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2010/01/28 10:35

連載

[週刊BCN 2010年01月25日付 Vol.1318 掲載]

AOLとTime Warner──合併から亙解への10年 早稲田大学教授 小林宏一

 ネット版ニューヨーク・タイムズに掲載された二つの記事から「連想」したことが、今回のトピックスとなる。

 記事その一は、1月9日付で掲載された『サイバースペースの子供たち~齢20にして時代遅れの年寄り』というもの。2歳になった愛娘が、(Amazonの)Kindleを抱えながら「これパパの本」と言ったという記者自身の驚きから始まるこの記事で、記者はKindleを初め、(Googleの)Nexus One、近々その登場が噂されるAppleのタブレットPC、Skypeでのビデオチャット、iPhone上でのゲームといった一連のメディア体験によって、自らの世界観・生活観を固めていくことになるであろう娘の将来に思いをはせつつ、上記の装置群が10年前の子供たちにとってまったく無縁のものであったことに注意を喚起する。

 「2年、3年と経過するにつれ、人びとはまったく異なる技術体験をもつ。…大学生は、高校生の兄弟姉妹のふるまいに困惑し、高校生はさらに年下の身内のそれに困惑する」というPewresearch Center 研究員の(記事中の)指摘は、同一年齢層の学生に繰り返し接している筆者自身が感じていることでもある。メディアが、個別にではなくシステム(環境)として目まぐるしくシフトする時代であることの確認──これが今回の連想のいささか長い前置きである。

 そこで翌10日に掲載された第二の記事。この日は、Time WarnerとAOLとの合併が発表されてから10年目ということで、『AOL-Time Warnerの合併は、いかにして道を誤ったのか』という記事が載った。法外な時価総額のついた自社株を背景にした新興企業のAOLが、既成マスメディアの体質を骨の髄まで染みこませたTime Warnerを呑み込むかたちで成就したこの合併は、当時、時代を先取りする企業行動として称揚されたことが思い出される。

 しかし、合併当初よりの同床異夢関係をついに克服できなかった新会社は、アップル、Googleといった後発企業のようにインターネット関連技術の潜在力を引き出して魅力的なコンテンツを注入していくことができず、昨年9月、Time Warnerは、AOLと袂を分かった。

 10年前、この合併を主導した一方の旗頭、Time Warnerの元CEO、G・M・レヴィンによる「この取引は、インターネットそのものによって帳消しにされた」との述懐は、まさに右のような経緯を受け止めたうえでの実感だったのであろう。


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