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2010/03/04 10:35

連載

[週刊BCN 2010年03月01日付 Vol.1323 掲載]

一気呵成のサービス化、流通の備えは万全か?
ノークリサーチ代表取締役 伊嶋謙二

 地方の流通チャネルだけでなく、首都圏の販売店やSI企業、それも規模の大小を問わず等しく厳しい選択を迫られている。ビジネスの継続を真剣に検討すべき時期を迎えたともいえる。大淘汰時代の真っ只中にあり、すべてが生き残れるわけではない。景気のよい時期であったとしても選別の自浄作用は機能しており、この環境下ではなおさら強く働く。

 淘汰の促進要因は、ハード(パッケージソフト)からサービスへの転換である。何が起きるかといえば、ハード、ソフト、サービス/サポート込みの今までのような一括納品ができなくなる。ユーザーは初期投資を極力行わず、従量課金の月額利用料金を支払うだけになる。

 いわば流通チャネルは二律背反の危険な局面に差し掛かっているのだ。コンピュータベンダーはサーバーやクライアント機を流通させつつ、同時にクラウド基盤も構築している。しかし、ベンダー自らがサービスの提供者となると、オンプレミスビジネスと競合する。つまり、棲み分けできない場合は、自らの足を食べながら事業を展開することになる。販売チャネルにサーバーやクライアント機、ソフトを提供しつつも、ベンダー直販がクラウドサービスを同じエリアに「同じIT商品」を放り込むことになる。

 ただし、サービス化のビジネスを成功している事例は、まだ少ない。ISVは、既存のパッケージをあえてSaaSに切り替えるメリットは小さいと高をくくっている。しかし3年後はどうか。5年後にはパッケージとサービスの比率は逆転している可能性が高い。なぜなら、サービス化の流れは想像以上に進化のスピードが速く、来年の今頃を正確に予測することが難しいからだ。不確実で気まぐれなユーザー市場がサービス化に向かいだせば、本流は一挙に変わってしまう。

 サービス化は段階的に着々と進むというより、スイッチが入れば需要は一気になだれ込む。その臨界点に達するのはいつか。身近な販売チャネル(新規含む)が提案しだした時か、あるいは自治体などの行政サービスがどこでも簡単に、キオスク端末のような便利さと気軽さをもって利用できる時かもしれない。

 近い将来の「その時」を迎えた場合を予見して、デフレ経済の逆風も計算に入れて、チャネルの振る舞いは、極めて冷徹な判断を求められている。見極めの時期を逸したら取り返しがつかない。あっという間に不確実な状況は既定事実になってしまうからだ。

■Profile
株式会社ノークリサーチ 代表取締役社長。大手市場調査会社を経て、1998年にノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査、コンサルティングを展開。とくに中堅・中小企業(SMB)市場の分析を得意としている。

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