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2013/11/14 09:06

連載

[週刊BCN 2013年11月11日付 Vol.1505 掲載]

進化を続けるスマートグリッド
東京大学大学院 情報理工学系研究科教授 江崎 浩

略歴

江崎 浩(えさき ひろし)
 1963年生まれ、福岡県出身。1987年、九州大学工学研究科電子工学専攻修士課程修了。同年4月、東芝に入社し、ATMネットワーク制御技術の研究に従事。1998年10月、東京大学大型計算機センター助教授、2005年4月より現職。WIDEプロジェクト代表。東大グリーンICTプロジェクト代表、MPLS JAPAN代表、IPv6普及・高度化推進協議会専務理事、JPNIC副理事長などを務める。
 日本のスマートグリッドは、東日本大震災を機に導入が加速したが、その推進役は、「節電・省エネ」と、政府主導による「再生可能エネルギー(太陽光発電など)」だった。原子力発電所の稼働停止という条件の下、火力発電の増強と需要家側の節電・省エネによって、電力単価は上昇しつつも、電力の安定供給が実現された。しかし、再生可能エネルギー発電設備の基幹電力システムへの接続は、基幹電力伝送システムへの逆潮流対応のための追加投資を必要とし、結果的に電力単価の上昇の原因の一つとなっている。再生可能エネルギー源を、従来からの発電源に加えることは、発電源の多様化と電力自由化の観点から、わが国において推進しなければならない長期的な方向性であることであることは間違いないが、太陽光発電に偏りすぎない多様な発電源の研究開発が推進されるべきと考える。
 インターネットは、完全な同期網として設計・構築・運用されてきた国ごとに存在した電話会社を、非同期技術をバッファ機能とともに導入することで、自律分散型の投資・構築・運用へと変革させたとみることができる。同じことが、エネルギーシステムに起こりつつあるのではないか。蓄電機能の導入は、需要家側だけではなく、供給者側にも起こりつつあることをみても、そのことは明らかだ。電力システムへのバッファ機能(蓄電機能)の導入とともに進行しているのが、小規模発電・創エネルギーシステムの設置・運用コストの急激な低下だ。これは、発電機能を都市部から排除するという、これまでの概念・前提を否定して、電力供給システムの根本的な構造変革を具現化する可能性をもっているように思える。
 拡大を続けるデータセンターは、大量の電力を消費することもあって、グリーン化(節電・省エネ)を積極的に推進してきた。それが、発電設備を備えて、外部電力に頼らない自立型データセンターへと進化しようとしている。次の段階では、データセンターが、市街地に電力、熱を供給するほか、ITサービスを提供するスマートシティの頭脳であり、心肺機能となることが期待される。すなわち、データセンターが、街のエネルギーポートフォリオを変革し、ITサービスだけでなく、エネルギー(電力と熱)セキュリティに関する重要拠点となるシナリオが考えられる。...

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