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2012/10/03 16:17

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米オラクル 新ソーシャル基盤を公表、日本と世界のDCで提供するSaaSサービスの具体策も

【サンフランシスコ発】10月2日、米オラクル(ラリー・エリソンCEO)がサンフランシスコで開催している自社イベント「Oracle OpenWorld San Francisco 2012」の4日目は、初日に続いてエリソンCEOによる基調講演などがあった。

ソーシャル基盤を公表したトーマス・クリアン上級副社長

 この日の目玉はエリソンCEOの講演だが、その前に、エリソンCEOの直属で製品開発を担当するトーマス・クリアン エグゼクティブ上級副社長が、「地球上で最も包括的なクラウド」として今年6月に発表した「Oracle Cloud」のポートフォリオの拡張を発表。また、最近買収した米国IT企業の機能を実装した「Social Relationship Management」というソーシャル基盤の提供を明らかにした。

 「Oracle Cloud」は、一連の幅広い業界標準にもとづいて、オラクルが管理・ホスト・サポートする「Oracle Platform Services」「Application Services」「Social Services」をサブスクリプションベースで利用できる総合的なクラウド・サービスだ。クリアン上級副社長は、このなかでSaaSの具体策を説明した。

 「完全にスイート化されたSaaSアプリの提供を始めるほか、ベストオブブリードであり、また、機能性やモバイル性、ソーシャル性にすぐれた構成のサービスで、インターネットを使ってブラウザベースでの利用とカスタマイズが可能なサービスになる」。BI(ビジネス・インテリジェンス)の「Oracle Hyperion 」などを、ブラウザベースでスマートフォンなどから簡易に使えるようになるという。

 世界中にある「Oracle Exadata」と「Oracle Exalogic」などで構成する共通インフラのデータセンター(DC)を利用したクラウド・サービスとして、「まずは、オラクル・データベースなど、オラクル製品の既存顧客からデリバリーを開始する」(クリアン上級副社長)という。来年前半以降、クラウド・サービスの展開を世界で本格化する計画だ。「Oracle Cloud」の「パブリック・クラウド」とも呼べるサービスは、世界10か所のDCを核に提供するが、日本もそのなかに含まれる。日本オラクルが基調講演終了時に答えたところによると、「日本市場では大きな商売が期待できるとして、日本オラクル側から強く要望した」(遠藤隆雄社長)という。当初はサードパーティーとインフラ会社と連携したDCを構築する計画だが、日程への言及はなかった。

 クリアン上級副社長は、基調講演のなかで、スイート化したSaaSアプリについて、「HCM(ヒューマン・リソース・マネジメント)」「タレント・マネジメント」「セールス・マーケティング」「カスタマーサービス&サポート」「財務管理」などを示していた。また、SaaSアプリの配信に関連するサービスとしては、「Web Self-Service」「Mobile Self-Service」「Chat and Co-Broese」「E-mail Management」「Knowlege Management」「Contact Center」「Support Communities」を備えるという。新基盤となる「Social Relationship Management」については、「すべてのオラクルのアプリと連携する。他社と異なり、マーケティング、セールス、エンゲージメントのすべてを備え、企業の事業拡大に貢献できる」と説明した。

ラリー・エリソンCEOは、セールスフォース・ドットコムなど、他のクラウド、ソーシャルベンダーを例に出し、オラクルが提供するサービスの優位性を語った

 この後、参加者お待ちかねのエリソンCEOの基調講演が行われた。ただし、初日(9月30日)に比べて聴講者は減り、講演途中での退席者も目立った。初日に自ら口にしたアップデートを繰り返した部分が多かったためだ。

 エリソンCEOが二度目の基調講演で説明したのは、IaaS、PaaS、SaaSのクラウド環境のうち、SaaSアプリケーションについて。すでに、HCMスイート、CRMスイート、ERPスイートが揃っており、クラウド・サービスを支えるインフラや基盤に、新たにソーシャル・サービスが加わり、「ディプロイメント(ネットワークアプリケーションやウェブサービスなどを利用できるように準備すること)された状態でSaaSアプリを選択できるのは、オラクルだけだ」と、他社のインフラの上でクラウド環境を構築する方式のセールスフォース・ドットコムを引き合いに出し、差異化を強調した。

エリソンCEOは壇上のパソコンで自らソーシャル機能のデモを披露した

 この日の講演で最も時間を割いたのが、新たに打ち出した「Social Relationship Management」についでだ。SaaS型の「Fusion Applications」のすべてにソーシャル機能をつくり込んだことに触れたあと、すでに、米国のハンバーガー店「Red Robin」やスイスの銀行「UBS」、日立データシステムズなどがHCMやタレントマネジメントなどとのソーシャル連携で成功を収めている事例を紹介した。

 ソーシャル関連では、トヨタ自動車の「Lexus」ブランドで、Twitterなどの書き込みを収集してプロモーションに最適なタレントを選ぶシーンを、エリソンCEO自らが壇上のパソコンを操作してソーシャル機能のデモを行った。50億ものツイートから複数の条件やネガティブな発信などを入れて絞り込み、最終的には、ロンドン五輪の体操女子団体・個人総合で優勝したギャビー・ダグラス選手が最適という答えを出した。

 マルチテナント型でクラウド対応する新データベース「Oracle Database 12c」にも言及し、「ここ数年、他社が展開するマルチテナンシーなSaaSサービスを批判してきた。アプリレイヤで連携すると、セキュリティが担保できないからだ。そこでオラクルは別のアプローチを採った。データベース側をマルチテナントにするために、コンテナ型の製品にして、セキュリティの課題を解決した」と述べた。

 この日の最後、日本オラクルの遠藤社長が、日本のプレス向けに会見を開いた。遠藤社長は、IaaS、PaaS、SaaSのクラウドフルスタックが揃ったことなどを強調。すでに同社のクラウド関連の売上高は40億円程度に達しているが、これを「3年間で三桁までには伸ばしたい」と、クラウドの加速度的な成長に期待を示した。(谷畑良胤)

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