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2012/08/30 09:26

インタビュー

[週刊BCN 2012年08月27日付 Vol.1445 掲載]

商品にはこだわらない。どんなコンセプトでどう売るかが重要だ
テンダ代表取締役社長/ユニファイジャパン代表取締役社長 小林 茂

 英語が堪能で、海外でのビジネス経験が長い小林茂さんだが、現職に至るまではいわゆる“IT”とはまったく異なるビジネスに携わっていた。いうなれば、ITのユーザーからITを提供する側に転身したことになる。経営者としてのこれまでの豊富な経験、現在に至るまでの経緯、そしてIT企業の社長としての思いと今後の展望をじっくり聞かせていただいた。(本紙主幹・奥田喜久男/構成・小林茂樹/写真・大星直輝)

Profile

小林 茂(こばやし しげる)
1946年11月8日広島県生まれ兵庫県芦屋市育ち。関西学院大学卒業後、エールフランスに入社。その後、三洋電機在職中に社費でボストン大学経営大学院に留学、MBA取得三洋電機AV事業本部で経営企画を担当(携帯電話の世界戦略を練る)。ユニデン取締役、ユニデンと中国との合弁会社社長、ノードソン日本法人の社長、投資ファンド会社を経て、2011年4月、ユニファイジャパンの社長に就任。2011年10月からは、テンダホールディングス取締役。2012年6月からはテンダの社長を兼任。2011年7月米国サンフランシスコ州立大学客員教授に就任。

2012.6.5/東京・豊島区のテンダホールディングスのオフィスにて

これからは英語が必須になるはずだ

奥田 ビジネスに関するお話の前に、小林さんのプロフィールをうかがいたいのですが、ご出身はどちらですか。

小林 兵庫県の芦屋です。

奥田 お坊ちゃんじゃないですか。

小林 いやいや、親父が灘の酒造会社に勤めていましたので、そこにいただけです。

奥田 だからお酒が好きなんですね。

小林 そんなことありませんよ。それほど強くないですし(笑)。関西学院大学を卒業して社会人になって、三洋電機に勤務していたときに、ボストン大学の経営大学院に派遣してもらいました。今でいうMBAですね。私の場合はビジネス経験があるので、エグゼクティブコース。受講生のほとんどが、アメリカの大企業の副社長クラスでした。

奥田 三洋電機には、大学新卒で入社されたのですか。

小林 いや、最初に入ったのはエールフランスの大阪支店です。学生時代から私は「英語をやりたい、海外で働きたい」と思っていました。あの頃は、英語を話せる人はそんなに多くありませんでしたし、これからは絶対に英語が必要になると踏んでいたんです。そこで、大学ではESS(English Speaking Society)に入りました。それまではまったくしゃべれなかったのですが、ESSに入って鍛えられて、2年間でだいぶ話せるようになりました。

 当時、英会話学校のECCが創業した頃で、大阪の北区に梅田校ができたのです。その学校がアルバイト講師を募集しているというので、試験を受けてみたら通りまして、大学3年生から4年生にかけてはECCでずっとアルバイトをしていました。そのほかには、国際観光振興協会のグッドウィルガイドの試験にも受かって、そのボランティア活動もやっていました。だから日本人のガールフレンドはほとんどいなくて、外国人ばっかりでした(笑)。

奥田 その英語とか留学という発想の先には、どんなことをやりたいという思いがあったのですか。

小林 外国人と対等にビジネスをしたいと思いました。とくにコンプレックスはありませんでしたが、アメリカへのあこがれは強かったですね。

奥田 三洋電機に勤務しているときに留学を認められたということは、まさに期待の星だったわけですね。

小林 そういわれれば、そうですね。帰国してすぐに「携帯電話の世界戦略を練るように」と命じられましたから。それが90年代の前半です。そこでヘッドハンティングされてユニデンと中国との合弁企業の社長になり、コードレス電話事業や、携帯電話事業などを中国で展開したりしました。ところが、そんな時期に阪神淡路大震災が起きたのです。

奥田 1995年のことですね。

小林 私には子どもが3人いますが、それまで海外駐在ばかりでわが子の成長の節目になかなか立ち会えませんでした。当時、家族が神戸にいて震災に遭ったこともあり、これからはできるだけ国内でビジネスに携わっていきたいと思うようになったのです。そんな折、またヘッドハンティングの話があり、ノードソンというアメリカの会社の日本法人の社長になりました。

奥田 ノードソンはどんな会社ですか。

小林 接着、コーティング、シーリングする機械をつくっているメーカーで、日本企業の製造部門にはほとんどといっていいほど導入されています。とくに包装機械に関しては、90%のマーケットシェアをもっています。

ビジネスに必要なのはイメージづくり

奥田 ここまでお話をうかがっていると、小林さんにとって、取り扱う商品やサービスは何でもいい、という感じがしますが……。

小林 私には、商品へのこだわりはまったくありません。ただし、自分の頭のなかでマーケティングのプロセスが定まらなければ、お客様に対して自信をもって話ができません。つまり、その商品のコンセプトを理解し、どういうかたちで売れるかというイメージができるかどうかが重要なんですね。

 経営者や事業を推進する立場の人物に求められることは、商品を詳しく知ることはもちろん重要ですが、ストーリーづくりやイメージづくりをすることだと思います。そして、常にお客様の目線で、自分たちにできることはきちんと実行すること。それができるように、組織を変え、人を変え、ものづくりも、商品やサービスの価格も変えていかなければなりません。経営者は外から自分の会社をみるようにすることが大切だと思います。

奥田 2010年10月に顧問としてユニファイジャパンに移籍され、昨年4月にこの会社の社長に就任ということで……。

小林 ユニファイジャパンという会社は、「Lotus Notes」をマイグレーションして、新しい大きなERPシステムに変えていくビジネスを大きな柱にしていましたが、このコンセプトは非常にいいと思いました。これはノードソンに在籍しているときに私自身が社長として感じていたことですが、ERPを導入してシステムを一元化することは、スピード経営や透明性、ガバナンスが求められる現代のビジネスには必須だからです。つまり、情報を一元化することで、経営者は同時にすべての状況がつかめるようになるわけです。そのためには、まず情報の整理整頓が重要です。

 ユニファイジャパンの経営については、営業的にも財務的にも、この1年でかなり改善できたと思っています。

奥田 そして今度はテンダの社長に就任されたわけですが、どんな事業で構成されているか、会社の全体像を説明していただけますか。

小林 事業は、エンタープライズソリューション事業とモバイルソリューション事業の二つに大きく分かれています。エンタープライズというのは、企業向けのいわゆるBtoBのビジネスです。例えば、Lotus Notesのマイグレーションビジネスは、ここが担当しています。そのほかに「Dojo」というマニュアル自動作成ソフトがあって、教育ソリューションを展開しています。また、プロジェクト管理やスケジュール管理ができる「Time Krei」があって、企業経営統治に一役買っていますね。これに加えて、技術者を法人向けに派遣して業務委託を受けるという、エンジニアのアウトソーシングも行っています。

 モバイルのほうは、スマートフォンサイトを自動で作成・構築できる「Smart Krei」を活用して、BtoC向けサイトの制作や、その他のソーシャルゲーム、ソーシャルアプリの企画・販売を行っています。

 昨今のスマートフォンブームによって、BtoCサイトに限らず、BtoBサイトもスマートフォン化が求められるようになり、需要が拡大しています。

奥田 ところでテンダの「10年ビジョン」には、2015年の株式上場を謳っておられますね。

小林 そういうことができるようになるための基礎づくりをやっていきたいと思います。そのために、筋肉質で、きちんとした売り上げと利益、株主に喜びを与えられるような会社にしていかなければなりません。きちんとかたちづくり、人づくりをすることが重要ではないかと思います。

奥田 まさに非の打ちどころのない経営者ですね。

小林 それはほめ過ぎですよ(笑)。

・感銘を受けた本


小林社長が感銘を受けたビジネス書のうちの一冊。500ページを超える大部の経営書だが、豊富な戦略事例と学者らしからぬ饒舌なサービス精神で、多くの読者の支持を得た。


・インタビューこぼれ話


 インタビューさせていただく小林茂さんが会議室に入って来た。もちろん初対面だ。「すごく押し出しの強い人だな」と思った。話が進んで、「百戦錬磨の経営者だ」と感じた。さらに深く小林さんに興味を抱いた。「この人はトップセールスのプロに違いない」。トップセールスは、なかなか度胸が要る。この勢いに呑み込まれてしまった。(奥田)

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