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2012/09/27 09:09

連載

[週刊BCN 2012年09月24日付 Vol.1449 掲載]

国の緊急雇用対策事業で生まれたアプリ
ソフトピアジャパン理事長 熊坂賢次

略歴

熊坂 賢次(くまさか けんじ)
1947年1月生まれ、東京都出身。69年早稲田大学政治経済学部卒業、79年慶應義塾大学院社会学研究科博士課程修了。90年慶應義塾大学環境情報学部助教授、現在、同学部教授。03年から岐阜県大垣市に本拠を置くソフトピアジャパンの理事長を兼務。
 9月末から10月中旬にかけて、「ぎふ清流国体/ぎふ清流大会」が催される。全国から各県を代表する選手が結集し、8月からのロンドンオリンピックとパラリンピックの熱狂を引き継いで、スポーツの祭典が岐阜県内の各地で開催される。

 今回の国体/大会で、岐阜県は今までにない広報を展開して、他県から注目されている。ソーシャルな時代にふさわしく、行政自体で「ミナモアプリ」というスマートフォンのオリジナルアプリを開発し、それをリリースして、地元だけでなく他県から応援に来るみなさんにも活用してもらい、イベントを盛り上げようとしているからである。リリースされた4本のアプリは、会場までの案内をする「ミナモナビ」、会場ごとにオリジナル・キャラクターと一緒に写真を撮る「ミナモカメラ」など、県内に散在する多くの会場をつなげて、楽しめる工夫を凝らしたもので、従来の広報のあり方とはひと味違うユニーク性をもっている。

 ここで強調したいのは、このアプリ開発が、以前このコラムでも紹介した、国の緊急雇用創出事業の基金を活用した人材育成事業で、岐阜県が提案したスマートフォン開発人材100人の構想の下に実現された点である。つまり、1年前には未就業者であり、しかも情報技術の経験がないような人たちが、4本のアプリを自主的に開発し、岐阜県国体の広報の一翼を担うまでに成長した、ということである。国の緊急雇用対策の事業でここまで具体的な成果を出した例は稀有ではなかろうか。

 未就業者にとって魅力的な仕事のイメージがあり、彼らを受け入れる企業が自社雇用への強い覚悟をもって研修を実施し、それを支援する行政がきめ細やかな調整機能をもち、しかも今回のような成功体験があれば、新規の雇用創出への出口は見えてくる。岐阜県がスマートフォン人材構想を今年度もさらに推進する根拠は、このような一連の仕組みがあれば地元の企業も未就業者も等しく着実な実績を生み出すことができる、という好ましい経済循環を維持できると確信するに至ったからである。

 「ミナモアプリ」が多くのみなさんに活用されることで、地域文化の歴史的な価値が再確認されると同時に、従来なかった地域経済の産業的な価値が創造され、ここに地域活性化の山が一歩動き始めるのである。

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