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2015/04/16 09:07

連載

[週刊BCN 2015年04月13日付 Vol.1575 掲載]

<畔上編集長が今、いちばん気になるクラウド>第1回 サイボウズのクラウドはどこまで進化するのか 1万社達成の今とこれからを社長に聞く

 隆盛を極めたITベンダーが、市場環境の急激な変化に乗り遅れることがある。「まだ、大丈夫。十分に売れている。利益が出ている」。時代の変化に敏感なベンチャー企業が、その市場で台頭してくる。劣勢に気づいたときには、もはや手遅れということになりかねない。グループウェアで隆盛を極めたサイボウズはどう対応したのか。“クラウドカンパニー”への変身を遂げ、今年3月に利用企業が1万社を突破したサイボウズの取り組みを短期集中連載でお伝えする。第1回目となる今回は、青野慶久社長にクラウドへの取り組みと今後の戦略について聞いた。

Key Personに聞く サイボウズ 青野慶久社長

●クラウドカンパニーへの変革に パートナー各社は猛反対

サイボウズ
社長 青野慶久氏
 サイボウズがクラウドカンパニーへの変革を宣言したのは、3年前だ。クラウドファーストが浸透し始めていたことから、当然の対応といえるが、パートナーの反応は違った。「パートナー各社から猛反対されてしまい、これまで販売したパッケージを買い上げろというクレームもあった」と青野慶久社長は当時を振り返る。

 クラウドのビジネスモデルは、月々の利用料金がベースのストックビジネスであることから、導入時の売り上げが小さい。しかも、クラウドサービスを提供するのはサイボウズであるため、多くのパートナーが顧客と売り上げをもっていかれると危惧した。

 「クラウドを始めてから1年間は、なかなか信用してもらえなかった。とはいえ、ユーザーはクラウド型のサービスを望んでいた。そこにしっかり訴求していくことで、ユーザーニーズがあることを証明し、パートナーのみなさんを説得していった」(青野社長)。

 サイボウズがパートナー重視の姿勢をみせたこと、スタート時から高い品質で安定稼働を維持したこと、そしてセキュリティ対策にも注力したことで、「強固に反対していたパートナーも、今では積極的にクラウドサービスを販売している」という。パートナーとの二人三脚の歩みは、今後も着実に進めていく。「今年はパートナーのサポートを強化する。人的にも、技術的にもしっかり支援していく」と青野社長は力を込める。

●開発本部長を兼任 クラウドの開発に注力

 このほど青野社長は、社長兼任でグローバル開発本部長に就任した。「クラウドの売り上げが安定するまではと、この数年は販売に特化してきたが、これからは開発を優先していきたい」との思いからだ。サイボウズのクラウドには多くの実績があり、安定性や使いやすさで高い評価を得ていることから、なぜこの時期なのかという疑問を抱かずにはいられない。「cybozu.comの完成度は高いが、これからどんな開発をしていくのか」と問いかけてみると、青野社長はこう答えた。「まだまだやりたいことの1%もできていない。開発本部長として、まだ達成していない99%の実現に向けて動き出す」。青野社長の考えは一歩も二歩も先にある。

 もちろん、これまでの開発にも自信をもっている。同社の技術力について「欧米の最先端のサービスと比較しても決して負けない世界トップレベルにある」と青野社長は語る。グローバル市場に打って出る方針を明確にしているのは、技術力に自信があるからだ。進化への意欲と他の追随を許さない開発力が同社の生命線であり、そこをさらに伸ばしたいという意気込みを、グローバル開発本部長への就任で明確にしたというわけだ。

●kintoneがシステム開発の概念を変える

 cybozu.comのなかでPaaS(Platform as a Service)として分類されるクラウドサービスが、「kintone」だ。注目すべきは、kintoneにはシステム開発の概念を変える力があるということ。「kintoneを使った開発を“リアルタイム・アジャイル”と呼んでいる」というと、青野社長は乗ってきた。「それはいいですね。確かに、打ち合わせの場で開発して、その場で納品できるのもkintoneの特徴だから」。システム構築のスピードと安定稼働を重視するパートナーが、積極的にkintoneを採用しているのはそのためだ。

 グローバル開発本部長に就任した青野社長は、cybozu.comのなかでも主にkintoneに注力していくという。さまざまなシステムを簡単に構築できるkintoneだが、青野社長には決してぶれることのない方針がある。「kintoneは、当社が考える“グループウェア”という分野の延長線上にある。コンセプトは、組織で働く人がコラボレーションして効果を最大化するための環境を提供するというもの」。企業内ないしは企業間でのコラボレーションを活性化させるための工夫は無限にある。多くのパートナーがサイボウズのクラウドを安心して支持できるのは、技術力やサービスのよさだけでなく、この方針があるからかもしれない。クラウドベンダーへの変革を成し遂げたサイボウズの今後に、期待を掻き立てられる。


編集長の眼
経営者の強い意志が開く無限の可能性

 kintoneは当初、クラウドサービスとしての開発はしていなかった。それを青野社長が、これからはクラウドだということで方針変更を指示したという。それだけに、kintoneへの思い入れも強いはずだ。グローバル開発本部長として、主にkintoneの開発に携わるというのも納得できる。サイボウズのクラウドは、どこまで進化するのか。気にならずにはいられない。

 無限の可能性を感じさせるkintoneだが、その力を引き出すのはパートナーだ。サイボウズのクラウドに対して、パートナーは当初否定的だったというが、どのような点を懸念したのか、それは本当に解決されたのか。そこも気になる。

 次回は、サイボウズの取り組みから、クラウドに最適なパートナープログラムを探る。


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