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2012/05/18 12:43

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「SuiteWorld 2012」レポート、米ネットスイートのザック・ネルソンCEO、「アップルのようなエクスペリエンスを」

【サンフランシスコ発】米ネットスイートは、現地時間の5月14日から17日、サンフランシスコでクラウドコンピューティングのイベント「SuiteWorld 2012」を開催している。ザック・ネルソンCEOは、BCNなどの取材に応じ、新製品「NetSuite SuiteCommerce」の狙いやソーシャルメディアの活用に対する考え方などを語った。(取材・文/信澤健太)

ザック・ネルソンCEO

──「NetSuite SuiteCommerce」の発表に際して、「2~3年前から北米企業の間で商取引に関して大きな変化が起きている」とのことですが、具体的には何が起きているのでしょうか。

ネルソン 正確には、ネットスイートの事業環境と市場環境の二つに変化が起きています。まず、ネットスイートの事業環境の変化について説明しましょう。当社では、対象とするユーザーの企業規模が徐々に大きくなっています。もともと、Eコマース機能は中小企業に最適化したもの。中小企業はEコマース機能を利用し、Eコマースサイトの構築やウェブストアの共有などに満足していました。ですが、大企業はこれらのテクノロジーではもの足りず、ピクセルを細かく管理したいなどの要望を突きつけてきました。こうしたことを受けて、Eコマース機能を開発し直す必要があると感じていました。

 一方で、市場環境の変化として、非常に多種多様な“タッチポイント”が生まれているという状況が挙げられます。旧来型のEコマースのようにPCウェブブラウザを中心に考えるのではなく、スマートフォンやタブレットでのユーザーエクスペリエンス(体験)を考える必要があるというわけです。

──ユーザーの企業規模が大きくなっているとのことですが、それはネットスイートとともに成長してきたということを意味するのでしょうか。それとも、大規模な企業がネットスイートを利用し始めたということでしょうか。

ネルソン その両方です。「NetSuite Unlimited」を利用しているGoProは、2年ほど前は従業員数20人ほどの中小企業でしたが、現在は従業員数約200人、年商は600億円に上っています。「NetSuite Unlimited」は、産業によっては、大企業でもそのまま使える機能を実装していて、ソフトウェア業界で活用できるアプリケーションのうち、最もすぐれていると自負しています。機能的に不十分という業界では、ターゲットの企業規模が小さくなります。

 「NetSuite SuiteCommerce」は、大企業でもオンインラインビジネスを切り盛りできるようにする新製品です。従来のEコマースでは、フロントエンドのデザインは柔軟でも、バックエンドではシステムがうまく動作していないという事例がよくみられます。「NetSuite SuiteCommerce」は、こうした旧来型の課題を解決し、柔軟性に富んだフロントエンドのデザインと、統合されたバックエンドシステムを実現しています。

──IBMは、「スマーターコマース」というビジョンを実現するために、非常に多くの企業を買収し、アナリティクスを重要視しています。IBMとの差異化のポイントはどこにありますか。

ネルソン IBMのEコマースへの取り組みはおもしろい。サービス主導のアプローチを採って、プロダクトサポートを提供しています。彼らがしなければならないのは、アプリをどのように組み合わせていくのか、買い足すのかを検討すること。IBMは、インテグレーションをあたりまえのことと考えています。システムがいかに複雑で乱立していても、うまく連携させる必要があります。このアプローチは成功するかもしれませんが、とにかくコストがかかります。IBMは儲かるわけですから、おいしい話なのかもしれませんが。

 一方、ネットスイートはプラットフォーム主導型で、プラットフォームをベースにアプリを開発し、ユーザーが求めるサービスを揃えてきました。商取引で、ネットスイートとして何をすべきなのか、コンシューマの動向を常に把握するように努力しています。

 お手本になるのがアップルです。彼らは、どの企業からみても模範的といえる存在になりました。アップルは、バックエンドのアーキテクチャを検討する際に、バラバラのシステムをつなぎ合わせようとしたわけではありません。システムとデータの一元化を図って、“タッチポイント”に応じて情報を公開するようにしました。これが未来のアーキテクチャであり、われわれもアップルのようなエクスペリエンスを提供するつもりです。

──「SuiteWorld 2012」と同時期に、独SAPの年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW 2012」が開催されています。SAPについて、何かコメントがあれば聞かせください。

ネルソン SAPとネットスイートの最も大きな違いが、SaaS・クラウドへのアプローチです。SAPは2度、ネットスイートのようなアプリを開発しようとして、「SAP Business ByDesign」に関して失敗を犯しました。カンファレンスでは、3度目の正直でトライしていると発表がありましたね。テクノロジが破壊的に変わっていくなかで、今の世代のテクノロジのリーダーにはなれないと思います。

──SAPの傘下に入ったサクセスファクターズは、クラウドベースのタレントマネジメントシステムを開発しているベンダーです。タレントマネジメントについての関心はおもちですか。

ネルソン すでに、人事(HR)アプリに関連する機能は一部存在しています。てこ入れする必要性は感じていません。ERPと人事アプリは密接に関連しているのではなく、個別に動作しているものと理解しています。HR市場でのチャレンジは、HR業務に反映する核となるトランザクションのプロセスが何なのかを識別することが一つの壁になる。

 HRの最終的な勝者は、サクセスファクターズではないと思います。サクセスファクターズはジョブレビューを、またオラクルが買収したタレオはリクルーティングを手がけてきました。HRの業務プロセス上で求められるのは従業員レコードや給与情報などで、こうしたトランザクションを処理するワークデイが最終的な勝者になるでしょう。

──ネットスイートは、生産管理を機能モジュールとして提供していません。製造業の要求に応えていくにあたって、今後、買収や独自開発に乗り出す考えはありませんか。

ネルソン 生産管理を提供する考えはありません。ネットスイートのクラウドプラットフォーム上で、サードパーティのアプリと「NetSuite」を統合させれば可能になっています。

──基調講演後の質疑応答で「すべては最終的にソーシャルになる」として、“Socializing the data”という表現もされていました。ソーシャルメディアとの連携や融合によって、ERPがどのように変容して、新たなビジネス価値を生み出すと考えていますか。

ネルソン 「NetSuite」は、顧客のトラブル対応や受注処理、会計処理など、業務活動の中核で活用されています。これまでは、企業が顧客を理解するのに、「NetSuite」にロッグインしてカスタマーレポートを引っ張ってきて、Eメールを確認して、という作業が発生していました。ソーシャルサービスの「SuiteSocial」を利用すれば、「NetSuite」のなかに閉じ込められていた顧客のアクティビティを、ログインせずに自動的にスクリーンに表示できる。顧客について、リアルタイムに深い洞察を得られるようになります。

──ありがとうございました。

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