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2012/03/14 13:50

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「打倒! セールスフォース」でタッグ、ブランドダイアログとエイジアの提携の裏側にあるもの

 SaaS・クラウド型アプリケーションを開発・販売するブランドダイアログ(稲葉雄一社長)は、3月14日、資本・業務提携先のKDDI(田中孝司社長)にOEM提供しているクラウド型の統合アプリケーション「KDDI Knowledge Suite(KKS)」に、同じく資本提携先であるエイジア(美濃和男社長)の主力製品であるメール配信システム「WEB CAS」エンジンを組み込んだ「GRIDYメールビーコン Powered by WEB CAS(GRIDY メールビーコン)」を正式にリリースした。エイジアの「Knowledge Suite」へのひとめ目ぼれから始まったこのサービス。開始に至るまでの経緯を、製品開発を担当するエイジアの中西康治専務取締役とブランドダイアログの森谷武浩取締役CTO R&D本部長に聞いた。提携の狙いは、ずばり「打倒! セールスフォース・ドットコム(SFDC)」だ。

エイジアの中西康治専務取締役(左)とブランドダイアログの森谷武浩取締役CTO R&D本部長

SFA/CRM開発を断念、ブランドダイアログに接近

 SaaS型営業支援(SFA)/顧客管理(CRM)のアプリケーション「KKS」は、ブランドダイアログとKDDIが協業し、2011年8月に販売を開始。発表時、すでにエイジアの「WEB CAS」を搭載した新エンジンをリリースする計画を明らかにしていた。この新エンジン「GRIDYメールビーコン」は、リードナーチャリング(見込み顧客育成)を推進する営業支援メールマーケティング・サービスだ。「KKS」の顧客データベースに蓄積したデータから任意の条件(複数条件の組み合わせも可)で顧客を抽出し、個別の宛名を付して営業担当者名で一斉にメールを配信する仕組みだ。ブランドダイアログの稲葉社長は、両製品の連携で「営業担当者の負担を大幅に軽減して、メールによる効率のいい営業活動で商機を創出する最強のツールになった」と言ってはばからない。

 エイジアは、経営戦略として「IMS(Internet Marketing Solution)」を掲げ、インターネットビジネスの戦略からウェブサイトの構築・運営・販売促進までをワンストップで提供するソフトウェアベンダーだ。これを実現するコアな製品が、自社開発の統合CRM(顧客情報管理)アプリケーション「WEB CAS」シリーズ。このなかには、携帯電話やパソコンに毎時300万通の大量高速配信ができるOne to Oneのメール配信システムなどをラインアップしている。この領域では国内トップのシェアを誇り、東アジアなどでの海外展開にも積極的だ。

 だが「WEB CAS」は、電子商取引(EC)サイトなど、BtoC向けでの利用が大半だ。そこで同社は、一般企業向けに市場を拡大することなどを含め、数年前から自社で本格的なSFA/CRMの開発を模索してきた。中西専務は「『WEB CAS』には、データベースやOSに依存せずに使うことができるという利点がある。当社でSFA/CRMの自社開発を模索した際にも、データベースをカスタマイズせずに使える製品にする考えだった」と話す。データベースやOSに依存せず、ノンカスタマイズで使える「WEB CAS」は、ECサイトをはじめ多くの顧客に受け入れられたことから、このアーキテクチャをベースに自社開発のSFA/CRM製品を出せば、一般企業にも売れると考えたのだ。

「SFA/CRMの市場では勝てない」と提携の理由を語るエイジアの中西康治専務取締役

 ところが、市場をリサーチするなかで「SFA/CRM市場にはあまたの競合がいる。いまさら勝てる領域ではない」(中西専務)という現実がみえてきた。そんなとき、「巨大組織に殴り込みをかけるベンチャー企業の存在を知った」(中西専務)という。意気込みに共感したエイジアの美濃社長は、さっそくそのベンチャー企業、ブランドダイアログの門を叩いた。

 実のところエイジアは、ブランドダイアログと協業を進める前、SFA/CRM市場で活躍する外資系大手や国産大手ベンダーとの連携を模索していた。だが、「当社の開発理念と合わない」(中西専務)と、協業を断念している。この時点で「夢破れた」と諦めかけていたところで、ブランドダイアログと出会うことができたわけだ。

「思い」の語らいからスタート

 エイジアのラブコールを受け、ブランドダイアログは協業に関する話し合いを行った。ブランドダイアログの稲葉社長は「最初は“思い”を語り合うことに終始した」と振り返る。そしてこのときエイジアは、「稲葉さんと考え方が一致した」(中西専務)と感じたという。これを機に、製品連携から資本連携へと、話はとんとん拍子に進んだ。欧米製品に比べ遅れている国内リードナーチャリングの普及で両社の考えが一致し、ブランドダイアログの「Knowledge Suite」にエイジアの「WEB CAS」を埋め込むことで、国産クラウドが巻き返しを図ることができると判断したのだ。

「WEB CAS」の性能を最大限生かすために「BtoB仕様にすることを心がけた」と語るブランドダイアログの森谷武浩取締役CTO R&D本部長

 ちょうどブランドダイアログとKDDIの提携交渉が佳境に入った時期で、これと並行してエイジアとの製品連携が具体化していく。エイジアとの連携製品の開発は、11年3月から始まった。ブランドダイアログ側の開発責任者、森谷取締役CTOは、エイジアとの連携前の状況を「当社にはSFA関連製品として『名刺CRM』がある。ただ、これは顧客情報を入れる箱、データをインプットするシステムにすぎない。インプットに注力しすぎて、アウトプットの機能拡張に関する開発が欠落していた。そこでウイングアークテクノロジーズと提携し、同社のBI(ビジネス・インテリジェンス)『Dr.Sum EA』とも連携していた」と語る。

 しかし、「BIは顧客情報やSFAの状況把握をするビューアーで、営業活動のPDCAを回すにはアウトプット部分にまだ不足があった」と森谷取締役CTO。そんなときにエイジア側からの働きかけがあって、ブランドダイアログは二つ返事で協業を了承した。

 両社がこだわったのは、ユーザーインターフェース(UI)を含めた使い勝手だ。そこで「GRIDYメールビーコン」には、「KKS」のUIを完全に埋め込んだ。タブが機能化され、そこをクリックすればメール配信機能を使うことができる。言い換えれば、「WEB CAS」が完全に「Knowledge Suite」と一体化したイメージだ。森谷取締役CTOは「最初は当社製品のAPIを使って連携する計画だった。しかし、『WEB CAS』はBtoC向けにつくられていたので、企業で使う際に必要な機能を盛り込む必要があった」と話す。

UIと機能を一から開発

 企業で大量のメールを一斉配信するときには、配信先のリストを抽出し、配信許可を上司に承認してもらうなどのステップが必要だ。こうした企業で使うときに必要な機能を「Knowledge Suite」に埋め込むかたちで、「WEB CAS」を連携させた。森谷取締役CTOは、「“思い”を実現するために妥協は許されないと感じていたので、UIとバックヤードの機能を一から見直した」と語る。両社製品の魅力を最大限に引き出した結果、それ以上の連携製品が完成したのだ。エイジアの中西専務は「スピード感のある開発だった」と振り返る。

 KDDIが提供する「KKS」の導入数は明らかになっていないが、ブランドダイアログの有料版である「Knowledge Suite」は、累計で約1200社が導入している。一方、エイジアの「WEB CAS」は約800社。この国産両社がタッグを組んだことで、SFDCの牙城をどこまで崩すことができるのか、今後の販売動向が注目されるところだ。(谷畑良胤)

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