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2009/05/04 11:00

連載

[週刊BCN 2009年05月04日付 Vol.1283 掲載]

夢開く「高音質+DRMフリー」
ジャーナリスト 麻倉怜士

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 便利だけど、音質は“いまさん”というのがiTunesに代表される、今の音楽配信のイメージだが、これからはすっかり変わる。

 オーディオメーカーのクリプトンが6月から始める「HQM(High Quality Music)データ配信サービス」は、二つの点で画期的だ。


 その一つは、圧倒的に音質が良いこと。「96kHzサンプリング/24ビット以上」の高音質なロスレス音源を配信するのである。従来の配信は非可逆圧縮が常識だ。CDは「44.1kHz/16ビット」規格だが、そこから数十分の一も圧縮してしまっては音がよいはずがない。今後は非圧縮やロスレス圧縮は当然で、CD規格より遙かに音の良い音源が音楽配信の主流になる展開が読める。


 CDと同じ音での配信なら利便性は「店に行かなくても、居ながらに手に入る」ことだけであるが、「CDより音の良い」音源であれば、価値が凄く高くなる。HQM配信用のさまざまな音源を聴いたが、音の体積が増え、音場感が生々しく、音の感情表現力が高い──という、素晴らしい音質であった。


 これまでハイファイを謳った配信がなかったわけではない。96/24のロスレス音源のサービスも一部で行われていたが、それらとHQMの違いはDRM(デジタル・ライツ・マネジメント)の有無だ。HQMはDRMフリーなのである。コンテンツ側が不法配付を心配するので、DRMを掛けるのがこれまでの常識だった。しかしDRMがあると、ユーザーにとって非常に不便(ダウンロードしたパソコンでしか再生できない)だとして、クリプトンはDRMを付けない。


 確かに不法配付は問題だが、それはプロバイダなどがきちんと対処することとして、配信を一般に広げるには、今のCD並の優しい使い勝手がないと絶対に無理とする。


 高音質配信には夢がある。1曲ずつ高音質配信で売買できるのであれば、何も楽曲をパッケージ化する必要はない。同時にCDも、CDケースも、ジャケットも不要で、その分、モノや流通にお金をかける必要もなくなる……。またあるライブをドネーション方式、もしくは投資方式で買った人に配信する特別サービスや、世界的なオーケストラの異なるホールでの演奏、異なる指揮者での演奏を聴き比べられるような贅沢も可能になる。


 そのためにも「高音質+著作権保護なし」は絶対条件だ。

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