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2011/03/31 09:10

連載

[週刊BCN 2011年03月28日付 Vol.1376 掲載]

アジャイル開発の“食わず嫌い”をやめよう
サイバー大学 IT総合学部教授 前川 徹

略歴

サイバー大学 IT総合学部教授三重県出身、1978年 通商産業省入省、通産省機械情報産業局情報政策企画室長、JETRO NewYorkセンター産業用電子機器部長、IPAセキュリティセンター所長、早稲田大学客員教授などを経て、2007年4月から現職、コンピュータソフトウェア協会専務理事などを兼任。
 今年もAgile Japanが4月15日に開催される。今年は東京だけでなく、札幌、仙台、富山、名古屋、大阪、松江、岡山など全国のいくつかの都市で同時開催される予定だ。午前は、東京での基調講演が全国のサテライト会場にユーストリームで同時中継され、午後は地域ごとに独自のプログラムが準備されている。アジャイル開発に関心をもつ人、実践している人が全国に増えている証拠だろう。

 1年前にも、このコラムに書いたが、アジャイル開発とは、短期間で反復(イテレーション)を繰り返すソフトウェア開発手法の総称であり、スクラム、エクストリームプログラミング(XP)、FDD(機能駆動開発)などさまざまな手法が考案されている。最大の特徴は、ソフトウェアの仕様を固定せず、変化する環境やユーザーニーズに柔軟に対応しつつ、必要な機能から実現し、完成したものからユーザーにリリースしていく点にある。「プロセスやツール」よりも「人とコミュニケーション」を、「ドキュメント」よりも「動作するソフトウェア」を、「契約交渉」よりも「顧客との協調」を重視することがアジャイル開発の共通点である。

 アジャイル開発は、米国ではすでに最も主要なソフトウェア開発プロセスとして定着している。調査会社のフォレスターリサーチが昨年1月に発表したレポートによれば、「現在利用している開発プロセス」を尋ねた質問に、35%がアジャイル開発を挙げている(ちなみに、ウォーターフォールモデルは13%)。

 一方、日本ではまだ普及の途についたばかりで、古くからソフトウェア開発に従事し、ウォーターフォールモデルに慣れ親しんだ人のなかには、アジャイルと聞くだけで眉をひそめる人が少なくない。しかし、そうした人はアジャイルソフトウェア開発を正しく理解していないことが多い。アジャイル開発手法を、設計をせずに行き当たりばったりでプログラムを書く手法であるとか、優秀なプログラマでなければ実践できないとか、職人的な個人技に依存する手法だとか、とにかく否定的な反応を示す。ただ、こうしたアジャイル開発を正しく理解していない人の批判からは何も生まれない。こうした人は、ぜひAgile Japan 2011に参加してもらいたい。アジャイル開発をよく理解したうえでの批判であれば、そこにアジャイル開発を日本流に改変する道も開けるだろし、日本流の新しい開発手法が生まれる可能性もある。

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