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2011/02/23 17:00

Special Issue

ステップワイズ、販売管理システムを「Microsoft Windows Azure Platform」上で提供

 中小企業向けのソフトウェア開発を手がけるベンチャー企業のステップワイズ(長谷川誠代表取締役)は、2010年から、自社のクラウド型販売管理アプリケーション「VENTA for Silverlight」をマイクロソフトのクラウドサービス基盤「Windows Azure Platform」上で提供している。ステップワイズは、これまで販売管理システムを顧客先の環境やデータセンター(DC)で提供してきたが、保守に多大な労力とコストを要していた。そこで、運用保守の手間を削減できるクラウドへの移行を決断。オンプレミスで培ったノウハウをそのまま活用できる「Windows Azure Platform」を選択した。

「Windows Azure Platform」リリースを機に販売管理システムをクラウド化

 2005年に設立されたステップワイズは、愛知県名古屋市にオフィスを構え、主に中部地域の中小企業顧客を中心に、システムコンサルティングと受託開発のビジネスを展開 。会計・人事・総務関連のシステムや、GISを活用した車両動態管理システムなど、幅広いシステムを手がけている。08年には「マイクロソフトITベンチャー支援プログラム」の対象に選ばれ、また輸入商社の販売管理システム開発をきっかけに「中部IT経営力大賞」の「サポート優秀賞」を受賞するなど、今後の活躍が期待される企業だ。

 「中小企業に利益をもたらしたい」という思いから生まれた自社ブランドの販売管理システム「VENTA」は、安価で導入・維持しやすいシステム。これまではオンプレミスか自社の運営するDCを通じて提供していた。その際、サーバーの設置やソフトウェアのインストール・設定、DCの保守は、すべて自社で行っていた。長谷川代表取締役は、「1か月に一度は障害対応でデータセンターに走ったり、顧客ごとの細かい管理が必要だったりと、大変な労力を要していた」と当時を振り返る。

長谷川誠代表取締役

 そこで、システムを数あるクラウドの中からPaaS型クラウド環境に移行することを決断。PaaS型クラウドを利用すれば、ハードウェアの保守・管理コストは一切なくなる。また、中小企業はシステムの初期投資や、ハードウェアのリース代、光熱費など多額の維持コストを削減し、企業の成長度合いに合わせたシステムのスケールアウトを実現することができる。

 ステップワイズは09年、マイクロソフトの「Windows Azure Platform」リリースによって、まずは当時PHPで開発していたシステムをASP.NETに移行した。サービス型に移行したのは、これまでの受託開発から脱却し、ノンカスタマイズに近い格好で提供するのが目的だった。ところがクライアントソフトの操作感に比べると使い勝手が悪く、逆に顧客から改修やカスタマイズの要望が後を絶たなくなってしまった。ステップワイズは、当初の目的を果たすことができなくなったため、いったんASP.NET版の販売をやめた。そしてリッチインターネットプラットフォームである「Silverlight 4」の登場を機に、機能を絞りながら表現力を格段に向上させることで、カスタマイズを極力少なくできるようにした「VENTA for Silverlight」を発売した。

オンプレミスのスキルをクラウドに、運用管理コスト削減もメリット

 国内のほとんどの企業が利用し、ビジネスには必要不可欠のマイクロソフト製品。そのマイクロソフトが提供する「Windows Azure Platform」は、これまでソフトウェア開発ベンダーがオンプレミスで培ってきたスキルやアプリケーションを、そのままクラウドで生かすことができる。長谷川代表取締役は、「Windows Azure Platformの最大の特徴は、リレーショナルデータベース(RDB)である『SQL Azure』が利用できることです。ビジネスアプリケーションは、RDBがないとほとんど仕事になりませんから、大変ありがたい」と話す。

 また「VM(仮想マシン)ロール」によって、既存のWindows ServerアプリケーションをWindows Azure Platformに対応させる選択肢が増えるなど、継続的な機能強化が行われている点も見逃せない。「これまで、ランニングテストやソフトウェアのアップデートなどの周辺作業に非常に時間が取られていたが、今後は本来の仕事であるアプリケーション開発に時間が充てられる。大変メリットを感じている」(長谷川代表取締役)。

 ステップワイズは、09年にマイクロソフトのITベンチャー向け開発支援プログラム「Microsoft BizSpark」に登録。このプログラムに参加したことも「VENTA for Silverlight」開発の一助となった。

 「Microsoft BizSpark」のメンバーは、マイクロソフトの統合開発環境、クラウド環境や技術サポートを3年間無償で提供される。長谷川代表取締役は、登録の理由を「それまで開発ツールのライセンスを購入するのに多額の費用がかかっていた。無償で使わせていただけるなら使いたい、と思ったのが一つ。また、これによってISVパートナーロゴを取得して、あわよくば露出を増やしたいと考えた」と語った。

 「Microsoft BizSpark」では、「Windows Azure Platform」の利用が、月750時間無料になるほか、さまざまなマイクロソフト製品のライセンスの無償提供を受けることができる。ステップワイズでは、今まで踏み込めなかった環境を試すことができ、ノウハウやスキル向上にもつながったという。また、「Microsoft BizSpark」を通じて自社のソリューションに注目が集まったことで、これまでの受託開発志向から「アプリケーションベンダーとして、サービスを提供することで成長につなげる」というマインドに社風が変わり始めているという。

「Windows Azure Platform」を基点に新たなビジネスを模索、海外進出も視野に

 ステップワイズは、今後、モバイルデバイスを利用した「VENTA for Silverlight」の営業向けソリューション開発に着手する。 フロントインターフェースに「Silverlight」を採用していることから、「Windows Azure Platform」を基点として、PC、スマートフォン、スレートPCなど、デバイスに依存しない新たなソリューションによるビジネスチャンスを模索する。

 今後は、「VENTA」のすべてのソリューションを「Windows Azure Platform」で提供することを考えているという。今はまだ、国内の中小企業向けのシステムが中心だが、将来は海外進出も視野に入れる。そのために必要となるのが、海外でも戦うことができる“製品力”。“製品力”をつけるために、ステップワイズが日本マイクロソフトに期待するのは、グローバルレベルの情報提供だ。長谷川代表取締役は「世界では今、どんな取り組みをしているのか。日本でいつ、何がリリースされるのか。世界の新しい潮流が日本に上陸しようとしているとき、現在開発に必要なものは何か。そんなグローバルのビジネス情報をタイムリーに出していただければ、海外に進出しやすくなります」と要望を語った。

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