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2009/12/17 10:00

連載

[週刊BCN 2009年12月14日付 Vol.1313 掲載]

“蔵元”と似ている地域ITベンダー
NPO法人OCP総合研究所理事長 桑山義明

 政府の調査によれば、わが国の情報サービス産業は全国に約1万6000社存在し、その80%は従業員50名未満の中小・小規模企業が占めている。この産業の売り上げの70%以上が東京、神奈川を中心とする首都圏に一極集中し、いわゆる地域ITベンダーは首都圏に所在する大手ITベンダーの下請けという役割に終始するビジネスモデルが大半であるため、地域に広く存在する中小企業に対する「IT供給力」は質的、量的に不足している。

 大手企業の下請け、孫請けのビジネスに甘んじて、最終顧客の顔や利用シーンがわからないままでいる請負い型のビジネスモデルでは、これからさらにスピードアップする顧客のビジネス変革には、自ずとついていけない状態になる。

 今年度、経済産業省は全国ITベンダーの「IT供給力指標」を調査・研究・開発し、全国ITベンダーのデータベースとして公開し、ユーザーとのビジネスマッチングを促進しようとしている。当然、地域のエンドユーザーを顧客として事業展開するITベンダーのみが対象で、下請けだけのベンダーや派遣などは対象外である。これらのベンダーを省くと、全国のITベンダー数の10~20%くらい、すなわち1500~2500社くらいがリストアップされるのかもしれない。

 全国に日本酒の蔵元は、1500~1800社といわれているので、同じような数になる。ITもまさに、地域や生活に密着したビジネスになってきたのだ。

 ネット社会が本格的に到来し、企業経営者がITやネットを活用して解決したいと思う課題の上位にランクされるのは、(1)売上高の向上、(2)顧客の拡大、(3)仕事のやり方を変えたい、である。

 これまでは、コストダウンや業務の効率化などが上位を占めていたが、最近のIT活用は明らかに守りのシステムから攻めの道具として期待され始めている。中小企業の経営者の多くは、効果が実感できさえすればIT投資には積極的で、「わけのわからないITに投資はしない」だけである。ここを間違わないでほしい。

 IT投資にしても、ベンダーは請け負った仕事がどのくらいの手間でできるかの積算で見積もりを作成するし、ユーザーはどのくらいの売上高や生産性を向上させる効果が出るかで予算を考えている。このギャップをうまく埋めるのが、PaaSやSaaSなどのレンタルサービスであり、すぐにスタートできるビジネスモデルやクラウドコンピューティングが注目を浴びることになる。


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