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2017/04/19 09:03

[週刊BCN 2017年04月10日付 Vol.1673 掲載]

限定特集

Survive or Die !? AI時代のIT業界 2017 今、知っておくべきAIとのつき合い方

 AI(人工知能)が人の仕事を奪う――。人にとって幸福かどうかはともかく、いずれは人の代わりにAIが働く時代へと突入していく。IT業界も例外なく影響を受けるだろうが、立ち位置が他の業界とは少し違う。AI活用のゴールは、究極の業務効率化である。であれば、AI時代を担うのはSIerではなかろうか。(取材・文/畔上文昭)

「人の代替」がAIの本質

 AIに対するマイナスイメージの根源は、AIを搭載したロボットが人の命を奪う、または人の仕事を奪うところにある。人の命を奪うかどうかはともかく、人の仕事を奪うことに関しては、可能性が十分にある。

 人工知能と経済学を研究するパイオニアで、「人工知能と経済の未来」の著者である駒澤大学経済学部経済学科講師の井上智洋氏は、「AIは他の技術とは違う。そもそも研究者は人間の脳と似たものをつくろうとして取り組んでいる。研究が進むほど人間に近づく」ことから、人間の仕事を担うのがAIの本質だということだ。

 ただし、AIと人間の関係は「汎用AI」(強いAI)と「特化型AI」(弱いAI)の二つに分けて考える必要がある。汎用AIは、人間と同じように知的なふるまいをするAI。特化型AIは、ある分野に特定したAI。囲碁や将棋、自動運転、チャットボットなどで使われている現在のAIは、特化型AIである。

 「特化型AIは特定の仕事を担うが、産業革命と同様に今までのタスクの代替であり、人間には別の仕事が残る。ところが、汎用AIが登場したら、どんな職業も担えるようになる。汎用AIは、既存技術の代替ではなく、人間の代替である」(井上氏)。とはいえ、それは汎用AIが登場した場合の話。それは簡単ではない。「完全に人間と同等なAIは難しいと考えている。ただ、人間の8から9割ほどの能力までは近づくのではないか」と井上氏。AIが人間の仕事を奪うとしても、すべてがいっせいになくなるわけではなく、徐々に置き換わっていくということである。

AIerの意見は慎重

 AI活用に取り組むAIインテグレータ(AIer)は、「人の仕事を奪う」とする意見に慎重だ。

 データセクションの澤博史代表取締役社長は、「AIが仕事を奪うというよりも、時代が変わるということ。人口が減って、労働力が不足する。その状況で経済成長をさせるのが、AI」という立場。同社はディープラーニングを活用したファンド運用に取り組んでおり、国内著名ファンドで年間成績がトップクラスとなる実績を2016年に残している。将来的にはファンドマネージャを超えるリターンの実現を目指しているが、特化型AIの延長線上にある。教師データをAIがつくるというような汎用AIの登場には、まだ20から30年はかかるとみている。

 「AIは道具に過ぎないが、すべての道具がそうであるように、ある部分においては最初から人間を超えている。ただ、人間を超えるかどうかといったシンギュラリティの議論は無意味。AIはまだ人間でいうと2歳程度に過ぎない」と、メタデータの野村直之代表取締役社長は語る。人件費の高い専門的な仕事ほど現在のAIの影響を受けやすいが、雑多で細かな仕事をこなす普通の人の仕事は適用すべき範囲が広すぎるうえ、人件費が安いため、影響を受けにくいという。

 ただ、「人は好きな仕事に就いて、成長することに喜びを感じる。奴隷的な仕事をやらされているのなら、開放しなければいけない。AIは、そういったところで活用されるべきだ。もし、プログラマが奴隷的な仕事を強いられているのなら、やはりAIで開放すべきだ」として、野村社長は人を幸せにするAI活用の重要性を訴える。

 クロスコンパスインテリジェンスの佐藤聡代表取締役社長は、「特化型AIは、ディープラーニングで実現している。これを手足のように使うために、指令を出すのが人間となる。ただ、ディープラーニングが出す結果の理由については、実はわからない。例えば、犬の写真を渡すと、ディープラーニングで犬を判断するが、その判断した理由はわからない。それでは困るので、解析に取り組んでいる」とし、理由がわかれば汎用AIに近づくのではと考えている。

 「汎用AIができたら、世の中のルールが一気に変わる。特化型AIの価値がなくなるかもしれない。そして、人間の役割も」と佐藤社長。AIが人の仕事を奪うとは簡単には考えていないが、汎用AIをゴールとして、AIの開発に取り組んでいくという。ちなみに、クロスコンパスインテリジェンスでは、AI関連の開発に取り組む一方で、AIのマーケットプレイスの構築にも取り組んでいる。例えば、ある分野に特化した学習済みのAIを構築したら、マーケットプレイス上に置く。そこでAIを流通させることで、AI開発の重複を避け、AIの発展に貢献することを目指している。
※本記事はITビジネス業界紙「週刊BCN」より抜粋したものです。全文は紙面をお読みください。
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