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2014/09/29 20:37

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富士ゼロックスの深セン工場を視察、ロボットに頼らない手づくりの“からくり仕かけ”で生産性を15%向上

【深セン発】人件費の高騰が続く中国。生産拠点を構える日系企業は、利益の捻出が難しくなってきている状況だ。中国有数の製造業集積地域・珠江デルタの主要都市である深センでは、今年2月に最低賃金基準が従来比13%増となる月収1808元へと改定された。富士ゼロックスの生産拠点である富士施樂高科技(深セン)(多田修総経理)は、この人件費高騰にどう立ち向かっているのか。現地を取材した。

富士ゼロックス最大の生産拠点・深セン工場

99%の無駄を取り除く

 富士ゼロックスは、コピー機/プリンタ、複合機など、ハードウェアのおよそ90%を中国で生産している。富士施樂高科技(深セン)は、このうちの約80%を生産するグループ最大の生産拠点。工場は、ここ数年、一定の生産台数を維持しているが、人件費の高騰が課題になっている。多田総経理は、「従業員の賃金は毎年8%程度上昇しているなか、製品の価格は下落傾向にある。この状況で生き残るためには、生産性の向上が欠かせない」と説明する。

 そこで富士施樂高科技(深セン)は、生産工程のムダを徹底的に省く「ゼロックス・プロダクション・ウェイ(XPW)」に力を注いでいる。多田総経理は「組み立て作業の大半、99%のプロセスは価値を生んでいない。地道な改善活動の積み重ねによって、生産性を向上できる。ムダな作業を取り除いて、価値を生み出す作業に集中する体制をつくることが大事だ」と説明する。

 例えば、部品Aと部品Bを結合する工程を実施するために、生産ラインの作業員は、部品AとBを箱から取り出して作業台に置き、部品の向きを整える。しかし、実際に価値を生み出しているのは、結合する作業だけ。箱から取り出したりするその他の動作には、改善の余地がある。

 富士施樂高科技(深セン)では、「手づくりの“からくり仕かけ”をつくることでムダを省いている」(多田総経理)という。生産ラインでは、従来、作業員の後ろに置いていた部品の箱を、作業台の上に配置し直し、振り返って取り出す動作を省いた。また、部品納入の工程では、一日単位でなく、納期を1時間、2時間と細かく区切ることで、在庫の収容スペースを削減するとともに、作業のムラをなくして、ジャスト・イン・タイムで生産できるようにしている。こうした細かな工夫をすべての工程で行うことで、全体の生産性向上につなげているのだ。 

生産ラインでは作業員が効率的に組み立てられるように部品を前面上部に設置

テスト工程では移動時に複合機を再起動しなくていいようにUPSを設置

ムダを省けばロボットは不要

 ここでの改善活動の特色は、ロボットの導入を極力避けていること。ムダな生産工程をロボットで省くという手段について、多田総経理は「手づくりで改善の余地がある工程に投資することになってしまう」と指摘する。工夫次第でムダを省くことができる工程に対して、ロボットを導入することでムダなコストが発生してしまうというのだ。

 富士施樂高科技(深セン)は、2年前に「毎日改善」というスローガンを掲げ、“からくり仕かけ”による不要な作業の削減を全社で推進。その結果、1万人いた作業員を1年間で8000人に削減した。

 昨年は、ラインの一時停止やロスタイムを日時の損失額として集計する「毎日決算」という取り組みを開始。「ラインが1時間止まったことで、その日に1時間残業するのでは、ムダに投資していることになる。1時間止まったら、管理者がラインに応援に入ったり、毎日時間内に3台余分につくったりして、コストをかけずに損失を挽回できるようにしている」(多田総経理)。結果として、2013年は前年比で生産性を15%向上できたという。

工場内に「毎日改善 毎日決算 毎日良品」の標語を掲げている

 さらに今年は、製品不良をゼロにする「毎日良品」を掲げ、不良品を「納入しない」「つくらない」「市場に出さない」よう、取り組んでいる。これまでは、不良品問題が発生すると検査を追加するという対策を採ってきたが、これでは不良品の流出の防止にはつながっても、作業工程は増える。「なぜ不良品が発生するのか、原因を究明して、そもそも不良品が発生しないようにすることが重要だ」(多田総経理)として、新たな改善策を模索している。

 富士施樂高科技(深セン)は、「毎日改善 毎日決算 毎日良品」によって、今後も毎年15%ずつ生産性を向上することを目標にしている。(上海支局 真鍋武)

多田修総経理

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