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2015/05/21 08:00

連載

[週刊BCN 2015年05月18日付 Vol.1579 掲載]

<畔上編集長が今、いちばん気になるクラウド>「kintone Café」運営事務局座談会 SIerが語るkintoneの魅力とビジネスチャンス

 「cybozu.com」利用企業が1万社を超え、「kintone」の利用の輪も広がるなか、「kintone Café」という動きが生まれた。開発者やユーザーが自発的に集まり、kintoneについて情報交換を行う勉強会コミュニティである。今回は、kintone Caféの札幌支部運営事務局からラジカルブリッジの斎藤栄氏、東京支部からジョイゾーの四宮靖隆氏と山下竜氏、大阪支部からアールスリーインスティテュートの金春利幸氏という4人のキーパーソンにお集まりいただいた。kintoneに対する熱い思いは、千差万別。サイボウズからkintoneプロダクトマネージャーの伊佐政隆氏が参加し、座談会にてその思いを直接ぶつけてもらった。kintoneの魅力や最適なビジネスモデルについて、熱論の様子をお届けする。

kintoneとの関わりとkintone Caféの目的

──今日はkintone Café運営事務局のみなさんに集まっていただきました。まずは、簡単な自己紹介と、kintoneとの関わりを教えてください。

斎藤 ラジカルブリッジは、私が2012年に前職を退職して立ち上げた会社で、今は一人でやっています。主なターゲットとする、小規模なお客様の案件に合ったサービスを探していた2013年3月、kintoneを知りました。

アールスリー
インスティテュート
金春利幸氏
金春 アールスリーインスティテュート(R3)は、2000年に大阪で創業しました。お客様の規模は、大きな会社の基幹系から小規模なものまでさまざまです。kintoneは以前から知っていましたが、使ってみようと考えたのは2014年夏です。それまではスクラッチ開発が中心でしたが、大きなシステムはわずかな機能追加だけでも手間やコストがかかります。それなら、kintoneで周辺システムを作り、結果のデータを基幹に流せばいいと考えたことから使い始めました。導入したお客様の評価はとても高いので、kintoneは今後いっそう伸びると思います。

四宮 ジョイゾーは2010年に設立し、もともと「サイボウズ Office」や「サイボウズ ガルーン」の導入を中心にやっていました。システム開発だけはしたくないと創業時から考えていましたが、従来とは違う形のシステム開発が、kintoneなら早く安く実現できることを知りました。そこで、当社のメインビジネスとして活用することにしました。

伊佐 システム開発の方がビジネスとして儲かるということは考えませんでしたか?

ジョイゾー
代表取締役社長 四宮靖隆氏
四宮 利益だけを求めるのであればそうでしょうが、われわれの満足はまた別のところにあります。お客様の業務改善に貢献できて喜んでもらえないと、仕事としての楽しさがない。その点、kintoneならお客様の要望を確認しながら簡単にかたちにできて、すぐに使ってもらえる。だから、お客様に貢献できる満足度の高いものが作れます。

山下 私は以前勤めていた企業もサイボウズさんのパートナーで、その時にはサービス企画の担当でした。そのなかで、システム連携にkintoneを使えないかと考えたことが始まりです。JavaScriptなどを勉強するようになり、kintoneのコミュニティに参加し始めたことが、ジョイゾーへ転職するきっかけとなりました。たぶん、コミュニティでは初の“kintone転職”だと思います(笑)。

伊佐 kintone Café設立のきっかけを作ったのは、斎藤さんでした。

斎藤 そもそもの始まりは、技術者だけでなく一般ユーザーの方にもkintoneの使い方を広めたいと考え、2013年12月に地元の札幌で開催した勉強会です。特徴は、サイボウズ主催ではなく、ユーザーが自主的に実施しているという点です。2014年から活動が一気に活発になり、日本全国で年間24回ものkintone Caféが開催されていて、プログラマ向けや女子会などテーマもさまざま。運営事務局ができたのも最近です。kintoneの知名度が高まり、ユーザーの方々にkintoneでこんなことができると知ってもらえれば、結果的に多くの会員が集まって、より有益な情報交換ができると考えています。

不要な開発を回避 ユーザーとSIerともに高メリット

──SIerの方々に、kintoneのビジネスの可能性を知っていただきたいと思いますが、kintoneで開発する意義をどうお考えですか。

ジョイゾー
山下竜氏
山下 私は前職の関係から、設備関係の企業に関わることが多いのですが、その業界では、保守のために管理ツールを入れるだけで膨大なコストがかかります。ニッチな市場ということもあって、パッケージの価格が高いうえ、ちょっとした改修でも数百~千万円ものコストがかかります。kintoneなら、データを連携して活用するといったシステムが、数十万円とケタ違いの低いコストで、しかも短期間で開発できます。それだけでも、本当にお客様のためになる開発ができると思っています。

四宮 kintoneのビジネスチャンスについて考えた場合、システム完成後の運用フェーズの使いやすさに意義があると思います。システムは入れて終わりではなく、運用開始後に変更や機能改善などの要望が出てきます。その点、kintoneならばお客様自身でもある程度の保守やカスタマイズができますから、一つの開発で価格がいくらというような、従来とは異なる新たなビジネスモデルを作らなければならないと思います。

斎藤 四宮さんのところでは「システム39」という、kintoneを使った39万円の定額システム開発サービスをいち早く始められましたが、当社も「ベストチーム365」という独自の業務アプリ構築サービスを定額で提供しています。システムを完成形として提供するのではなく、契約期間内で可能な限りいいものを作りましょうというコンセプトです。それだけに、お客様が期待されることと、実際にできることとのギャップは出てきますから、コミュニケーションを通じて埋めるよう努めています。

四宮 システム39は、定額のため価格交渉が不要です。また、初回作業を無料にして何ができるかをしっかりコミットし、その場で試作したものを使ってもらいます。これにより、お互いに無駄な作業と時間を費やさずに済むのです。

金春 当社も定額サービスを用意しています。kintoneのメリットは、いい意味で制限があることです。スクラッチの開発は何でもできるので、お客様の要望もどんどんエスカレートして、本来は不要なものまで作ってしまう。kintoneの場合は、制限があるなかで実現できることを突き詰めて、次に不足分を開発するのが有効だと考えています。

斎藤 私は、札幌という地域に有効なクラウドとして、kintoneの成功例を数多く作っていきたいと考えています。例えば、紙の台帳を使って予約管理をしているレストランが多いのですが、そこでkintoneを活用してもらう。札幌にはIT化が進んでいない小規模な事業者が多く存在するので、ブルー・オーシャンが広がっているようにみえます。

機能の切り出しで大規模システムにも対応

──定額サービスの話が出ましたが、kintoneは定額で提供できる範囲の小規模開発に向いているということでしょうか。

四宮 何を目標にするかで変わってきます。スクラッチ開発は、初めから100%の完成を目標としているのに対し、kintoneは最初に70%を作り、運用するなかで100%を目指していくというアプローチです。規模の大小とは関係ありません。kintoneでもかなりのことができますが、Javaスクリプトでカスタマイズを重ねるとソースコードが複雑化しかねないので、技術とノウハウは必要ですね。

斎藤 kintoneの最大の魅力は、ワークフローとコミュニケーションの機能が標準で提供されているところです。コミュニケーションにとって重要なデバイスであるスマートフォンにも、kintoneアプリが標準で対応します。こうした点は規模の大小と関係なく、大きなメリットだと思います。

山下 複数拠点でのデータ共有やモバイル対応は、とくにkintoneに最適な例ですね。

サイボウズ
kintone
プロダクトマネージャー
伊佐政隆氏
金春 大きなシステムも、さまざまな機能の集合体ですから、一つひとつの機能として切り分けていくと小さくすることができます。私は、業務はシンプルであるべきと思っていますし、大規模システムも切り分ければ、kintoneで構築することが可能と考えています。

伊佐 もし、kintoneを一言で表現するとしたら、何と表現されますか。

四宮 システム構築では、マスタ管理画面(バックエンド)の作成が意外と大変です。その点、kintoneは簡単に作れてしまう。その時間とコストの圧縮効果が抜群のツールです。

山下 お客様の要望をすぐに反映できる。その速さが魅力のツールです。

ラジカルブリッジ
代表 斎藤栄氏
斎藤 エンドユーザー自らアプリを作成できることに加え、システムのプロの要望にも十分に対応できる幅の広さが魅力のツールです。

──最後に、kintoneに望むことやkintone Caféの今後について、お考えを教えていただけますか。

四宮 kintoneのよさはお客様と同じ目線でやり取りしながら開発できること。そこに楽しさを感じているので、今後も、あまり複雑化せずシンプルであってほしいと思います。

金春 まだkintoneでの経験が浅く、潜在能力を十分には引き出せていないというのが現状です。それだけに、まだまだ大きな可能性があると感じています。

山下 kintone Caféをはじめとするコミュニティが、さらに盛り上がってほしいですね。

斎藤 kintone Caféの運営事務局ができ、支部も立ち上がってきたので、今年は横のつながりを強くしたい。そして、kintoneのよさを広く伝えて、普及させていきたいと思います。


編集長の眼
SI常識を変えた定額システム開発サービス

 kintoneによって登場した「システム39」や「ベストチーム 365」という定額システム開発サービス。一般的なシステム開発では、案件ごとに見積もりを出す。金額に折り合いがついて初めてシステム開発が始まる。定額システム開発サービスは、定額だから開発金額の交渉がない。発注側も受注側も、余計な駆け引きが不要な明瞭会計でシステムを開発できるというメリットがある。これはありそうでなかった。使いやすさを徹底的に追求したkintoneの成果である。

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