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2010/03/11 10:36

連載

[週刊BCN 2010年03月08日付 Vol.1324 掲載]

“ネット中毒”に効く薬は…
京都産業大学コンピュータ理工学部教授SRA先端技術研究所非常勤顧問 青木 淳

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 ふだん、ネットに頼り過ぎていないか。少々分からないことがあればWebブラウザで検索、ちょっと人恋しいとか少し暇ができたらSNSやBlogにログインという具合に。

 そんなに頼っていないという人でも、テレビ電子番組表から始まって、書籍や音楽の通販、ネット対戦型ゲーム、視聴者参加番組などに至るまで、ネットを介したものが身の回りに溢れてきたのを感じているはず。今や携帯電話もネット機器の一種。まさにコンピュータネットワークはインフラとなった。

 しかしながら、水道や電気などのインフラと異なるところがあるように思う。節水や節電は叫ばれるが、ネット利用の節約キャンペーンは聞いたことがない。そのあたりをコンピュータネットワークに携わる身として省みてみたい。

 私がいつも持ち歩いているiPhoneにはGPSが内蔵されており、今どこにいるのかが分かる。位置取りができれば、その次は周辺をネットで情報検索。最寄りの駅やレストラン、そして、ストリートビュー等々へ。これが高じると、測位とネットの連携を自分自身に適用する関の山を超える。自分がいかほどの者かをシステムを使って調べるのである。あのひと検索スパイシーやマイミクなどで自身を含めた人間関係を測ったりする。

 得られた情報が当人およびその関係を全射していないことは明らかで、参考程度であるはずなのに、だんだん噛まずに飲み込んでしまっている。クチコミなども手がかりでしかなかったのに、それらを頼りにして物や人を選別してゆく。

 ネット検索して得られる情報は抄録の工夫が施され、それでもたくさんあるので食べ過ぎて消化不良。すると胃腸薬を服用するように、さらにネット検索に走る。そして、今以上に精巧に推薦してくれるもの、適切に忠告してくれるシステムを待ち望む。まるで失敗から学ぶのを恐れるがごとく。

 薬に習慣性があるように、ネットにも常習性がある。いまや私はネット常用者となった。薬を服用することで失うものがある。ネットを常用して失っているものがあるに違いない。鎮痛剤を服用して痛みを抑えても、患部が治っているわけではない。吟味もせずに丸飲みを続ければ味音痴は必定。

 「棺を蓋うて知る(その人の真価は棺に蓋をしたときに決まる)」と言う。自分自身の値打ちをネット上のシステム任せにしたら、この言葉はどうなるのであろうか。
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