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2012/10/04 09:26

インタビュー

[週刊BCN 2012年10月01日付 Vol.1450 掲載]

人の価値を高めるビジネスを中国でも展開する
メイテック 代表取締役社長 西本甲介

 上海生活情報サイトのWheneverオンラインを眺めていたら、メイテック上海のバナーを見つけた。覗いてみると、「中国の技術者は、みんなうちに来い!」という勢いが感じられる。私の頭の中に、メイテックの社長、西本さんの顔が浮かんだ。氏と初めて会ったのは、25年も前のことだ。その西本社長が率いておられるメイテックの中国戦略とはいかなるものか、久しぶりにお会いしてじっくりとお話をうかがった。(本紙主幹・奥田喜久男/構成・小林茂樹/写真・津島隆雄)

Profile

西本 甲介(にしもと こうすけ)
1958年、愛知県生まれ。81年、愛知県立大学外国語学部英米学科卒業後、カネボウ化粧品に入社。84年、メイテック入社。社長室長、人事部長を経て、95年に取締役人事部長、96年に専務取締役、99年に代表取締役社長に就任。2006年よりメイテックグループCEO兼代表取締役社長。日本経済団体連合会理事、日本エンジニアリングアウトソーシング協会代表理事などの公職を務める。

2012.8.24/東京・港区赤坂のメイテック本社にて

日系企業のために人材を育成する

奥田 中国市場をウォッチしていると、会社ごとの競争というよりは、ワールドカップのような国別対抗戦の様相を呈しているようにみえます。自ずと「日本がんばれ!」という気持ちになるわけですが、現地で優秀な人材を一人でも多く採用できれば、日系企業の力になるのではと思います。技術者派遣業界の雄として、中国での事業はどのようなポリシーをもって展開しておられますか。

西本 当社は日本で38年にわたって、国内メーカーのパートナーとしての事業を展開してきましたが、今、その日本のメーカーが大きな転換期を迎えています。つまり、中国に進出した企業が、生産だけでなく開発まで現地化するという動きが現れてきています。そんな状況にあって、進出企業が一番困っているのは、戦力となる人材を採用できない、育てられない、定着させられないということです。人材ビジネスのプロである私たちが、その部分でどんな貢献ができるかということを基本に据えて事業を進めています。

奥田 具体的には、どのような事業を行っておられますか。

西本 上海に営業拠点を構えて、西安と成都に人材の教育・育成拠点を置いています。その西安と成都で中国の理工系大学の学生たちを半年間無償で教育し、沿岸部の日系メーカーにその人材を紹介するというビジネスを展開しています。

奥田 教育カリキュラムはどのような内容ですか。

西本 私たちがこれまで日本で培ってきた技術研修とヒューマン研修の二本立てです。それに加えて日本語教育がありますが、一番力を入れているのはヒューマン研修です。

 例えば、なぜ挨拶をしなければいけないのかとか、なぜチームワークが大切なのかというところから教え込みます。チームワークという概念は、中国の企業にはほとんどありません。ですから、ヒューマン研修のなかで、日本企業が求める働き方のベースとなる価値観や考え方を身につけてもらうわけです。そうした成果が現れて、お客様からは、定着率が高いという評価をいただいています。

奥田 中国の一般的な定着率に比べてどれくらい高いのですか。

西本 一概にはいえませんが、感覚的には2倍以上高いといわれますね。

 ただ、この育成型の紹介ビジネスにはリスクがあります。西安と成都を合わせて毎年100名程度の学生を教育しますが、実際には全員が私どもの紹介ルートに乗ってくれるわけではありません。残念ながら、途中で辞めてしまう人もいるのです。

奥田 歩留まりはどれくらい?

西本 今は5割くらいです。これをなんとか6割、7割にもっていくことを目標としていますが、このような育成ビジネスのモデルを、ある程度長い時間軸でしっかり構築したいと思っています。まずは西安、成都、上海のトライアングルで確立していくことができれば、中国内での横の展開につなげることができると思います。

奥田 ところで、中国でのメイテックの顧客は日系企業だけと考えていいのですか。

西本 まずは日系メーカーです。当社は、日本で国内メーカーのパートナーとして事業を伸ばすことができたのですから、当然、日系メーカーのパートナーとして事業展開したいと考えています。ただ、その先も視野に入れていまして、日系メーカーがどんどん現地化していくということは、サプライチェーンも現地で構築されていきますから、そこに組み込まれた中国の現地企業も、いずれ私たちのお客様として捉えていいのではないかと思います。

 もちろん、その中国企業が日系メーカーのパートナーであることが前提となりますが、早晩、何をもって日系メーカーというのか、何をもって中国企業というのか、ほとんど境界がなくなっていくと思いますね。

人材ビジネスの本質を追求

奥田 西本さんにとっての経営の根幹とは? つまり、どんなことを大切にして事業を進めておられるのでしょう。

西本 私どもは人材ビジネスに携わっていますが、それは人の価値を高めるビジネスでなければいけないということです。そのことを、社内外を問わずよく話していますし、われわれの事業もそうありたいと思っています。というのは、リーマン・ショックの前後に、いわゆる派遣切り騒動がありましたが、そのほとんどがお客様(メーカー)ではなくて、派遣事業者サイドが起こした問題だと思っているからです。

 派遣労働市場は大きく膨らんで、2007年のピーク時には7兆円規模になりました。ところが、そこに参入してきた一部の業者が人の価値を損なうようなビジネスをやってしまい、問題を起こしたわけです。それはもはや人材ビジネスではありません。だから、技術者派遣業界No.1といいう評価をいただいている企業としては、やはり人の価値を高めるビジネスでありたいと言い続けています。

奥田 では、西本さんはどんなものを人の価値として考えておられるのですか。

西本 ずばり、成長することです。人材の価値を高めるということは、人が成長するということだと思います。ですから、私たちのビジネスは技術者派遣事業ですが、それは派遣を通じてエンジニアのキャリアアップを支援する事業であるということを胆に銘じています。

奥田 2008年のリーマン・ショックでは産業全体が落ち込みましたが、人材ビジネスの業界にも大きな影響があったのでしょうね。

西本 あれはつらかったですね。まず国内で決断したのは、人材ビジネスを展開しているからこそ、当社自身がなんとしても雇用を守り、一切リストラをやらないということでした。「それは情緒的に言っているのですか」と聞かれたりするのですが、当然「人」ですから情緒的な部分はあるものの、経営合理的に考えても、人材ビジネスに携わる企業が、景気が悪くなったから人を切るというのはナンセンスです。そんなことをすれば、もう二度と私たちの会社に優秀な人材は来てくれません。さらに次の成長を目指すのなら、この危機を乗り越えて歯を食いしばっても雇用を守らなければだめだということで、社員みんなががんばってくれました。再び私どもが成長のプロセスに乗っているのは、雇用を守った力が今に生きているからだと思っています。

奥田 それは中国でのビジネス展開でも同じですか。

西本 もちろんです。月1回の上海出張でも、メイテックの一番大事にしている部分を失わずに現地でビジネスをやっているかどうかをチェックしています。

奥田 なるほど。人の成長、そしてメイテックの成長ですね。

・火を吹く(?)ゴジラ


 西本さんが社長に就任した年の誕生日を記念して、社長室のスタッフたちが贈ったプレゼント。火を吹くし怖いけれど、最後は地球を守るというキャラクターがそっくりという意味が込められている。


・インタビューこぼれ話


 初対面での爽やかさを今も覚えている。その時にいただいた名刺を見ると、広報課長補佐で、1987年7月16日に会っている。懐かしい。その後、劇的なドラマがあって社長に就任。ゴジラはその年の誕生プレゼントだ。いやいや中国事業を語る今の様子もゴジラそのもの。頼もしい限りだ。(奥田)

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