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2009/03/09 11:00

連載

[週刊BCN 2009年03月09日付 Vol.1275 掲載]

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>84.「IT経営力大賞」シリーズ 久恒衣料(下)

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担当ITコーディネータ

担当者:
横山昌司
所在地:大阪市
実績:大阪府を中心とした関西圏の中小IT化プロジェクトに従事。政府の助成金を使ったプロジェクトは久恒衣料ほか数件担当した実績がある。

バイヤー、メーカー、売場が情報共有

 大分県と福岡県に9店舗を構えるファッション・衣料品店「アビ・ヒサツネ」では、今から3年ほど前の2006年、POS(販売時点管理)システムと連動する新たなEDI(電子データ交換)システムを構築することを決めた。アビ・ヒサツネの製品調達担当者(バイヤー)と売場担当者、そして服飾メーカーの3者間が時差なしに商品の売れ行きをチェックし、商品ラインアップや売場のレイアウト変更を迅速に進めて、売り上げ・利益向上を図るためだ。

 アビ・ヒサツネの特徴は、その広い売場面積と膨大な商品数にある。1000坪の面積に1700台の陳列什器を設置した店舗には、約14万点もの服飾品や寝具、雑貨などが並ぶ。国内外問わず600社の服飾メーカーから製品を調達し、老若男女を問わず服飾関係のあらゆる品が購入できるというのが強みだ。

 だが、14万点もの商品の売れ行きをチェックするのは至難の業。新システムを稼働させる前までは、POSシステムで各商品を単品管理していたが、全商品を適切に管理する体制にはなっていなかった。消費者のニーズは多様化し、商品の価格下落も進んでいるなか、現システムでは業績の向上は図れないと判断したことが、新システムへの移行を決めた最大の理由だった。

 新EDIシステムを構築して3者間が販売データを生成・共有する仕組みを実現したとしても、各商品ごとに一つ一つ確認するのは現実的に不可能。そこで新EDIシステムでは、商品を100~200種類のカテゴリに分け商品群としてひとまとめにして管理する手法を取り入れた。

 新システムのおおまかな流れはこうだ。まずメーカーとバイヤーが共同でカテゴリを創出し、それごとの商品ラインアップを企画、メーカーに発注する。売場担当者はそれを受けて、カテゴリごとにひとまとめにして商品を陳列。その後にカテゴリごとに販売データを分析して、値下げや陳列レイアウトの変更などをカテゴリごとに行う、というわけだ。

 管理画面の一つには、実際の売場レイアウトを表示し、各カテゴリの売れ行きを色で区分けする。こうして、ひと目で売れ筋と死に筋のカテゴリを発見できる仕組みを実現した。

 これらの仕組みで売場の“鮮度”が上がり、売り上げは増加。「モデル部門」とよばれるカテゴリの売り上げは前年度比3%増になった。それだけでなく、過剰な仕入れも抑制することにも結びついた。さらには、レイアウト管理を取り入れたことで、全売場面積のうち40%は活性化できていないことも分かり、改善を図ることができた。

 システム開発作業は、サポート役としてITコーディネータ(ITC)の横山昌司氏を招き入れ、06年夏に開発をスタート。同年冬には開発を終わらせた。07年春からは旧システムとの並行運用を経て問題点を把握・改善。同年6月には新システムへ完全移行した。

 横山ITCはこう振り返る。「最大の難関は、短い開発期間内に納めることだった。新システムのコンセプトはすでにアビ・ヒサツネの担当者が考案していたので、私はRFP(提案依頼書)の書き方やベンダーの選び方、評価項目の設定などをサポートした」。

 膨大な商品数を適切に管理するため、ユニークなコンセプトでEDIシステムを構築した地方の老舗衣料品店。ITを活用したことで、単品管理の限界を打破し、消費低迷を乗り切ろうとしている。
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