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2009/11/05 10:10

連載

[週刊BCN 2009年11月02日付 Vol.1307 掲載]

国民番号に対する誤解
サイバー大学 IT総合学部教授 前川 徹

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 民主党のマニフェストの中に歳入庁の創設という項目があり、「社会保険庁は国税庁と統合して『歳入庁』とし、税と保険料を一体的に徴収する」「所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する」という二つの具体策が掲げられている。ぜひ、早期に実現してもらいたい。

 国民に共通番号を付すると、個人の収入、病歴、学歴、職歴、犯罪記録、家族構成などさまざまな情報が芋づる式に知られてしまう危険性が増大するので反対だという「有識者」がいる。

 しかし、その主張は二つの点で間違っている。まず、共通番号を付けたからといって、こうした個人情報が一つの情報システムあるいは一つのファイルで管理されるわけではない。行政上の必要に応じて個々のデータが突合されることはあっても、基本的に情報の管理は変わらない。個々の情報システムのアクセス管理が現状と同じであれば、情報漏えいの危険性は変わらない。共通番号で個人情報が芋づる式に入手できるようになるというのは、まったくの幻想である。

 次に、共通番号を振ることで、個々の情報システムの情報漏えいに関する危険性が大きく変わるわけではないという点だ。共通番号の採用によって、個々の情報のマッチングが正確になることは確かであるが、それは情報の漏えいとは別の話である。コンピュータにとっては、共通番号も「氏名、生年月日、性別、住所」のような個人を識別する情報とそれほどの違いはない。両方ともコンピュータからみれば、0と1からなる文字列である。共通番号のほうが、文字列が短くて少し扱いやすいという程度の差はある。例えば、ある情報システムで私に関する情報を検索する時、私の共通番号で検索するか、私の氏名や生年月日などの情報で検索するかの違いにすぎない。

 多くの情報システムは、個人を識別するために氏名などの情報をもっている。個人が識別できなければ業務に支障をきたすからである。共通番号が個人を識別するための番号なら、氏名、生年月日などの情報も個人を識別するための情報(番号)なのである。

 以上から分かるように、「共通番号が漏れてあらゆる個人情報が入手できるようになったら怖い」という主張は、根拠のない話だ。問題なのは、こうした幻想を増幅して国民に伝えるマスメディアである。言論の自由も重要だが、正しい情報をきちんと伝えるようにしてもらいたい。
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