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2017/01/24 09:03

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[週刊BCN 2017年01月16日付 Vol.1661 掲載]

NTTデータ 代表取締役社長 岩本敏男(1/3)
海外ビジネス1兆円が視野に

 NTTデータは、米デルのサービス部門を取り込むことで、海外ビジネスに弾みをつける。同社にとって過去最大のM&A(企業の合併と買収)案件であり、海外ビジネス1兆円規模への拡大を目指すNTTデータの高い目標は、日本の情報サービス業界にとっても、かつて経験したことのない挑戦である。ドイツやイタリア、スペインなどでは、すでに国別シェアでトップ10入りを果たすなど、グローバルでの存在感が一段と高まっているなか、2017年はどのような舵を取っていくのか――、岩本敏男社長に話を聞いた。

  • 取材/安藤章司  写真/川嶋久人

プロフィール

岩本 敏男(いわもと としお)
 1953年、長野県生まれ。76年、東京大学工学部卒業。同年、日本電信電話公社入社。85年、データ通信本部第二データ部調査員。91年、NTTデータ通信(現NTTデータ)金融システム事業本部担当部長。2004年、取締役決済ソリューション事業本部長。07年、取締役常務執行役員金融ビジネス事業本部長。09年、代表取締役副社長執行役員パブリック&フィナンシャルカンパニー長。12年6月、代表取締役社長。

思い切った決断を短期間で下す

──米デルのサービス部門を譲り受けることで、17年は北米での事業規模が一気に拡大する見込み。この10年来、NTTデータが力を入れてきた海外ビジネスに、一段と弾みがつきそうです。

 M&Aは、フリーキャッシュフローの範囲内で行うことを心がけてきましたが、今回は思い切りました。

 年商3000億円規模の事業をM&Aするのは、当社にとって過去最大規模であり、話が持ち上がってから決断するまでとても短期間でした。マイケル(米デルのマイケル・デルCEO)とは、以前から交流がありましたし、信頼できる経営者であることも大きな理由です。M&Aの規模が大きく、各国・地域での承認手続きに時間がかかり、実質、クロージングしたのは16年11月になってしまいましたが。17年3月期までにはすべての手続きを終える見込みで、17年度(18年3月期)はフルで連結できる見通しです。

──今の海外事業の基本方針は「グローバルブランドの確立」ですが、北米を中心に大きく前進しそうですね。

 北米は市場が大きいので、国内のNTTデータの存在感の大きさと同じように語ることはまだできません。とはいえ、大きな前進であることに違いありませんし、過去にグループに迎え入れた海外会社の成長も著しいものがありますので、当社が「グローバル・セカンド・ステージ」の目標として位置づけている「グローバルブランドの確立」に、着実に近づいている手応えを感じています。

 IT調査会社のガートナーの調べによれば、当社はドイツとイタリア、スペイン、チリで国別シェアのトップ10入りを果たし、その他、主要市場でトップ50圏内のポジションを占めるまでになりました。

 海外事業を本格化させた08年、海外大型M&Aにおいて最も早い時期に当社グループに加わってくれた独アイテリジェンスでは、SAPのERPを中核としたビジネスに強みをもち、業績も好調に推移。14年にグループ化したスペインのエヴェリスグループは、直近3年で営業利益が倍増しています。営業利益ベースで海外全体を見渡すと、M&Aに伴うのれん代の償却がありますので、現状ではほぼトントンで推移しているところですが、のれん代の償却を除けば、収益力は着実に高まっています。

SIは地域密着、顧客密着が基本

──直近の海外売上高比率は32%ほどですが、当面の目標として掲げていた50%も前倒しで実現可能なのではないでしょうか。

 海外売上高比率50%は、20年頃までに実現できればいいな、と漠然とイメージしていたのですが、19年3月期までの3か年中期経営計画で、実現できる可能性が高まっていると受け止めています。目標の前倒しを目指すわけですが、仮に中期経営計画の目標である連結売上高2兆円の半分を海外で売り上げるとすると、米デルのサービス部門の約3000億円を足しても、ざっくりあと2000億円弱。海外売り上げを増やさないと半分にはなりません。ここは新規のM&Aも視野に入れつつ、前倒しを目指したいところですね。

──日本の情報サービス業の歴史のなかで、海外売上高1兆円は前例のない挑戦です。もちろん御社にとっても、かつて経験のないことで、世界情勢の変化や企業ガバナンスの手腕が試されます。

 英国の離脱で揺れるEUや、新しい大統領のもとで米国経済がどう変わるのかなど世界情勢は常に変化していて、不確実です。SIerのビジネスに目線を戻してみると、SIはサービス業ですので、国や地域、ユーザーの属する業種、業界によって違いが大きく、基本的には地域密着、顧客密着なのですね。だから、グローバルで画一的な施策を打つべきではないし、世界情勢に至っては変化に適応するしか対処する方法はありません。

 こうしたなか、一本、筋を通すとしたら、それは顧客との信頼関係、クライアントファースト(顧客主義)だと考えています。

 米国の政治学者、イアン・ブレマー氏が今の世界情勢について不確実性の時代だと言っていたのを聞き、じゃあ、当社が顧客に対して示せる「確実」なものとは何だろうと考えてみたのですね。それが顧客との信頼関係、クライアントファーストであり、不確実性の時代になればなるほど、顧客は確実なものを要求するでしょうし、これに応えていくことが当社の価値向上につながる。

──顧客との信頼関係は、端的にいうと、どういうものをイメージしておられますか。

 信頼関係は時間とともに深まっていくものです。商談が成立して、握手すれば信頼関係ができるものではありませんよね。そして、顧客と最も長く接しているのは保守サービスの部門です。顧客に迷惑をかけてしまうシステム障害は、残念ながらゼロではありません。

 比較的大きなシステム障害が起こったら、何はさておき、すぐに状況を社長に伝える。たとえ、飛行機に乗っていても、寝ていても、本社報告ルートにのせることを保守部門には求めています。致命的とまではいかないまでも、障害が起こってしまうのはやむを得ないとして、経営トップに報告をしないケースは、徹底的に叱責する。万が一のときは、全社一丸となって対処するためであり、私はこれを「攻めの保守」と呼んでいます。


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