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2006/06/05 11:00

連載

[週刊BCN 2006年06月05日付 Vol.1140 掲載]

<SI新次元 経常利益率10%への道>2.トランス・コスモス(下)

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「CAD事業」の先駆けが飛躍のバネに

09年度には、売上高を倍増させる

 1989年10月、トランスコスモスは日本証券業協会に株式店頭登録。当時は「4本柱」の事業で構成されていた。その1つが「CAD事業」。ここで得た“知恵”は、現在の高利益体質を維持する大きな原動力となった。

 当時の「CAD事業」は、IBM製の2次元CADソフトウェア「CADAM(キャダム)」を使った大手ゼネコン向けのコーダーの請負業務に過ぎなかった。すなわち、仕様書をプログラムコードに変換する「下流工程」だ。「派遣の延長線上にある仕事で、そんなに利益が上がらなかったと記憶している」(小板橋豊次・東日本システムソリューション部部長)と述懐する。10年ほど前、この低利益率事業の大転換に着手。まず「優秀な人材の塊をゴソっと入れた」。韓国の自動車会社を退職した3次元CAD技術者約50人を一挙に受け入れた。最先端の自動車設計ノウハウを手に入れるためだ。

 当時、日本でIBM製の3次元CADソフト「CATIA(キャティア)」を自在に扱う人材を抱えたアウトソーシングIT企業は、トランスコスモスのほかに存在しなかった。ほどなく、本田技研工業や日産自動車などで、利益率の高い「上流工程」の自動車設計を受託。韓国の技術者を獲得する大英断は、見事に実を結んだ。昨年度(06年3月期)の売上高で1割を占めるCAD/CAM関連の「エンジニアリング・ソリューション(ES)事業」を確たるものにした。

 この大英断がもたらしたのは、「事業基盤確立」「高利益率体質」だけではない。人材確保の面では、「CAD事業」で得たノウハウを生かし、韓国や中国の人材を積極的に登用、人件費や採用経費などの削減をもたらす。

 韓国の大手新聞社、中央日報が出資するコンピュータスクールに参画。トランスコスモスが求める技術スキルや日本語力の基準を示し、10か月間の研修を課している。「このなかから、優秀な人材を選別し、オンサイト型サービスなどで登用している」。日本のIT人材は現在、“超売り手市場”。採用コストは1人当たり10万円以上にのぼる。一方でトランスコスモスは、この方式により「採用コストは、ほぼゼロ」を実現している。

 昨年9月に「受託開発」を休止した同社だが、この事業を来年度にも復活させることは前号で触れた。ES事業やサポートデスク(SD)事業では、大企業の顧客基盤を持っており、「両事業の顧客に複合サービスを提案し、システムのアップセルを狙う」ことで、新規開拓の必要がなく営業費用も浮くという手はずだ。

 徹底したコストカット。浮いたコストは新規事業開拓に振り向ける。5月22日に発表した同社の「中期事業計画」では、09年度(10年3月期)までに今年度の倍以上、売上高2200億円、営業利益160億円の経営目標を掲げている。「他社よりも先に取り組み、儲けを出せば好循環が生み出せる」。最新技術や事業を先駆けて取り込み、持続的な高利益体質を築くことが成長のための重要な要素となる。(谷畑良胤●取材/文)

(次回はインフォメーション・ディベロプメント)
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