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2010/12/03 16:05

連載

<定石を再考する~調査データの裏に見えるSMBの実態~>第7回 顧客との対面が目的化してしまわないように気をつけよう(1/2)

プロフィール

岩上 由高(いわかみ ゆたか)

1971年、東京都生まれ。96年3月、早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻修了。ジャストシステム、ソニーシステムデザイン(現ソニーグローバルソリューションズ)、フィードパスなどを経て、07年にノークリサーチ入社。シニアアナリストとして、IT産業の調査・研究、コンサルティングを手がける。主な著書に「クラウド大全」(日経BP社刊、共著)などがある。
 中堅・中小企業がIT活用で最も重視するのは、必ずしも価格とは限らない――この傾向は、すでに多くの人がご存知だ。IT投資にかけられる費用が少なくなればなるほど、「安物買いの銭失い」にならないように、着実に効果をあげる必要が出てくる。導入前に、「自社できちんと活用できるか」をきちんと確認しておきたいという意向が強まってくるわけだ。

 念のために最新動向を確認しておこう。図1は、2010年8月の調査で、年商500億円の中堅・中小企業に対して「IT活用の主要な委託先/購入先に今後望むこと」をたずねた結果である。

主要委託先・購入先に今後望むこと(3つまで選択)

 引き続き厳しい経済環境を受けて、いずれの年商帯でも「保守/サポート料金の引き下げ」が高くなっている。しかし、「導入可否や導入妥当性を判断できる豊富な情報提供」が、「製品やサービスの販売価格の引き下げ」や「無償での評価や試用のサービス」を大きく上回っている点に着目していただきたい。冒頭に述べた「自社できちんと活用できるか」を、正しく判断したいという意向が依然として高いことがわかるだろう。

 ITを提供する側には、「自らが提案しようとしているソリューションがユーザー企業に適合しているか?」を、わかりやすく説明することが求められる。ここでの「適合」とは、星取表による機能の充足度や、データ量・利用頻度を踏まえたシステム設計などの技術面にとどまらない。

 むしろ重要なのは、ユーザー企業が「無理なく使いこなせるか」という点だ。技術的には要件をきちんと満たしているのに、利用する部署の社員が新しいシステムの習得に難色を示したために、あまり使われなくなってしまうというケースも実際にある。中堅・中小企業へのソリューション提供で、「モノ」だけでなく「ヒト」の観点も重要であると語られることが多いのも、こうした理由による。

 その結果、「中堅・中小市場を攻略するには、まず対面のコミュニケーションをせよ」が、ある種のセオリーといえるものになっている。確かに、中堅・中小企業の多くが主要な委託先/購入先として名を挙げる大塚商会やオービックなどのIT企業は、いずれも対面のコミュニケーションを非常に重視している。こうしたコミュニケーションは、中堅・中小企業に対するソリューション提供には不可欠な要素の一つといっていいだろう。

 だからといって、やたらとユーザー企業への訪問頻度を高めたり、メールや電話などでアプローチを重ねることが得策ということではない。ユーザー企業が求めているのは、自社の現状や要件を理解してくれるIT企業の力を借りて自社の業績を改善させることであり、IT企業とのコミュニケーションを重ねることではないのだ。

 また、「とにかく黙ってユーザー企業の話を聞く」というのも、誤解されやすいノウハウの一つだ。すでにユーザー企業と信頼関係を構築していて、ユーザー企業が自ら課題や悩みを語ってくれる素地ができている場合は、こうしたアプローチが適している。だが、ユーザ企業との付き合いがまだ浅かったり、ユーザー企業自身が何をどうしたらいいのかわからないという状況の場合には、お互いが「待ち」の状態に陥ってしまう。

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