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2012/01/26 09:28

インタビュー

[週刊BCN 2012年01月23日付 Vol.1416 掲載]

中国でも感謝されるビジネスを
大塚商会(上海) 董事/総経理 岩宮 宏

 大塚商会はオフィスや事務所など、法人向けにビジネスを展開している。昨年の7月17日には創業50周年を迎えた大塚商会。創業以来、変わらないのが『サービスに勝る商法なし』という大塚イズムだ。きめ細かく中小企業をお手伝いする「街の電器屋さん」のような存在を常に目指している。その大塚商会、中国ではどのようにマネジメントを行い、業務を展開しているのか。興味津々だ。岩宮宏・董事/総経理にお話をうかがった。(本紙主幹・奥田喜久男/構成・谷口 一)

Profile

岩宮 宏(いわみや ひろし)
1964年生まれ。47歳。今年2012年は、ちょうど自身の干支「龍」の年。獨協大学卒業後、1988年大塚商会入社。大塚一筋で、営業畑から管理職、本社勤務。2003年海外プロジェクトに配属。2005年、欧智卡貿易(上海)有限公司総経理職。2006年、欧智卡信息系統商貿(上海)有限公司の董事/総経理職に就き、現在に至る。

2011.11.25/中国の大塚商会(上海)オフィスにて

「石橋を叩いても渡らない」が変わった

 奥田 まず、大塚商会(上海)の陣容から教えていただけますか。

 岩宮 全体で80人で、うち10人が日本人です。マネージャーは全体で11人います。

 奥田 マネージャーはすべてが日本人ですか。

 岩宮 いえ、2人が日本人で9人は中国人です。

 奥田 ほう。そこまでもっていくのに、いろいろと苦労されたのではないでしょうか。大塚商会(上海)は何年にこちらに進出されたのでしょう。

 岩宮 2003年の4月に会社登記をしています。現在、上海法人の会長で本社の取締役である鶴見裕信が立ち上げました。しかしその年は、例の新型肺炎SARSの問題で大変な苦労をしたと聞いております。

 奥田 岩宮さんは何年にこちらへ赴任されたのですか。

 岩宮 駐在は2004年からです。すでに鶴見は台湾も立ち上げていましたから、上海は鶴見の経験とノウハウをベースにして、かたちになってきていました。

 奥田 それで、岩宮さんは2005年に上海の総経理に就任されたとうかがっています。現地の中国の人たちをまとめるわけですから、マネジメントは大変だろうと思いますが……。

 岩宮 何とか中国人の特性を生かすようにと心がけています。将来的なことを考えれば、中国の人たちは会社に居続けてくれるわけですから、対応をきちんとすればするほど、彼らも会社に対する帰属意識をしっかりともってくれます。

 奥田 対応というのは、具体的には?

 岩宮 しっかりとしたルールと評価をもとにマネジメントすることです。

 奥田 ものごとの進め方ということですね。

 岩宮 そうです。私は、「石橋を叩いても渡らない」タイプだったのですが、こちらに来て少しずつ変わってきたと思います。

 奥田 第一次南極越冬隊長の西堀栄三郎さんが著わした、部下の能力を伸ばす方法や新しい取り組みに対する心構えなどを説いた『石橋を叩けば渡れない』という本がありますが、まさにそういう方向に転換されたということですか。

 岩宮 考え方の基本は、大塚商会のなかでダメなこと、日本で考えてダメなことは絶対にやらないというのを根本に据えて、進め方については、現地に合わせたほうが得策だと思うことは、スピードをもって決裁するというようにステップを変えていったんです。

 奥田 ルールは守り、手法を変えるということですね。

 岩宮 法的なこと、コンプライアンスを守って、中国では難しいといわれる売掛金の回収も未回収は一件もありませんが、そういうところは石橋を叩きながらやっていって、ものごとの進め方や判断、選択は少しこちらのモードに合わせる、と。

 奥田 案件によっては、中国に合わせた手法をとるということですね。

 岩宮 当然ながら、決定は上司の鶴見に事前に報告・相談して決めますが、徐々にですが権限も委譲していただいています。ですから、自分の決裁範囲内で、できる限りスピードを上げて対応しています。とくに今、中国ではスピードが大切だと感じています。

現地でどれだけお客様の役に立てるか

 奥田 実際の業務はどんなふうに進めておられますか。

 岩宮 新たなお客様を開拓していくために、2008年に、上海だけでなく蘇州と大連に拠点展開を始めました。今度は私自身が、離れて見えない部下に対して、どれだけ信頼をおいて任せることができるかということです。そのためには、先の目標や方向を同一にするコミュニケーションがとれているかどうかが肝心だと思います。そうやって徐々に教育していくというか、お互いが教育し合うというか、そういうなかで人間関係ができあがってくると思います。一歩一歩確認しながらですけどね。

 奥田 中国でのビジネスも、やはり人ありきということでしょうか。

 岩宮 そうです。人あっての組織であり、組織あっての人だと思います。人対人の信頼関係、そこは中国でも同じことだと思います。2009年から蘇州のトップは中国人ですし、大連のトップも2011年から中国人です。両方ともうまく機能していると思います。

 奥田 大塚商会さんの中国での事業計画なども教えていただけますか。売り上げについて、計画ではどのくらいの割合で引き上げていくことになっていますか。

 岩宮 売り上げは、毎年20%アップを念頭に置いています。しかし売り上げの拡大だけでなく、お客様の数を増やすことが大事だと私は考えています。今、中国での取引社数は1700社なのですが、そのうち保守契約を結んでいただいているお客様が600社になりました。2010年は400社でしたから、増加したのですが、3年以内に1000社にするのが、本社サイドからも期待されている大きな目標です。

 奥田 保守契約とは、つまりストックビジネスですね。

 岩宮 そうです。これでベースができますので、お客様の満足度を高めながら、大塚商会の保守サポート件数を増やしていく。ただ単に売り上げを伸ばすだけでは、本社にも認めてもらえないと思います。大塚商会が中国にいて、頼られているんだ、必要とされているんだということが、売り上げを伸ばすことよりも重要なことだと思っています。私はそこに目線をおいています。

 奥田 保守契約が1000社といいますと、取引社数はどのくらい増えるんでしょうか。

 岩宮 3000社、今の倍の水準ですね。その一社一社のお客様を大切にして満足度を高めることに尽きると考えていますし、これは他社に真似できないことだと思います。

 奥田 大塚イズムですね。

 岩宮 現地でどれだけ役に立つか、役に立っているか。そのことが大切だと思っています。一軒一軒訪問して大塚ファンを増やしていく。私が新人の時に上司に指示された、ノート1冊でもいいから取引口座をつくれ、という大塚商会の商売。中国でもやることはまさに一緒です。今、上海の2か所と蘇州、大連、広州の5拠点を基点に、感謝されるビジネスを目指して汗を流しているところです。

 奥田 今日は、上海で大塚商会の強さの秘密をまた教えられた気がします。お忙しいところありがとうございました。

なぜ、「智」の字なのか?


現地社名が、「欧智・信息系統商貿(上海)有限公司」だから、その真ん中の文字「智」を、中国で超有名な書家が書いてくれたそうだ。智恵が詰まっている気がする。


インタビューこぼれ話


 このシリーズ企画のインタビューを行っている最中に思う時がある。今のこの熱気を読者の皆さんにそのままリアルタイムでお伝えしたい、と。2004年に駐在してから足かけ8年、この間の中国法人総経理としての歩みをじっくりお聞きするうちに、岩宮さんの身体から熱気がほとばしってきました。(奥田)

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