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2011/03/24 09:24

[週刊BCN 2011年03月21日付 Vol.1375 掲載]

Special Issue

<IT Market Analysis>ソニーマーケティング/日立製作所 パートナーから見たPC管理ツール選定のポイント

 ノークリサーチが中堅・中小企業(SMB)を対象に「重点投資項目」を調査したところ、最も多いのが「クライアントPC」への投資であった。つまり、SMBの間では、生産性を高めるためのツールとして、相変わらずPCが重要視されているということだ。こうした状況で、課題として浮かび上がってくるのは、「運用管理」である。情報漏えいを未然に防ぐという観点からも、手間なく効率的にPCの運用管理を実現することができるツールが求められている。そうしたSMBのニーズに応える動きとして、アナリストとしての私は、ソニーマーケティングと日立製作所の連携に深い興味を覚えた。(取材・文/ノークリサーチ シニアアナリスト 岩上由高)

ハードとソフトが融合 第三世代PC管理への胎動

ソニーマーケティング
法人営業本部法人営業部
統括部長
坂田安司 氏
 このところ、クラウドに関連するニュースが絶えずメディアを賑わす状況が続いている。だが、ノークリサーチがSMBに対して実施した「2010年中に重点的に投資する項目」では、様相が少し異なる。最も多く挙げられたのは「クライアントPC」(以下、「PC」と略記)なのである。

 SMBでは、Windows Vistaへのアップデートを避けて、Windows XP搭載機の利用を続けた企業が少なくない。そうした企業がWindows7のリリースに合わせてPCの刷新に着手したのが2010年というわけだ。クラウドが広く普及しても、PCはユーザーが手元で使用する端末の一つとして存在し続けることは間違いない。PCは社員が日々利用するという観点からすれば、業務効率を大きく左右する。また情報漏えい防止という点からの管理も欠かせない。したがって、2011年もPCおよびPCの運用管理は引き続き注目すべき分野といえる。そうしたなか、企業向けにもVAIOを展開するソニーとJP1でPC運用管理に多くの実績をもつ日立製作所が連携した「VAIO Care + Hitachi IT Operations Director」ソリューションは今後のPC活用を考えるうえで注目すべき動きだ。

 そこで、ソニーマーケティング法人営業本部法人営業部の坂田安司統括部長と日立製作所ソフトウェア事業部システム管理ソフトウェア本部グローバルシステム管理ソフト設計部の今井厚祐部長のお二人に今回の連携ソリューションについてお話をうかがった。


SMBの実情に照らしてゼロから設計

 一般消費者向けで多くの販売実績をもつソニーのVAIOシリーズだが、それをビジネス向けに展開しているのが「VAIO BUSINESS」である。資産管理にかけるリソースを確保することが難しいケースが多いSMBのユーザーにとって、馴染みのあるソニーブランドと一般消費者向けで培われた使い易さや分かり易さは大きな選定ポイントとなるだろう。昨今では、一般消費者向けで普及したプロダクツやサービスが企業向けにも浸透する「コンシューマライゼーション」の事例も多く、ソニーにとっては追い風だ。実際、ソニーマーケティングの坂田統括部長は「コンシューマとビジネスの境界線が徐々になくなってきている」とみている。さらに「PC自体は『入れ物』なので、それを土台にどのようなサービスを展開するかが重要」と、ハードウェア視点にとどまらないビジネス展開も見据えている。

 PC活用において避けることができないのが情報漏えい対策などの運用管理だ。だが、SMBでは実業務のかたわらでITの運用管理に携わるケースが多い。専任のIT担当者を必要としないPC管理ソリューションは、SMB向けPCでは必須といえる。そこでソニーマーケティングが選んだのが、日立製作所の「Hitachi IT Operations Director」(以下、「Director」と略記)だ。企業向けPC管理では信頼と実績が不可欠な要素となる。「Director」は統合システム運用管理ソフトウェアJP1で随一の実績をもつ日立製作所が開発したものであり、その点での信頼度が選択の大きなポイントになったとソニーマーケティングの坂田統括部長も指摘する。

日立製作所
ソフトウェア事業部
システム管理ソフトウェア本部
グローバルシステム管理
ソフト設計部 部長
今井厚祐 氏
 一方、日立製作所の今井部長も「専任のIT担当者がいないというSMBの現状を十分に意識した」と語る。「Director」は大企業向け製品の機能を削ったものではなく、SMB向けにゼロから設計されたものだ。例えば、日々の業務に必要な機能への直感的なアクセスやストレスを感じさせない使いやすさ(ユーザビリティ)を実現。世界的に著名なデザイン賞(※)を受賞した。また、昨今のPC管理では「個々の社員のPC操作ログを取得する」という機能が重要視される傾向がある。だがログを保存するために別途データベースが必要な場合、それを管理する手間が新たに発生することになる。運用管理負担を減らすために導入したはずのツールが新たな運用管理負担を生むという本末転倒な状況にも陥りかねない。

 その点、「Director」はログ保存に必要なデータベースが内蔵されており、溜まったログデータを自動的にファイルとして出力して保存しておく機能が備わっている。「運用管理ツールのための運用管理作業」を発生させない設計思想といえるだろう。

日立製作所の「Hitachi IT Operations Director」。SMB向けにゼロから開発されたPC管理ツール

問い合わせ窓口を1本化

 こうした複数のメーカーがからむ連携ソリューションで課題となるのは、運用段階でのユーザー企業からの問い合わせ窓口の一本化だ。VAIOとDirectorの各々がどんなにすぐれていても、何か問題が発生した際、「これはハードの問題だからソニーの窓口、これはソフトの問題だから日立の窓口」といった切り分けを行わなければならないとすると、別々に製品を買ったのと何ら変わらないことになる。それを解消するため、今回の連携ソリューションではVAIO、Director、管理用サーバーのすべてに対して一本化された一次切り分け窓口がソニーマーケティングに設けられている。また、「技術面においても両社が密なコミュニケーションを図った」と坂田・今井の両氏は語る。

 その成果の一つがPCのバッテリ劣化状況を確認できる機能だ。バッテリ劣化は事前の把握が難しく、ノートPCの社外利用ニーズが高いSMBでは業務効率の低下や運用管理の負担増の要因にもなりかねない。両社が緊密に連携することで、一見地味ではあるものの、重要度の高いソリューションが実現できたといえる。将来的にはモバイル環境でのセキュリティ対策が「今後、注力すべき分野」と日立製作所の今井部長は語る。


・アナリストの眼
ノークリサーチ シニアアナリスト 岩上由高


 これまでのPC管理は、「アプリケーションの棚卸し」といった資産管理に重点が置かれていた。このやり方は第一世代のPC管理といえる。その後、不正アプリケーションの利用禁止や操作ログの取得といったソフトウェア面での管理/監視まで範疇が広がってきた。これは第二世代のPC管理と位置づけられる。今後、「PCの状態を元に戻す」といったOSまで含めたPC内の全体を管理するとなると、PC本体(ハード)とOSなど(ソフト)の間で互いを認証するなどの仕組みも必要になる。不正なOS+アプリケーションをPC内に送り込まれるといったことも起こり得るからだ。第二世代のPC管理は、必要な機能をネットワークから取り込んで利用するスマートフォンではさらに重要になる。

 このようにハードとソフトが緊密に連携することで、利便性と安全性をさらに高めた状態が第三世代とでも呼ぶべき新しいPC管理である。今回の連携ソリューションはそうした第三世代のPC管理の到来を予感させる取り組みではないかと感じている。


掲載企業
株式会社 日立製作所 ソフトウェア事業部
TEL:03-5471-2592 URL:http://www.hitachi.co.jp/itoperations/

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