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2012/08/09 09:09

連載

[週刊BCN 2012年08月06日付 Vol.1443 掲載]

モバイルでスピーディーな意思決定を
デロイトトーマツコンサルティングパートナー 八子知礼

略歴

八子 知礼(やこ とものり)
1971年生まれ、愛媛県出身。松下電工(現・パナソニック電工)、外資系コンサルティング会社等を経て現職。ハイテク・メディア・通信業界を中心に、新規事業戦略、業務改革等に従事している。著書に「図解クラウド早わかり」(日経BP社刊)がある。ITProにて“八子・モバイルクラウド研究所”を連載中。
 この欄で前回述べた「もっと真剣に、モバイル導入に取り組め」とタイトル付けした記事には、読者から多くの反響があった。営業部門など、企業の第一線では、それくらい緊急度とニーズの高い話なのだ。一方で、経営者の意識はどうだろう。

 スマートフォンやタブレットを持ち歩いている経営者と、そうでない経営者では意思決定のスピードや精度、生産性は明らかに異なる。もちろん、それらモバイルデバイスにはメールやグループウェアだけではなく、意思決定のための素材となるデータやBIツールによるマネジメントダッシュボードが提供されていることが大前提ではあるが……。企業内ソーシャルツールなどが組み込まれていれば、モバイルデバイスを使っているその現場からの意見やフィードバックが瞬く間に関係者全員に広がり、アクションが手に取るように把握できる。マネジメントダッシュボードでも未達の数字の分析指示、店舗への改善指示などが関係者を巻き込みながらスムーズにできるわけだ。

 同じモバイルでも、従来型の携帯電話だとこうはいかない。携帯電話をフル活用して「モバイル活用」を自認する経営幹部、役員諸氏がおられる。地位が高い人たちは、いちいちメールを書いているヒマがなく、電話一本でいろいろな物事を動かす、という自負があることは理解できる。しかしながら一対一がコミュニケーションのベースとなる電話では、つながった相手先がそこから指示を解釈して展開しなければならず、当然ここで一階層が入ることでスピードが遅くなるばかりか温度感や伝わり方が変わってしまう可能性が高い。モバイルを活用せずにデスクでパソコンにしがみついている幹部役員であれば、現場の温度感がわからないまま指示を出しているケースも多いはずだ。

 こうした役員の指示が複数部門を巻き込めば、どんな事態が起きるか。部門間の壁が存在するというだけでなく、事象が起こっている現場や、そのレポートを受け取ったその場で即座に意思決定や対応を行うことができず、組織内に理解・展開されるまでに時間がかかってしまう。意思決定や業務指示がリアルタイムに組織内伝搬しないのだ。

 電話で業務指示を飛ばしまくる役員諸氏、デスクにしがみついている役員諸氏は、モバイルデバイスを真剣に活用することが、スピーディーな組織運営と競争力強化につながることをそろそろ理解してもいいだろう。

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