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2010/08/03 12:12

連載

<定石を再考する~調査データの裏に見えるSMBの実態~>第3回 「サーバ仮想化は重要度の低い業務から」は過去の話(1/2)

プロフィール

岩上 由高(いわかみ ゆたか)
1971年、東京都生まれ。96年3月、早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻修了。ジャストシステム、ソニーシステムデザイン(現ソニーグローバルソリューションズ)、フィードパスなどを経て、07年にノークリサーチ入社。シニアアナリストとして、IT産業の調査・研究、コンサルティングを手がける。主な著書に「AdobeAIRの基本と実践」(日経BP社刊)などがある。
 サーバーの仮想化は、大企業だけでなく、中堅・中小企業(SMB)でも普及が進んでいる。【図1】は、年商5~500億円のユーザー企業に対して、サーバ仮想化の取り組み状況を聞いた結果である。2009年2月時点と10年2月時点を比較すると、いずれの年商帯においても、「活用または検討中」という回答比率が大きく増加していることがわかる。

サーバー仮想化への取り組み状況

 サーバ台数がそれほど多くないはずのSMBが、「サーバー仮想化に対してこれほど高い関心を示すのはなぜか?」と疑問に思われるかも知れない。確かに、大企業におけるサーバー仮想化の主な目的は、サーバー統合による管理・運用の効率化とコスト削減だ。しかし、サーバー台数の少ないSMBでは、大企業とは少し異なったサーバー仮想化の活用目的がある。

 それを示したのが【図2】だ。サーバー仮想化の目的または期待する効果をたずね、その結果を年商別に集計したものである。

サーバー仮想化の目的

 年商100億円以上のユーザー企業では、「サーバー運用管理作業の軽減」「消費電力や設置スペースなどの維持コストの削減」「サーバーリソースの最適化」といったようにサーバー統合に関連する項目が多く挙げられている。中堅企業の中でも比較的年商の高い層では、大企業と類似した傾向を示しているといえる。

 一方、年商50~100億円のユーザー企業では、「システムの安定稼働」の割合が高くなっている。サーバーの仮想化は、物理サーバーからシステムを分離することによって、物理サーバー障害に対するシステムの安定性を高めることができる。

 システムごとにクラスタ構成を組むよりも、コストや運用管理の面で有利な場合もあるだろう。このように、比較的低い年商帯の中堅企業は、システムの安定性を高める手段としてサーバーの仮想化に着目している。

 年商5~50億円の中小企業になると、また状況が変わってくる。ここで注目すべきは、「古いOSやアプリケーションを延命させる目的」という項目だ。他の項目は中堅企業と比べると回答割合が少ないが、“レガシー資産延命”の項目だけは、中堅企業とほとんど変わらない数値を示している。

 つまり、中小企業においては、サーバー仮想化の目的や期待する効果として、レガシー資産延命の占める比率が相対的に高いことになる。IT予算も少なく、情報システム担当者も不在であることの多い中小企業では、最新のサーバーでは稼働がサポートされない古いOS上で稼働するシステムを使い続けているケースも少なくない。システムをリプレースできればベストだが、可能な限りコストと手間をかけず、とりあえず物理サーバーのトラブルを回避したいと考えているわけだ。その点では、仮想化されたサーバー環境上で現行システムを稼働させる対策が現実路線となってくる。

 このように、サーバーの仮想化が広まりつつあるという状況は変わらないが、「サーバーの仮想化に何を期待するか?」という点では、ユーザー企業の規模に応じて違いが出てくることに留意する必要がある。実は、SMBにサーバーの仮想化を訴求する際に注意すべき点がもう一つある。それは「どういった用途のサーバーから仮想化を進めていくべきか?」である。

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