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2008/08/11 11:00

連載

[週刊BCN 2008年08月11日付 Vol.1247 掲載]

日本語プログラミングの効果
帝京平成大学教授 大岩 元

 日本語プログラミングの研究を続けてきたが、最近手応えを感じている。入門教育に文法教育が必要なくなり、アルゴリズム構築に直接入れることが確認できたからだ。この影響は単に入門教育にとどまらず、ソフトウェア開発全体に影響を及ぼすのではないかと予測している。

 この研究は、十数年前、教育工学者の西之園晴夫教授から「日本語プログラミング言語のMindはLOGOと比較して格段に教育効果が高いが、商品供給が終りそうで何とかならないか」という相談を受けたことから始めた。考えてみると、これはわれわれ日本人にとって本質的な問題だ。英語をベースとしたLOGOより、日本語ベースのMindが教育効果が高いことは、単に初心者教育の問題ではなく、新しいことを考えることで価値を生むソフトウェア全般に関する問題である。

 プログラミング言語は、英語の処理記述を簡略化したものである。数学記法も同じである。数学もプログラムも、われわれは頭の中で翻訳しながら仕事をしてきたのであり、かなり余計な頭脳労働を強制させられてきたことになる。

 一方、日本語を略記したプログラミング言語を欧米人が作っていることは、気づかれていないが重要な事実である。IBMが力を入れたAPLをはじめ、Mindの元になったForth、印刷用のPost Scriptなどが、日本語の語順の言語である。また、CUIからGUIに変わった時にも、英語の語順から、目的語を先に言ってから動詞を言う日本語の語順に変わった。これは、英語の語順の場合、複雑な処理をしようとすると演算子と演算対象の2つのスタックが必要となるのに対して、日本語の場合は演算対象スタックだけですむという理由によるものと推測される。

 日本語は、仕事を処理するのに適した言語だ。おそらく古代日本人は仕事を合理的に進ませることが興味の中心だったのであろう。

 私の研究室で開発した「ことだまon Squeak」で教育すると、日本語でプログラムが書ける。書いても思った通りには動いてくれないので、自分のプログラムを声を出して読んでごらんなさい、と指導する。課題を設定すれば、これだけで教育は進んでいく。考える教育がなおざりにされて、文法通りプログラムを書くことだけに四苦八苦しているのが、現在のプログラミング入門教育であり、こうした教育からは価値あるプログラムが書ける技術者は生まれにくい。

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