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2013/03/14 09:24

インタビュー

[週刊BCN 2013年03月11日付 Vol.1472 掲載]

「ものづくりの環」【特別編】「BCN ITジュニア賞」受賞校の先生方に聞く特別座談会(上)
技術・知識よりも「取り組む姿勢」を教える

 ITジュニア育成交流協会の設立趣旨には、「ITに取り組む情熱の炎が、若者たちに受け継がれることを希求する」という項目があります。その情熱の炎の継承に、真正面から取り組んでおられる先生方にお話をおうかがいする機会を、昨年に引き続き今年も得ることができました。日本を元気にしたい。そのためには若い人たちの力の台頭が必須です。日本からビル・ゲイツを、スティーブ・ジョブズを育ててほしい。先生方の情熱のほとばしりに接したいと願っております。座談会の模様を今号と次号、前後編に分けて掲載します。
司会・進行/BCN社長(ITジュニア育成交流協会ファウンダー)奥田喜久男
構成/谷口 一
撮影/大星 直輝
【2013.1.18/東京・内神田のBCNオフィスにて】

【前列左から】坂田俊哉先生(室蘭工業高等高校)、平子英樹先生(宮城県工業高等学校)、鵜野澤博先生(千葉商業高等学校)
【後列左から】真木明理事(ITジュニア育成交流協会)、長尾和彦先生(弓削商船高等専門学校)、田辺誠先生(宇部工業高等専門学校)、金澤啓三先生(香川高等専門学校 詫間キャンパス)、高橋文男理事長(ITジュニア育成交流協会)、奥田喜久男社長(BCN)

学生・生徒の興味が薄れた!?

奥田 若い強い人たちを育てるのは、本人たちの努力もそうですが、やはり育て方とか取り組む情熱に、キーワードがあるように思います。まずはそのあたりを議論していただき、それが水面の輪のように周囲に広がっていくことを期待しています。最初に、部員を集めるうえのご苦労などからお話しいただけますか。田辺先生のチームは大所帯と聞いておりますが、今、何名ですか。

宇部工業高等専門学校
制御情報工学科准教授
田辺 誠 氏
【実績】第23回全国高等専門学校プログラミングコンテスト競技部門で優勝
田辺(宇部工業高専) 45名です。居心地がよいのかもしれません。囲碁・将棋部のかけもちの学生が多くて、プログラミングができる子と囲碁・将棋が好きで戦略とかユーザーインターフェースにはめちゃくちゃ文句つけるような子がいます。

奥田 部活動について、魅力づけみたいなことをしていらっしゃるのですか。

田辺 プロコンは競技ですから、複数の人数で、リハーサルというんですか、実際に戦わせて、その時にテストプレーヤーみたいなかたちでやらせたりしますね。

鵜野澤(千葉商高) 本校は商業高校ということで、資格指導を柱としています。部活としても情報系の資格取得を目指しており、授業では到達できないようなところまでやっていこう、と。そういう点で魅力も感じてくれているのか、年々部員数が増えています。1、2年生だけで40人、3年生を入れると55人の規模です。

奥田 お話をうかがうと、あまりご苦労がないような……。

千葉県立千葉商業高等学校情報システム科教諭
鵜野澤 博 氏
【実績】U-20プログラミングコンテスト団体部門で経済産業大臣賞を受賞
鵜野澤 今ではそうです。先輩が後輩を指導するというかたちでみんな分担してやっています。ここまでくるのが大変でしたが、今はうまく回っています。

長尾(弓削商船高専) 昔はうちの学校も大勢の学生が集まりました。プログラムをつくりたい、コンピュータに触りたいという子がたくさんいたものですが、最近は非常に減ってきています。現在の部員は2年生が中心で11人。縮小傾向のなかで残ってくれた学生たちなので、一緒にやって、いい経験をしてくれていると思います。

金澤(香川高専) 私のところは、入部を希望する学生がクラスの友達と一緒に入ってくるケースが多く、縦のつながりがないものですから、大変です。なんとか組織化しようとは試みていますが……。大会でいい成績を上げたりすると、ハードルが高いらしいぞということになりがちで、それで敬遠しがちな子が出てきたり、遠のいていく子もいたりしますね。

奥田 今どきの若い人たちには、“本気印”は敬遠されるのですか。

金澤 学年にもよりますが、なかなか本気で頑張らない。他のクラブとかけもちだったりする事情があるうえに、有志がやっているので、まとめるのが難しい面はあります。

生徒との二人三脚でプロコンに挑戦

平子(宮城県工高) うちの場合は、私が直接指導するよりも部員間で指導し合うというスタンスができているので、指導は楽です。募集するときは「厳しいよ。でも、やりがいがあるよ」と言います。それで入ってくる子たちなので、どんどん頑張れるようになっていくんですね。

奥田 その雰囲気というのは先生が年月をかけてつくってこられたのでしょうね。

平子 赴任して2、3年間は、どう運営していこうかと苦心しました。最近は生活面についても上級生が指導してくれるので、私が直接指導することは少なくなっています。部としての流れができているのかな、と思います。

北海道室蘭工業高等学校
情報技術科教諭
坂田 俊哉 氏
【実績】第33回全国高校生プログラミングコンテスト競技課題の優勝者を輩出
坂田(室蘭工高) うちはメカトロニクス部という名前の通り、主にロボットづくりをやっています。部の勧誘とかで動くロボットを見せたりするので、生徒たちはおもしろそうだと入ってきます。でも、実際にロボットづくりを始めると、想像よりもハードルが高いのか、途中で辞める子が多くいます。今は全員が情報技術科の生徒で、プロコンでたまたまいい成績が出たものですから、それをアドバルーンにして声がけをしたら、1年生と2年生の何人かがやりたいと言って入ってきました。

奥田 室蘭工業高校は、高校プロコン初出場で見事に優勝されました。先生が指導された石橋俊文君は、もともとメカトロニクス部の部員ではなかったそうですね。

坂田 彼がなにか大会に出てみたいというので、高校プロコンを勧めました。実は、私自身まったく高校プロコンを指導した経験がなかったので、二人でルールを研究しながら、戦略を考えプログラム化していきました。これから彼が3年生になって、どうやって後輩に繋げて、結果を出して行くかが大切かなと思っています。

ほめることが自信につながる

奥田 部活動にも栄枯盛衰があると思います。部を元気づけていくというか、充実させていくためには、何が必要なのでしょうか。

弓削商船高等専門学校
情報工学科教授
長尾 和彦 氏
【実績】第23回全国高等専門学校プログラミングコンテスト課題部門で最優秀賞を受賞
長尾 うちの学校は高専プロコンで9回優勝しています。だけど、学校全体ではそういう認識はまったくなくて、一部の好きな学生がやっていることで、自分たちには関係ないと思っている者が多い。そうじゃなく、誰でもできるんだよと、授業中に擬似体験をやらせてみるんです。入ってきてすぐにこなせるというものではありませんので、実際には数年かけ育てて、本気にさせてやるのがキモかなと思います。

奥田 日本一ですから、学校中がもっと喜んでいいですよね。

長尾 たぶん、喜んでいると思いますけど。学生にもほめてあげることが大切ですし。

奥田 平子先生のところは学校ぐるみで盛り上がっておられるようですが……。

宮城県工業高等学校
情報技術科教諭
平子 英樹 氏
【実績】U-20プログラミングコンテスト団体部門で経済産業大臣賞を受賞
平子 ええ。昨年(2012年)赴任した校長が、情報にも長けていまして、私としては心強かったです。生徒を育てていくうえで一番大事なのは少しずつ目標をもたせてそれを達成させることだと思います。達成感を味わわせて自信につなげていけばどんどん成長します。

奥田 田辺先生のところは、大所帯ですよね。

田辺 そうです。でも、全員の意識づけができているかというと、なかなか難しいですね。今の5年生は意識が高くて、1年生を教育してくれていますから、1年生が残ってくれている。45人のなかで熱心な子がいてうまく回している、そんな状況です。

鵜野澤 私のところも55人の規模ですが、そのなかで細分化して、競技のほうで伸びる子とか、今回のようにプログラミングコンテスト、作品づくりにじっくりと取り組むのに向いている子に分けて、それぞれに到達目標を設定して活動しています。

香川高等専門学校
詫間キャンパス
情報工学科准教授
金澤 啓三 氏
【実績】第23回全国高等専門学校プログラミングコンテスト自由部門で最優秀賞を受賞
金澤 私は、こうありたいね、ということは言いますけど、怒ったり叱咤することはありません。部員は有志で情熱をもっていますから。大会に出る前に、日本一を目指す気持ちはあるのかということは必ず聞きます。粘り強く取り組む気持ちを確認します。

奥田 それは知識を教えるというよりは、姿勢を教えるということですか。

金澤 そうです。まさに姿勢です。技術は自分でいろいろ調べたり、実現するまでこだわって自分で取り組むほうがいい。冗談交じりの会話をしながら、モチベーションを上げてやる。

奥田 先生ご自身も、熱くなるんですね。

金澤 僕が一番熱くなると思います。時にはきついことも言いますが、会話しながら、意見を率直に言い合いますね。

(つづく)

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