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2015/04/23 09:24

インタビュー

[週刊BCN 2015年04月20日付 Vol.1576 掲載]

【BCN ITジュニア賞10周年記念企画】《 歴代受賞者座談会 》ぼくたちの確かな歩みが後輩や先生方へのエールになる(上)

 「BCN ITジュニア賞」は、今年で10回目の区切りの年を迎えた。最初は不安だった。学校が表彰式への参加を許してくれるのか。平日に先生と子どもたちを招くわけだから、ハードルは高かった。それでも地道な説得の甲斐があって、鳥取県米子市で高専プロコンが開かれたときだったか、高専の校長会で「わかりました。子どもたちを参加させます」と言っていただいた。山が動いた、と思った。回を重ね、IT教育に真正面から取り組む多くの先生方と、教えに応えて熱心に学ぶ子どもたちに巡り合うことができた。その出会いのすべてに感動があって、多くのエネルギーをもらった。今日は歴代の受賞者に来ていただいた。受賞したときのことや先生のこと、そしてそれぞれの今を語ってもらおう。(司会・進行 奥田喜久男 BCN会長兼社長 NPO法人ITジュニア育成交流協会ファウンダー  構成・谷口 一  写真・津島隆雄)

前列左から、大城泰平さん(BCN ITジュニア賞 2012)、秋山貴俊さん(BCN ITジュニア賞 2008)、高橋勲さん(BCN ITジュニア賞 2007)、山崎将平さん(BCN ITジュニア賞 2008)、折川祐耶さん(BCN ITジュニア賞 2009)さん、佐々木康汰さん(BCN ITジュニア賞 2014)。後列左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、高橋文男理事長、奥田喜久男BCN会長兼社長/ITジュニア育成交流協会ファウンダー、ITジュニア育成交流協会の市川正夫理事(事務局長)

心に響く人生の匠たち

 「千人回峰」というタイトルは、比叡山の峰々を千日かけて駆け巡り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借したものです。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れたいと願い、この連載を続けています。

 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。

株式会社BCN 会長 奥田喜久男

<1000分の第134回(上)>

※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。


BCN ITジュニア賞 2008 受賞
秋山貴俊さん

岐阜県立東濃実業高校卒業。第28回U-20プログラミング・コンテスト 団体部門で、経済産業大臣賞を受賞。現在、アクティブ・ワークのCDS部に勤務。


BCN ITジュニア賞 2007 受賞
高橋勲さん

鈴鹿工業高等専門学校卒業。第17回全国高等専門学校プログラミングコンテスト自由部門で文部科学大臣賞を受賞。現在、楽天のトラベルサービス開発・運用部勤務。


BCN ITジュニア賞 2008 受賞
山崎将平さん

富山県立富山工業高校卒業。第28回全国高校生プログラミングコンテストで優勝。現在、富山県立ふるさと支援学校教諭。


BCN ITジュニア賞 2009 受賞
折川祐耶さん

富山県立富山工業高校卒業。第29回全国高校生プログラミングコンテストで優勝。現在、富山ダイハツの魚津店サービス課勤務。


BCN ITジュニア賞 2014 受賞
佐々木康汰さん

宮城県工業高校卒業。第34回U-20プログラミング・コンテスト団体部門で経済産業大臣賞を受賞。現在、さくらインターネットのインターネットサービス部に勤務。


BCN ITジュニア賞 2012 受賞
大城泰平さん

久留米工業高等専門学校卒業。第22回全国高等専門学校プログラミングコンテスト 競技部門で文部科学大臣賞を受賞。現在、東京大学工学部計数工学科に在学中。


確かな足取りで歩む それぞれの道

奥田 BCN ITジュニア賞は、今年で10回目を迎えます。区切りの年ということで、歴代受賞者のなかから6人の方々に集まっていただきました。まずは皆さん、近況とITジュニア賞受賞時の印象などを話していただけますか。

秋山 ぼくは2008年の受賞で、その当時は岐阜県の東濃実業高校の3年生でした。現在は、ITのシステム構築などをやっているアクティブ・ワークで働いていて、3年目になります。仕事はシステム開発でそれを2年くらいやって、今は開発リーダーの見習いという立場です。

奥田 受賞したときの印象はどうでしたか。

秋山 大きな会場で表彰されて、緊張していたのは覚えているんですが……。

高橋 2007年の受賞で、鈴鹿工業高専の4年生でした。高専卒業後は、専攻科と大学院の修士課程を終え、現在は楽天でトラベル事業のウェブサービスのエンジニアをやっていて、コーディングから詳細設計の工程を任されています。兼務で、部署内のテクニカルスキルを向上するためのチームリーダーも務めています。受賞当時は、自分たちがつくったものを評価されるということがなかったので、「これで受賞していいのかな」というのが、正直な気持ちでした。でも、先日、受賞したプログラムを走らせてみたら、「こんなにすごいものをつくったっけ」って、「昔のほうがすごかったんじゃないか」と思いましたね(笑)。

山崎 私は2008年の受賞です。富山工業高校の2年生でした。現在は富山県立ふるさと支援学校という、病弱な子どもたちの教育を行う学校で教員をしています。ふるさと支援学校は総務省のフューチャースクール推進事業という実証研究の実証校の一つで、ICT機器を活用した教育を行っていくもので、現在はこの活動に携わっています。受賞したとき、まわりの受賞者のレベルがすごく高くて、びっくりしたことをよく覚えています。

奥田 折川さんも同じ富山工業高校ですね。

折川 2009年の受賞です。山崎先輩の1学年下でした。富山工業は全国高校生プログラミングコンテストで2年連続優勝して、ITジュニア賞も連続していただいたのですけれど、パソコン部には情報技術科の人が多いなかで、ぼくは機械科でした。いまはパソコン関係から離れて、ダイハツ工業でエンジニアをしています。

佐々木 私は2013年の受賞で、宮城県工業高校の2年生でした。現在は、さくらインターネットのインターネットサービス事業部で技術職に就いています。新しいサービス開発を担当しているのですが、まだ1年目なので、毎日が勉強で非常に忙しい状況です。受賞は昨年のことなので記憶も新しくて、やるだけのことはやったという達成感と、受賞の際の喜びをよく覚えています。

大城 2012年に受賞して、久留米工業高専の4年生でした。現在もまだ学生で、東京大学で勉強しながらベンチャー企業でプログラミングのアルバイトをしたりしています。ぼくは競技部門での受賞で、競技は戦いなので、他校がどう戦略を練ってくるかわからない状況で、自分たちが半年間やってきたものが本当に通用するのか、成果が出るのか不安だったんですけれど、実際にやってみて、勝って安堵したことを一番よく覚えています。

自己肯定感が増して成長できる

奥田 ITジュニア賞の表彰式はBCN AWARDと同じ場ですから、日本を代表するIT関連メーカーのそうそうたる面々の前で表彰されたわけですが、その時の印象は、皆さんの人生のなかでどのように心に刻まれているのですか。

高橋 自分たちのプログラミングとかものづくりは、仲間うちでしか評価できないので、初めて外から評価されたときは「思っていたよりも評価が高いな」って思いました。チームのメンバーもそうでした。だから、生徒・学生は自己評価が低い子が多いのかな、と思ったりしています。

山崎 私は自己肯定感が高くなかったんですけれど、受賞したときは「あれ、自分は意外にできるじゃないか」と思いました。大学を出て、IT業界に行こうかな、と思っていたんですが、教員になって、今度は教え子たちに受賞させたいと思っているところです。

奥田 今の職場でもそれはできるのですか。

山崎 病気の関係で、子どもを外に出すというのが難しいところもあります。でも、優秀な子はたくさんいます。先ほどの自己肯定感の話ではないですけれど、病気の子どもたちって、いい力をもっているのに自分自身の評価を低くする子が多い。もし、外部から高い評価を受ければ、自己肯定感はすごく伸びると思います。

大城 ぼくは、基本的に全部延長線上にあると思っています。大会に向けて自分が一つのことに打ち込んでいて、それが結果として実って評価され、大会が終わってからは大学への編入試験の勉強があって、それも半年くらいの積み重ねで、また実ってつながっていく。そういう自己肯定感というのは、自分の成長にもつながっていると思いますね。

奥田 大会に向けて、当時どんな準備をしたんですか?

大城 大会の問題は主催校の先生がつくられるので、その先生の論文を漁ったりとか……。

高橋 やっぱり、最新のアルゴリズムを勉強したり、論文を読んだりしているんですね。

大城 しますね。そのためには英語も大事です。

高橋 英語は大事ですね。日本語の情報も増えてはいるんですけど、新しい技術とかプログラミング言語が出たときって、ほとんどが英語の資料ですから。

奥田 折川さんはどうですか。

折川 受賞したのは6年前なんですけど、コンテストで賞をいただいて、達成感はありました。ただ、「自分はここまでだな」と思って、いまは別のやりたかったことをやっています。それでも、やっぱり大会で優勝した、ITジュニア賞をいただいたというのは今も心の支えになっていて、仕事の励みになっています。

奥田 ITジュニア賞が一つの役割を担っていて、われわれも自信をもっていいわけですね。

高橋 あの表彰式ってすごく大事だと思っています。BCN AWARDでNo.1に輝いた企業の方がいらっしゃる前で賞をいただくということは、気合をもって賞をくれたんだなというのが、目に見えてわかるんですよね。それがすごく大きかったですね。

奥田 そう言っていただけるとうれしいですね。(つづく)


BCN ITジュニア賞とITジュニア育成交流協会

 BCNは、技術立国日本の次代を担う若い世代にものづくりの情熱を伝え、IT産業に一人でも多くの優秀な人材を招き入れるために、2006年に「BCN ITジュニア賞」を創設し、毎年1月に若きITエンジニアの卵を表彰式に招待しています。ITジュニア育成交流協会は、全国のITコンテストで優秀な成績をおさめた、すぐれた技術をもつITジュニアの皆さんを「BCN ITジュニア賞」の候補者として推薦し、表彰式の運営も担っています。

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