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2016/02/22 10:42

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IBM PWLC 2016、ロメッティCEO「デジタル変革は必然、コグニティブでの差異化がカギ」

【オーランド発】米IBMが、米フロリダ州オーランドで開催している「IBM PartnerWorld Leadership Conference(PWLC) 2016」で、同社のバージニア ・ロメッティ会長・社長兼CEOが「A New Era:Cognitive Business」と題する基調講演を行った。ロメッティCEOは、ビジネスにおけるデジタル変革の重要性を説きながらも、デジタルはもはや差異化要素にはならず、「コグニティブ・コンピューティング」の導入こそが競争力の源泉になると主張。IBMパートナー各社に対し、コグニティブ・ビジネスへの参加を呼びかけた。

PWLC 2016の基調講演に登壇した
米IBMのバージニア(ジニー)・ロメッティ会長・社長兼CEO

「自分はデジタル企業を経営している、あるいは自社のデジタル化を推進しているという方は?」

ステージに立ったロメッティCEOは、講演会場に集まったパートナー企業の経営者たちに向かってこのように話し、デジタル技術をビジネスの中核にしていると自負する企業に挙手を求めた。多くの聴衆が手を挙げたのを見て、ロメッティCEOは次のように続ける。

「このような質問をすると、今では誰もが手を挙げる。では、皆がデジタルであるとき、誰が勝者となるのか? TeslaやAirbnbをみてわかるように、あらゆる業界がデジタル化している。つまり、デジタルはもはやすべてのビジネスを推進する基盤であり、目的ではない」。

シェアリング・エコノミーの成功者といわれるAirbnbやUberを引き合いに出しながら、“デジタル技術はビジネス効率化のための単なる道具ではなく、ビジネスモデルそのものである”と説くシーンは、近年IT業界のあちこちでみられる。しかしロメッティCEOは、デジタル技術を事業の土台とすることは業界を問わずあたりまえの動きであり、今やデジタル化だけでは他社に対する競争力にはなり得ないと説明する。

では、企業が生き残るには何が必要なのか。ロメッティCEOの答えは「デジタル技術という基盤はもちろん必要。そこにコグニティブ・コンピューティングを加えることが、競合に対する差異化をもたらす」というもの。差異化を実現する要素としては、データの量、コグニティブ技術自体の進化、クラウドのプラットフォーム化、という3点を挙げた。

まず、データの量に関しては、「世界に存在する全データの90%が、この2年以内に生成されたもの」という数字を紹介した。しかし、それら生成されたデータの8割は動画であり、従来であれば人間の視覚・聴覚でなければ扱えないものだった。過去の情報システムでは、動画などの非構造化データを保管・共有することはできても、その中に何が含まれるかを認識することはできなかったからだ。しかし、分析技術の進化により、ため込まれるだけだったデータから、新たな知見を得られるようになった。

2点目のコグニティブ・コンピューティングについては、「自然言語を用い、各領域に特化した深い知識をもっており、“なぜそうなるのか”という理由を理解し、学習するシステム。だから、意思決定ができる。視覚や聴覚から入ってくる情報も扱えるし、仮定や仮説も処理できる。回答に対する信頼性のあり/なしや、回答の理由も答えられる」(ロメッティCEO)と述べ、「AI(人工知能)を超えるもの」とあらためて強調した。

2011年1月、IBMのWatsonがクイズ番組「ジェパディ!」でクイズ王を破り話題となったが、当時は五つの技術から構成されていたのに対し、今は50の技術を用いて問題解決にあたることができると進化をアピール。さらに、それらの技術をベースとした32の機能がAPIから利用可能となっており、36か国から500社・8万人の開発者がWatsonにアクセスしているという。

3点目のクラウドに関してロメッティCEOは、「世の中のデジタルビルダーの皆さんが、APIを利用してアプリケーションを構成するため、クラウドをプラットフォームとして使うようになっている」とし、現在では「クラウド上でコーディングする」という動きがあたりまえになったと指摘する。

このような世界の変化は、近年のIBMが戦略的な重点領域としてきたCAMSS(クラウド、アナリティクス、モバイル、セキュリティ、ソーシャル)の成長からも確認できる。2015年、CAMSSの各事業からの売り上げは合計で前年比26%増の290億ドルに上り、IBM全体の35%を占めるに至っている。ロメッティCEOは「今IBMがどんな会社かを述べるとすれば、『コグニティブソリューションとクラウドプラットフォームの会社』という説明が適切だと思う」と話す。また、パートナービジネスにおけるCAMSSの売り上げ比率も急速に高まっており、パートナー各社のビジネス転換がスムーズに進みつつあるとの見方を示した。

米IBMは、今回のPWLC開催にあわせて、2017年より新たなパートナープログラムを施行することを発表している。新たなプログラムでは、顧客を成功に導くための44種類の「コンピテンシー(能力)」が定義され、コグニティブ・コンピューティング、クラウド、IoT、セキュリティといった分野で能力を発揮できるパートナーにより高い収益がもたらされるという。あわせて、パートナーポータルサイトやワークショップを通じた教育プログラムやサポートの提供をより充実させ、IBMが重視する領域へ向けたパートナーのビジネス転換をいっそう加速させる。

新しいパートナープログラムのコンセプトを説明する
米IBMグローバル・ビジネス・パートナーズのマーク・ドュパキエ・ゼネラルマネージャー

ロメッティCEOは「今日のビジネスのデジタル転換と同様、明日になれば世界は絶対にコグニティブ・コンピューティングを受け入れる。コグニティブがなければわれわれは膨大なデータに飲み込まれ、世界の重要な問題を解決することができなくなる」と述べ、IBM、パートナー、顧客が一丸となって世界を変革できるよう、コグニティブ・コンピューティングの発展に惜しみなく投資していく方針を強調した。

(日高 彰)

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