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2010/08/26 09:19

連載

[週刊BCN 2010年08月23日付 Vol.1346 掲載]

国内IT市場は、やり方次第で好転する
本紙編集長 谷畑良胤

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 長引く経済不況が影響を及ぼし、2010年の国内IT市場はマイナス成長を余儀なくされる――今年初め、各種調査会社からはこんな予測が相次いで発表された。例えば、IDC Japanが2月に示した「国内製品別IT市場予測」では、09年が前年比成長率マイナス8.2%(最新データではマイナス11%)で、翌10年も同マイナス0.1%と市場規模の縮小傾向が続くと分析。だが、全国取材を通じて定性的にIT市場を観察している本紙編集部の実感では、09年後半以降はITベンダーの口振りに好転の兆しがみえていたことから、この推計に疑問を抱いていた。

 案の定、IDC Japanが7月20日に示した推計では、前年比成長率は0.5%のプラスに転じるという。09年の落ち込み幅が大きく、「戻った」というには心許ない数字ではあるが、推計通りならば3年ぶりのプラス成長になる。国内IT市場が再び成長の道を歩み出しているのだ。

 好転の兆しがみえ始めたのは09年9月頃だったと思う。その当時、全国を巡回してITベンダーに取材したところ、相変わらず「厳しい」との嘆きの声が多いものの、ふた言目には9月以降の業績は毎月、前年同月を上回っているという話をよく聞いた。要因は複数ある。「Windows 7」の登場によるパソコン需要の高まりや、ユーザーがクラウドコンピューティングの普及を見越して高性能なx86サーバーへ積極的な投資を行っていることなどが挙げられる。ソフトウェアもBI(ビジネス・インテリジェンス)や仮想化ソフトなどの需要が堅調で、ここからも企業や団体が将来に向けて“柔軟なシステム”にすべく投資をしていることがうかがえる。

 高価なオフコンや汎用機を導入する時代に比べると、機器自体は低廉化している。その昔、パソコンは1台30万~50万円もしていて、ITベンダーが高い粗利を得やすい商材だった。自動車や家電製品などは、性能が向上しても価格が据え置かれる。メーカーが製造原価を切り詰め、ユーザーが購入しやすい価格を追求してきた結果だ。一方の企業・団体向けITも、1台のハードウェアなどの価格は安価になったが、ITベンダーが提案する際には、全体として昔と変わらないイニシャルコスト(初期投資)が必要な提案しか出てこない。

 ITベンダーにしてみれば、案件を「大型化」し、儲かる構図をつくりたい。顧客側は、コスト削減の折、中・長期的に少しずつシステムを組み立てたい。このギャップこそが、IT市場が再び大きく浮上できない要因に違いない。
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