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2012/08/09 09:21

連載

[週刊BCN 2012年08月06日付 Vol.1443 掲載]

<ITベンチャー新時代の鼓動>最終回 課題は残るが、見え始めた明るい兆し 支援の枠組みがグローバル展開を後押し

 起業大国の米国では、日本に比べてIPO(新規株式公開)に至るハードルが高く、倒産する企業も多い。だが、失敗しても再チャレンジできる機会が与えられている。だからこそ、ITベンチャーが続々と生まれる。「30代で起業して、15年くらいしてからIPOを行う。40代半ばでリタイアした後は、後進の育成に力を入れる」と語るのは、MJS税経システム研究所 経営システム研究会顧問・座長を務める早稲田大学の松田修一名誉教授 商学博士だ。

 一方で日本の場合は、「きちんと死なない(清算しない)のが問題だ」という。死に体のまま、ずるずると延命を図ろうとする傾向があり、失敗してから再チャレンジする機会も十分とはいえない。松田名誉教授が指摘するのは、税制改革などを通じた“敗者復活戦が可能な社会づくり”の必要性だ。

 こうした課題がある一方で、明るい兆しもある。ITベンチャーが育つ土壌が整備されてきているのだ。ビジネスコンテストやインキュベーション、出資をセットとするスタートアップ支援に携わる独立系ITベンチャーキャピタル(VC)が増加。かつて投資を受けて成功した起業家は、エンジェルやベンチャーキャピタリストとして、後に続くITベンチャー支援の枠組みをつくっている。この連載では、こうした新しい流れのなかで生まれてきたITベンチャーを数多く紹介してきた。

 起業→海外展開→成功・失敗→学習→起業というサイクルを確立するために新たな取り組みも出てきた。ITベンチャーの投資育成事業を展開するサンブリッジは、国内ITベンチャーの米国進出に際して資金調達や社長の登用を支援し、シリコンバレーのベンチャーコミュニティと合弁会社を設立する計画を明らかにしている。主戦場は、米国をはじめとするグローバル市場というわけである。海外で事業を展開するITベンチャーを支援し、成功をもぎ取るというモデルケースの構築を目指す。

 世界の有望なテクノロジーベンチャー企業100社に贈られる、米国のビジネス誌Red Herringの「Red Herring 100 Global Award」のファイナリスト(最終選考進出者)に選ばれたソニックスは、クラウドベースでグローバルレベルのサービスを指向し、海外でのIPOやM&Aを検討している。

 今、こうしたグローバル展開を前提にサービスを開発しているITベンチャーが増えているだけに、サンブリッジのような“橋渡しビジネス”は、盛り上がってくる可能性がある。(信澤健太)

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