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2012/03/22 09:09

連載

[週刊BCN 2012年03月19日付 Vol.1424 掲載]

化粧品の販売にみるクチコミサイトの威力
サイバー大学IT総合学部教授 前川 徹

略歴

三重県出身、1978年 通商産業省入省、通産省機械情報産業局情報政策企画室長、JETRO NewYorkセンター産業用電子機器部長、IPAセキュリティセンター所長、早稲田大学客員教授などを経て、2007年4月から現職、コンピュータソフトウェア協会専務理事などを兼任。
 化粧品は、マーケティングの視点でみると、実に面白い商品だ。例えば、100円の化粧水もあれば、いかにも高価そうなパッケージに入った1万円を超える化粧水もある。高価なほうが品質がよいかといえば、必ずしもそうとは言い切れない。高価な化粧品でもその人の肌質に合わなければ、期待した効果は得られないし、場合によっては肌荒れの原因になることもある。

 商品は、消費者による品質評価の視点で「探索財」と「経験財」と「信頼財」の三つに分類できる。商品を使用する前に品質をある程度評価できるものが探索財であり、使ってみなければ評価できないものが経験財、使っても評価ができないものが信頼財である。多くの家電は、パンフレットに記載された機能などを比較することが可能である。しかし、レストランなどは、事前に多少の情報は得られても、自ら経験しなければ本当の評価は難しい。ちなみに医療サービスは経験してもその評価が難しく、信頼財に分類される。

 化粧品は典型的な経験財である。そのため、化粧品メーカーはサンプルを店頭で配布したり、女性誌の付録にしたりして試用を促している。新商品のよさを消費者に伝えるには、実際に使ってもらうのが最も説得力のある方法だからである。一方、化粧品のマーケティングで最近、重要性を増しているのがクチコミサイトだ。例えば、@cosme(アットコスメ)は、口コミ投稿数900万件以上、毎月の訪問者数700万人という、間違いなく化粧品市場に大きな影響をもつサイトに成長している。@cosmeの場合、投稿できるのは登録ユーザーのみで、登録ユーザーは年齢、肌質、髪質・髪量、好み・タイプ・関心といった属性を登録している。これによって利用者は、自分と同じようなユーザーだけの投稿や評価を閲覧することができる。つまり、経験財であるはずの化粧品が、インターネット上のクチコミサイトによって事前評価ができる探索財に変化していると考えることも可能だ。

 これは化粧品メーカーにとっては大きな環境変化である。品質がよくない商品は、どれだけ豪華なパッケージで飾っても売れない。広告やブランドの影響力が下がり、本当に質の高い商品の売り上げが伸びる。実際、化粧品に詳しい専門家によれば、この数年で化粧品全体として、質の向上と価格の低下がみられるという。この消費者にとって非常に好ましい変化は、クチコミサイトというソーシャルメディアがもたらした効用の一つである。

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