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2013/07/25 09:10

連載

[週刊BCN 2013年07月22日付 Vol.1490 掲載]

「ヤマ勘マーケティング」の威力はいかほどか
新文化通信社 社長 丸島基和

略歴

丸島 基和(まるしま もとかず)
 1963年、東京都生まれ。85年、法政大学卒業。同年、ニッパン・ポニー入社。その後、取次会社日本出版販売に出向し、ビデオ・CDレンタルなどの複合書店の出店事業に携わる。89年、出版業界専門紙『新文化』を発行する新文化通信社に入社。広告部を経て『新文化』編集長を12年間務め、05年、社長に就任。
 「最近、電車の中で電子書籍を読んでいる人が少なくなった」。出版社に勤務する人からこんな声が聞こえてきた。昨年末あたりは、電車に乗っても、喫茶店に入ってもデバイスを片手に電子書籍を読んでいると思われる人が散見されたが、ここ数か月はトンと見かけなくなってしまったと言うのだ。

 言われてみると、確かにそうだ。むしろ、紙の本を手にしている人が増えたようでもある。それに該当するデータらしきものはないが、その場に居合わせた誰もがうなずいた。デジタルユーザーは新幹線で一人ぐらい見かけたような……。

 こうした何の根拠もない「ヤマ勘マーケティング」は意外と当たる。出版業界では、少年マンガ誌の発行部数について、都内の山手線で一人読んでいたら30万部、それが5人なら150万部などというテキトーな算出法があったが、これがまんざらでもない。『少年ジャンプ』は1994年から95年のピーク時には650万部超を発行し、「世界一の週刊誌」と称された。その頃は、本を手にしている人、網棚に捨てられたものを含めて10冊ぐらいは車内に“存在”していたといわれる。

 電子書籍は、はやりものに敏感なユーザーが一時的に利用していたが、飽きてしまったというのか。しかし、その一方で出版社における電子書籍の売り上げは伸長している。

 ある出版関係者曰く、「電子書籍は夜に読む傾向が強く、旅先でというユーザーもいる」。つまり、紙と電子書籍を使い分けているということらしい。いま、日本で流通している電子書籍はタイトル数にしておよそ30万点。紙の本の点数は80万点であるから、この数年で一定のボリュームになった。しかし、その実態はコミックスやアダルト関連のコンテンツが多く、一般書や専門書の銘柄はまだまだ十分とはいえない。デジタル化されたラインアップが変われば、電車の中の風景も変わるのかもしれない。

 与太話が長くなり過ぎた。ところで、電子書籍を手がける出版社の重要課題は権利問題である。この業界トップは、違法ダウンロードなど海賊版の撲滅を目指して出版者の権利付与を求めていたが、国会議員や経団連などとの話合いが遅々として進まない。著者の権利を出版社に与えることで、海賊版事業者を出版社が取り締まれる。これが確立しないと、正規の課金ビジネスは成り立たず、デジタルコンテンツ事業は拡大しない。ここはテキトーにというわけにはいかない。

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