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2013/08/22 09:10

連載

[週刊BCN 2013年08月12日付 Vol.1493 掲載]

「鶏ちゃん」ブームの裏にスマートフォンあり
ソフトピアジャパン 理事長 熊坂賢次

略歴

熊坂 賢次(くまさか けんじ)
 1947年1月生まれ、東京都出身。69年早稲田大学政治経済学部卒業、79年慶應義塾大学院社会学研究科博士課程修了。90年慶應義塾大学環境情報学部助教授、現在、同学部教授。03年から岐阜県大垣市に本拠を置くソフトピアジャパンの理事長を兼務。
 「鶏ちゃん」と書いて、「けいちゃん」と読む。ニワトリちゃんではない。奇妙な書き出しだが、この鶏ちゃんを知っていたら、その人は生粋の岐阜県人か、さもなければB級グルメオタクだろう。これは岐阜県中央部の高山や下呂あたりの家庭料理で、北海道のジンギスカン料理から派生したものだ。ルーツは1918年の緬羊百万頭計画(軍隊などの制服に必要な緬羊を大量生産する計画)らしく、余談だが、村上春樹の『羊をめぐる冒険』にも登場する。ジンギスカン料理は、そこで飼育された羊の臭みを消すために発見された調理法である。しかし緬羊計画が頓挫すると、北海道以外では、その調理法は消えてしまったが、岐阜県では、羊の代わりに鶏が採用され、ジンギスカン料理の鶏バージョンができあがったというわけだ。

 いま「鶏ちゃん合衆国」というコミュニティが岐阜で賑わっている。なんでそんな命名なのかというと、鶏ちゃんの味つけは地域や店舗によって実にさまざまで、その多様性をまとめるには緩やかなネットワーク化しかないということで、合衆国としたようだ。地方の伝統的で素朴な味の深みとそのレシピの多様性の対照性こそが食文化の先端性だという自負がみられる。

 とすれば、これをネットワーク環境で支援するスマートフォンツールをつくるというのは想定の範囲内である。岐阜県お馴染みの緊急雇用対策で、「スマートフォンアプリ開発人材育成事業」の研修生がわずか1年の研修で、よくできた「鶏ちゃん合衆国アプリ」を開発し、最近リリースした。店舗情報を徹底してオープンにして、各店舗が個性を競いあうことで、郷土料理としてブラッシュアップされ、だからこそ鶏ちゃんブランドを求めて県外の観光客が岐阜にやってくる、という好循環のビジネスモデルを想定したものだ。いかにすればリアルな現場で利用され、そのビジネスを活性化することができるか、そのことがスマートフォンの価値を決める基準になっている。

 地方はいま必死になって小さな成長戦略を模索し、実践している。隠されたご当地B級グルメが外部の人に伝わると、一気にブレークするチャンスが広がる。食文化ばかりか、地方の伝統がもつ文化資源を、スマートフォンのようなコミュニケーションツールと連動させることで、これまでなかった価値を創出する、そんな戦術を指向するのが岐阜県の情報政策なのだ。スマートフォンはそんな地方の価値を伝える大切なツールなのである。

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