」って怒られますが、韓国ではバグが出ても、すぐに直して持っていけば許してくれます。中国もそれに近いですね。

 奥田 それが世界のスタンダードとは思いませんが、考え方が違うのは、どこの国も当たり前なんですね。

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