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2011/05/18 15:27

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三和コムテックと日本IBM、災害対策セミナーを開催、「従来のBCPのシナリオは通用しない」

 三和コムテック(柿澤晋一郎社長)と日本IBM(橋本孝之社長)は「ビジネスを止めない――災害対策・停電対策セミナー」を5月17日、東京・IBMイノベーション・センターで開催した。

 三和コムテックは、創業以来20年にわたって、AS/400をはじめとする幅広いプラットフォームに対して事業継続ソリューションを提供している。セミナーでは、未曽有の大災害となった東日本大震災を軸に、企業の災害対策の実態や見直しが必要となっているBCP(事業継続計画)、クラウドの有用性などについて説明した。

 三和コムテックの柿澤社長は、セミナー冒頭の挨拶で「参加者の募集を開始した次の日には満席近い申し込みがあった。関心の高さがうかがえる」と驚きを口にした。

三和コムテックの柿澤晋一郎社長

 続いて、DR(ディザスタ・リカバリ)やBCPにかかわるコンサルティングを手がけている伊阪コンサルティング事務所の伊阪哲雄氏が、「地震に対する企業防災力評価システム-CMP法の紹介と適用の提案」と題して講演を行った。伊阪氏によれば、東日本大震災のような広域災害では、いくらBCPを策定していたとしても、現行のままではよくて3割、悪くいうと1~2割しか対応力がないという。

伊阪コンサルティング事務所の伊阪哲雄氏

 伊阪氏が推奨するのが、慶応義塾大学の梶秀樹教授が阪神淡路大震災のときに考案した「CMP」法だ。これは、地震に対して設備能力(Capital Stock)、人的能力(Man Power)、計画能力(Planning capacity)の能力軸から企業の防災力を評価するシステム。伊阪氏は「CMPを活用しながら、企業は『災害対策基本方針の策定・見直し』『BCP基本方針策定・見直し』『実施と運用』『教育・訓練実施』『点検と是正措置』『経営陣による見直し』のPDCAを回していくことを毎年やってほしい」と提案している。

 三和コムテックの東條聡執行役員は、「事例から学ぶ災害・停電対策」と題して、全国89社に地震の被害状況について聞き取りを行った結果を紹介した。東條執行役員は、「各社とも、夏に実施されるかもしれない計画停電を意識して、DCへの移設や東京電力管外へのマシンの移行を考えている。バックアップ機に切り替えた運用を検討している企業も多い」と実態を話す。

 福島第一原発事故に伴う計画停電では、本番機とバックアップ機をうまく切り替えられなかったケースがみられた。例えば、バックアップ機を本番機から60Km以上離れた場所に置いたにもかかわらず、本番機とバックアップ機が同じ計画停電グループに入ってしまったケース。また、基幹システムだけを縮退運転したものの、業務が回らなくなってしまったケース。支社・営業拠点が被災して、インフラとPCのすべてがなくなったケースもあった。

 計画停電で同グループ入りしたケースは、同じ電力供給会社の管轄下にバックアップ機を置いたのが失敗だった。業務が回らなかったケースは、コスト見合いで特定のシステムだけを稼働させるのではなく、業務全体を縮退運転させることが必要だった。最後のケースでは、在宅勤務も含め、業務を迅速に、どこからでもスタートできるインフラを用意する必要がある。ここでクラウドを活用することは有効な手だ。東條執行役員は、「今までの対策が本当に有効かどうかを評価し、新しい技術を活用した新しいBCPを構築することが必要だ」と述べた。

 日本IBMのクラウド&スマーター・シティー事業・事業開発の吉松正三部長は、「日本アイ・ビー・エムがクラウドを活用して実践した災害対策」を話した。IBMは、1995年の阪神淡路大震災や2001年の米国同時多発テロ、近年のパンデミックなどの経験を踏まえて、グローバルで災害対策専門チームをもっている。東日本大震災では、支援の一環としてクラウドからコンピューティングリソースを提供し、自治体やNPO法人など、多くの団体が利用している。

日本IBMの吉松正三部長

 吉松部長は、「パブリッククラウドは災害に強い」と説明。日本IBMは、今年4月にIaaS型サービス「IBM Smart Business Cloud-Enterprise」の提供を開始した。パブリッククラウドではあるものの、ユーザーが利用するデータセンターを選択できるのが特徴で、料金は1時間10円からという格安の従量課金型サービスだ。「インターネットは災害に予想以上に強かった。クラウドは、インターネットにつなぎさえすれば動く。使わないときには費用が発生しないのも魅力だ。このテクノロジーを使うことで、10年前のBCPと違うものができるはずだ」(吉松部長)と力強く語った。(鍋島蓉子)

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