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2015/05/14 09:08

連載

[週刊BCN 2015年05月11日付 Vol.1578 掲載]

<畔上編集長が今、いちばん気になるクラウド>第4回 独走する国産PaaSはどこまで進化し続けるのか グループウェアを変えるグループウェア

 グループウェアのサイボウズ。そのイメージを大きく飛躍させたのが、アプリケーション開発プラットフォーム「kintone」だ。利用企業が1万社を超えたサイボウズのクラウドサービス群「cybozu.com」において、kintoneの貢献度はとても大きい。使いやすさと高い信頼性で、システム開発のあり方を大きく変えたとされるkintoneだが、実のところどうなのだろうか。今回はkintoneプロダクトマネージャーの伊佐政隆氏へのインタビューから、kintoneの魅力と可能性を探った。

気になる業務アプリ開発プラットフォーム kintone

●あらゆるチームワークを支えるプラットフォーム

サイボウズ
kintoneプロダクト
マネージャー
伊佐政隆氏
 「kintoneは、グループウェアの延長線上にあるサービス。とくに強調しているのは、『チームワークプラットフォーム』というコンセプトで、チームで業務を行うときの効果を最大化できるということ」と伊佐氏は語る。

 チームが数人規模であれば、「Microsoft Excel」といった表計算ソフトで顧客情報や販売履歴などを管理することがある。しかし、勝手に項目を追加できたり、最新ファイルの所在が曖昧になるなど、運用には多くの課題が発生する。ましてや複数の部門をまたいだ業務となると、より深刻だ。

 kintoneは、社内のチームはもちろん、部門や会社の垣根を越えた業務も含めた利用を想定している。チームのかたちは一つではないし、規模が数人ともかぎらない。その幅広い“チーム”をサポートできるプラットフォームが、kintoneというわけだ。また、kintoneでは自社専用の業務アプリをドラッグ・アンド・ドロップで作成するだけでなく、Excelデータから作成する機能も用意されているため、部門レベルでも導入しやすい。スマートフォンからの利用も標準対応されているため、チーム内のデータ共有や利用は一気に容易になる。

●APIによるカスタマイズにSIerのビジネスチャンス

 kintoneは、ユーザーでも使いやすいシステムを簡単に作れるところが最大の魅力である。ただし、ノンプログラミングでユーザーのすべてのニーズを満たせるとは限らない。そのため、kintoneではプログラミング環境が提供されており、細かなニーズにも対応できるようになっている。また、他システムとの連携を実現するAPIも提供している。CSSを使ったデザインのカスタマイズも可能だ。

 「ドラッグ・アンド・ドロップ(もしくはノンプログラミング)でプロトタイプが高速に開発できる特徴と、運用後に発生する個別ニーズに応えるためのカスタマイズ性を備えており、SIerにこそ大きなビジネスチャンスがある」と伊佐氏は考えている。

 こうしてみると、kintoneはグループウェアの延長線というよりも、万能なサービスに思えてくる。この点について伊佐氏は次のように説明する。「業務システムは通常、データベースとプロセス管理で構成されている。kintoneは、そこにコミュニケーションが加わっていることに大きな価値がある。データベース機能だけを使うデータ分析や、プロセス管理だけなら別のツールで済む。しかし、チームで業務を行うには、『データベース+プロセス管理+コミュニケーション』がセットになることで、ノウハウを蓄積できるし、より成果を発揮できる」。

 最近、注目のビッグデータでいえば、M2Mの膨大なデータ分析よりも、集めたデータをチームで共有してワークフロー化する、M2M2H(ヒューマン)の実現にこそ、kintoneの価値があるのだ。

 「今、われわれが重視しているのは、常に社外や顧客と触れている業務部門に現場ニーズを聞くこと。そこには、情報システム部門だけでは把握していなかった業務上の問題がたくさん眠っていると考えている。パートナーの方々にも、ぜひ、その点をビジネスチャンスとして意識してほしい」と伊佐氏は語る。

●常識を変えるスピード開発がパートナーのビジネスも変える

 kintoneが与えた最も大きなインパクトは、システム開発のスピードだ。打ち合わせ中にシステムを構築してしまうというスピードは、これまでのシステム開発ではありえなかった。kintoneのパートナー企業が数十万円の定額システム開発サービスを提供できるのも、そのためだ。

 一方、システム開発による問題解決を期待する顧客がいなければ、当然ビジネスにはなりえない。「業務部門への積極的なアプローチで、埋もれている現場ニーズを拾い上げ、新たなシステム開発市場を作り出す。ここで、パートナーの方々との協力関係をさらに広げていきたい」と、伊佐氏は未来を見据えている。


編集長の眼
新しいSIが生まれている

 クラウド上でシステムを開発できるkintone。その簡単さから、新しいSIが生まれている。例えば、ある程度利用できるシステムを事前につくっておき、システムを提案する段階で動くものをみせるということも可能だ。実際に動くのだから、どんなプレゼン資料よりも説得力がある。しかも、その場でユーザーの要望をシステムに反映できてしまう。クラウドだから、必要なのはインターネットにつながるPCのみ。サーバーの調達や開発環境の用意が不要だから、小規模なSIerにもチャンスとなる。次回は特別号で、SIerでありながら、kintoneの有力パートナーでもあるkintone Café運営事務局のみなさんに、率直な意見を述べていただく。

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