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2013/09/20 17:19

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MIJS、仙台でワークショップを開催、各社が人材・製品・資本・営業戦略を披露

 国産ソフトウェアベンダーで組織するメイドイン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS、美濃和男理事長)は、9月19日、仙台市の仙台国際センターで、「MIJS仙台ワークショップ」を開催した。MIJSが地方で開催している年次のイベントで、今回は「杜の都からオンリーワン・ソリューションを目指して!」をテーマに、講演やパネルディスカッションを行った。宮城県、仙台市、東北大学IIS研究センター、宮城県情報サービス産業協会が後援した。

MIJS会員や地元のITベンダー、学生らが熱心に聴講した

 美濃理事長は、冒頭の挨拶でMIJSのスローガン「MIJSからソフトウェア業界の野茂選手を輩出する」を改めて紹介。「世界で戦うためには、力をつけることが必要。ソフトウェア業界では、人の頭と手でしか付加価値を生み出すことはできない。人が最大限のやる気を出すことが重要だ。やる気の源泉は刺激だ。MIJSでは、会員企業がお互いに刺激しあって活力を得て、日本発のソフトウェアが世界を席巻することを目指している」と説明した。

美濃和男理事長

 続いて、「クラウド時代到来でIT企業はどう変わるべきか?」と題して、サイボウズの青野慶久社長が講演。クラウドの浸透によってIT業界に異変が起こっていることを紹介し、「これまでは、ハード、ソフト、ネットワークなどのそれぞれの分野を各IT企業が水平分業的に提供してきた。しかし最近では、大手ITベンダーがクラウド基盤からネットサービス、端末まで、すべて1社で販売するという垂直統合の動きが目立っている。つい先日には、マイクロソフトがノキアを買収した。このことはISVにとって脅威だ」と説明した。

 そのうえで、「潤沢な資金を抱えている大手ITベンダーと同じ動きをすることは難しいが、特定分野向きの専用クラウドであれば、日本のITベンダーでも垂直統合で提供できる。サイボウズの場合、グループウェアに特化した垂直統合を進めている。クラウド基盤の『cybozu.com』の契約企業数は5000社を超え、パッケージの3倍の勢いで新規ユーザーが増えている。可能性は大きい」とした。

サイボウズの青野慶久社長

 次に、農業生産法人・舞台ファームの針生信夫代表取締役が、「宮城県発 日本農業の新しい未来像を創る~ 『イノベーション』 と 『コラボレーション』 ~」と題して、農業の問題点や解決策について講演。「日本の農業従事者数は、現状では250万人程度だが、平均年齢は65.8歳と高く、3年後には70万人が辞めてしまうといわれている。人材不足は深刻な問題で、放置される農地も増えている。農業を魅力的なものにするためには、生産利益の向上が必須だ。そのためには、新しい付加価値の付与や、異業種との積極的なコラボレーション、生産者による地域を越えた大連携が欠かせない」とした。

 また、「ITは今後の農業に欠かすことができない要素だ。ITを活用すれば、農作業を無人化することができる。いずれ、東京から遠隔で農機具を操作したりできるようになると期待している。ITベンダーと協力して、日本の農業を活性化したい」と意欲をみせた。

舞台ファームの針生信夫代表取締役

 その後、人材・製品・資本・営業の各視点について、MIJS会員がディスカッション。人材戦略では、「大企業にも採用で採り負けない! 中小ベンチャーにも真似できる人材戦略とは?」をテーマに、サイボウズの青野慶久社長とネクスウェイの富加見順取締役相談役が戦略を語った。ファシリテータは、ドヴァの土橋整代表取締役が務めた。

 青野社長は、福利厚生制度について、「社員のためのものではない。当社は、福利厚生として、6年間の育児休暇や副業の自由、退職後6年間は再就職できる『育自分休暇』を設けている。しかし、これらはあくまでも会社都合のもの。離職率の低減や、本人の能力・視野を広げてもらって会社での活動に役立ててもらおうという狙いがある」とした。

 富加見取締役相談役は、人材採用について、「新たなビジネスをつくっていく行動力のある人物を採用している。行動力は、入社後に育てて簡単に身につくものではない。だから、面接時には、人に言われて行動してきたのか、それとも主体的に行動してきたのかというところに重点を置いて話を聞いている」とした。

左から、ネクスウェイの富加見順取締役相談役、サイボウズの青野慶久社長、ドヴァの土橋整代表取締役

 製品戦略では、「ソフトウェア製品開発を博打にしないためには?」と題して、アクセラテクノロジの進藤達也社長とシステムインテグレータの梅田弘之社長が戦略を紹介。ファシリテータは、アプレッソ海外・新規事業兼アライアンス・広報担当の亀井美佳部長が務めた。

 製品開発をどのように進めるかについて、梅田社長は、「長期戦と考えて、継続的に投資していくスタイルを採っている。そのため、製品を発売してから1~2年は、あまり売れなくても問題はない。時間をかけてバージョンアップを重ね、製品を改良して拡販につなげる。また、開発の段階からデモをするときのシナリオを思い浮かべてつくることが多い」と説明。進藤社長は、「一生懸命つくった製品が売れないのが一番恐ろしい。一度にたくさんの製品をつくらないようにしている。また、3か月程度で開発して、売ってみて、使ってもらうようにしている。アジャイル開発方式で、ユーザーと一緒に製品をつくっていくことが大切だ」とした。 

左から、アクセラテクノロジの進藤達也社長、システムインテグレータの梅田弘之社長、アプレッソ海外・新規事業兼アライアンス・広報担当の亀井美佳部長

 資本戦略では、「仕掛けるための資金調達、生き残るための資金調達」と題して、インフォテリアの平野洋一郎社長とネオレックスの駒井拓央社長が戦略を語った。美濃理事長がファシリテータを務めた。

 平野社長は、仕かけるための資金調達と生き残るための資金調達の違いについて、「資金調達の方法は、融資と投資の二つ。融資は必ず返さなければならないが、投資は借金ではないので、返さなくてもいい。だから、仕かけるための資金調達は、投資であるべきだ。融資で新しいことを仕かけるにはリスクが大きすぎる」と説明。また、上手に投資金を調達する方法について、「出資する側の視点で話をすることが大事。開発者は、『こういうすごいものをつくるのだ』というアピールすることが多いが、それではだめだ。『これをつくって、これだけ売って、出資した側には、こんな恩恵がある』と説明しなければならない」とアドバイスした。

 駒井社長は、融資について、「とにかく諦めないことが大事だ。私も、かつて取引先から融資を断られたことがあったが、その時には日本全国の銀行を洗いざらい調べて、必死で資金を得ようとした。同時にたくさんの銀行をあたれば、可能性は出てくる。また、一般的に融資額は会社の売上高と同じくらいまでが限度となることが多いが、保証協会つきの制度融資があれば、融通がきくことがある」と語った。

左から、ネオレックスの駒井拓央社長、インフォテリアの平野洋一郎社長、美濃和男理事長

 営業戦略では、「ソフトウェアビジネスの営業スタイルと、売上げを伸ばすためのマーケティングとは?」と題して、ウイングアークの内野弘幸社長とブランドダイアログの稲葉雄一社長が戦略を披露。システムインテグレータの鈴木敏秀取締役がファシリテータを務めた。

 内野社長は、マーケティングについて、「製品のブランディングが最も重要だ。ユーザーは、そこに引きつけられることが多い。新商材では、まずモデルユーザーに長く使ってもらえるように、徹底的にサポートしていくことが重要だ。そうすると、彼らは製品を周囲に伝えてくれて、マーケットでの認知度が高まる。そうすれば販売数も増えて、パートナーから声がかかるようになる」と説明。稲葉社長は、「マーケティングだけで世の中を変えることができると思っている。当社は、製品開発に充てる予算よりも、マーケティングにかける予算のほうが多い。宣伝、広告、無料ツールなどを活用して、ユーザーの入り口を広くしておけば、食いつきもいい。大事なのは、そこからいかに解約させないようにするかだ」とした。

左から、ウイングアークの内野弘幸社長、ブランドダイアログの稲葉雄一社長、システムインテグレータの鈴木敏秀取締役

 最後に、「東北から、グローバルなビジネスを生み出そう!」と題し、アプレッソの長谷川礼司会長、SRA東北の阿部嘉男社長、サイエンティアの荒井秀和社長、東北大学大学院情報科学研究科の青木孝文教授がパネルディスカッション。トライポットワークスの佐々木賢一社長がモデレータを担当した。

 長谷川会長は、グローバルビジネスについて、「クラウドサービスを活用すれば、爆発的に販売を伸ばすことができる。地方のITベンダーも、ここに可能性を見出してほしい」とした。阿部社長は、「和包丁やウォシュレットなど、外国で評価されている日本製品はいくつもある。同じように、ソフトウェアでも、今あるものをよりいいものに磨いていって、海外でも通用するものにしていくことが大事」とした。荒井社長は、「クラウドでチャンスは広がっている。地域に限定されずに提供できるので、お客様のいるところにかまわず売りに行けばいい。また、ニッチな市場で勝負すれば、地方ITベンダーでも大手企業と対等に競り合うことができる」と語った。青木教授は、「震災以降、大学でも復興関連のプロジェクトが複数動いていて、民間企業を支援しようとする意識は高まっている。IT企業と協業して、一緒に海外で展開していきたい」と語った。

左から、東北大学大学院情報科学研究科の青木孝文教授、サイエンティアの荒井秀和社長、SRA東北の阿部嘉男社長、アプレッソの長谷川礼司会長、トライポットワークスの佐々木賢一社長

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