[週刊BCN 2010年01月18日付 Vol.1317 掲載]

改革の時きたる! 販売系SIerが挑む事業再編
ユーザー企業のIT投資抑制に、製品単価の下落。そして、「所有から利用へ」の大波……。ハードの販売事業で利益を捻出するのは、以前にも増して厳しくなった。ITベンダーのなかでも、ハードの販売ビジネスの割合が多いSIer(販売系SIer)は、その状況に危機感を覚え、新たな領域にビジネスの軸足を移そうとしている。
●週刊BCN 2010年1月18日付 Vol.1317 【Opinion】特集より
「ハード売り」の厳しい現実
ソリューション時代の今、ハードウェアはそれを構成する一つの部品に過ぎない。とくにサーバーはオープン化の流れと標準技術の採用で、製品はどのメーカーでも似たり寄ったりになり、差異化要素は薄れた。それゆえに起きるべくして起きた価格勝負での単価下落。「コンピュータ」を売れば儲かる時代は終わった――。ハード事業からの脱却、他領域での差異化は今、SIerにとって急務なのだ。調査会社は大幅なマイナス予測
市場規模は08年比4分の3に!?
ハード事業を取り巻く環境がかなり厳しいことを、各IT調査会社は共通して浮き彫りにしている。
図1では、調査会社IDC Japanが2009年11月に公表した、国内IT市場の分野別成長率予測数値を示した。「ハード」「パッケージソフトウェア」「ITサービス」の3種類にIT産業を大別してみると、ハードの成長率が最も低いことが分かる。ハードの08年から13年の年間平均成長率(CAGR)はマイナス5.5%。13年の市場規模は需要が旺盛だった08年に比べると、実に25%も縮小する(4分の3になる)というのだ。ちなみに、IDC Japanが示したハードには、PCや各種サーバー、ストレージ、ネットワーク機器が含まれる。
別の調査会社で、サーバーの主役ともいえるx86サーバーの調査に強いノークリサーチでは、09年度(09年4月~10年3月)上期出荷台数を前年同期比15.8%減の22万5671台とし、通期では同10.9%減の47万7371台と予測した(09年12月8日時点)。
同社の伊嶋謙二社長はその後の12月下旬に、「メーカーのサーバー担当者の表情はかなり厳しい。上期実績に悲観しているだけではなく、回復時期がみえていない印象がある」と話したうえで、「(x86サーバーは)09年度通期で出荷台数45万台を下回る可能性もある」と深刻な表情で説明した。45万台しか出荷されない状況になれば、5年前の04年度に出荷台数が逆戻りすることになる。
【記者の眼】
ソフト・サービスへのシフト、現実化の波
各社の戦略に多少の違いはあるものの、改革の骨子は同じ。ソフト・サービス事業へのシフトだ。仮想化技術とクラウドが浸透すれば、ハードはこれまで以上に売れなくなる。利幅が薄く、出荷台数も伸びないハードの販売に固執すれば、成長の目はない。この事情はディストリビュータも同じだ。丸紅インフォテックの天野貞夫社長は「メーカーの製品を右から左へ流すだけでは、今後生き残れない」と危機感を露わにし、付加サービスの追求を加速している。
「コンピュータ売り」とソリューションサービスは、求められるノウハウや体制が異なる。加えて、SaaS型サービスやクラウドが浸透すれば、売り上げの入り方が変わる。作って納めるシステム構築は一気に大きな金額を得られるが、クラウドやSaaSは基本的に一度に入る金額が少ないストックビジネス。資金繰りなど財務戦略の見直しも必要になってくる。
ソフト・サービスという新しい収益モデルを確立・定着させながら、利益構造の変化にも対応しなければならないのだ。今、SIerは大きな転換期に立っている。目先の売上高だけでなく、中長期的な視点で構造改革を進め、経営戦略を練り直さなければならない時だ。
ソフト・サービスへのシフト、現実化の波
各社の戦略に多少の違いはあるものの、改革の骨子は同じ。ソフト・サービス事業へのシフトだ。仮想化技術とクラウドが浸透すれば、ハードはこれまで以上に売れなくなる。利幅が薄く、出荷台数も伸びないハードの販売に固執すれば、成長の目はない。この事情はディストリビュータも同じだ。丸紅インフォテックの天野貞夫社長は「メーカーの製品を右から左へ流すだけでは、今後生き残れない」と危機感を露わにし、付加サービスの追求を加速している。
「コンピュータ売り」とソリューションサービスは、求められるノウハウや体制が異なる。加えて、SaaS型サービスやクラウドが浸透すれば、売り上げの入り方が変わる。作って納めるシステム構築は一気に大きな金額を得られるが、クラウドやSaaSは基本的に一度に入る金額が少ないストックビジネス。資金繰りなど財務戦略の見直しも必要になってくる。
ソフト・サービスという新しい収益モデルを確立・定着させながら、利益構造の変化にも対応しなければならないのだ。今、SIerは大きな転換期に立っている。目先の売上高だけでなく、中長期的な視点で構造改革を進め、経営戦略を練り直さなければならない時だ。
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