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2009/12/10 10:58

連載

[週刊BCN 2009年12月07日付 Vol.1312 掲載]

Cellレグザが提案すること
ジャーナリスト 麻倉怜士

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 東芝の液晶テレビ、Cellレグザが話題となっている。私は、「デジタル時代ならではのもの作り」を提案したことがその本質だと思う。

 Cellレグザは、もの凄く高機能・高性能なテレビだ。

(1)LEDバックライトの部分制御を精密に行うことで「500万対1」(白ピーク/黒)というコントラスト比を実現した
(2)三つの超解像手法を搭載した(従来は一つのみ)
(3)音質向上に注力し、高級オーディオクラスの技術を豊富に入れた
(4)全録(地デジ8チャンネル24時間記録)機能。全録用に2TBのHDDを搭載
(5)関連がある番組が画面中央に寄ってくる検索機能「ローミングナビ」を搭載

 など、操作性を革新した。

 しかし、Cellレグザで本当に刮目すべきは製品化の狙いである。東芝の企画担当者はこう明言した。「テレビは急速にコモディティしているが、われわれはそんな流れに逆行する、夢のあるテレビを作りたかった」。

 テレビの価格が下がり、機能的にも大差ないという時代になりつつある。だからこそ、テレビにもう一度夢を与え、ワクワクさせる画質、音質、操作性を仕込むというのだ。今後のテレビは「コモディティ化ではなく、それ自体のものの魅力を持ち、圧倒的なクオリティとメディア性、操作感覚を持つディスプレイ」に向かうべき──というテーゼを満天下に示した。さらにそれを実現する決め手として、マンモスプロセッサーのCellの力を最大限に発揮させたことも画期的だ。Cellが超解像、LEDバックライト、全録、多機能GUI……をすべて一手に制御する。

 これまでテレビの差別化は、大別して「デバイスからの垂直統合」か「絵づくり」かの二つの道があった。シャープは亀山でつくったパネルを搭載したことを全面的にPRし、大きな成功を得た。一方、東芝はパネルは他社製だが、絵づくり技術に徹底的に突っ込むことで、「信号処理で価値をつくる」という新しい路線を確立した。Cellテレビはその延長だ。

 パネルが関わることができるのは画質だけだが、東芝はその以外のメディア性、記録機能、操作性など総合的にテレビを成り立たせている技術を、Cellで前人未踏のレベルまで高めた。つまりパネル技術ではなく、信号処理にこそ、今後のテレビの発展の方向があるということを雄弁に指し示したのである。この二つの点で画期的な意味があるのだ。
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