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2011/05/30 11:00

[週刊BCN 2011年05月30日付 Vol.1384 掲載]

Special Issue

勢いづくDCビジネス “所有から利用へ”の流れが強まる (1/2)

 データセンター(DC)関連のビジネスが勢いづいている。クラウドコンピューティングに代表される「所有から利用へ」の流れに加え、首都圏・東日本の電力事情の悪化で、事業継続プラン(BCP)の一環としてDCを活用するユーザー企業が急増しているからだ。同時に、有力SIerやITサービスベンダーも、DCへの設備投資に力を入れており、DCを活用したビジネスは右肩上がりで伸びる勢いである。

BCPやDRPの重視も顕著に

災害耐性を発揮

 クラウドコンピューティングのアーキテクチャは、「物理的な分散処理」と「論理的な集中管理」を組み合わせた構造になっている。つまり、サーバーはどこに設置してあってもよく、サーバーリソースは仮想化技術によって集中的に管理できる。サーバーは、災害に対する耐性が高いデータセンター(DC)に設置してあることから、首都圏・東日本の電力事情が悪化するなかでも、ネットワークを介して安定的、効率的にITリソースを確保しやすい。

 これまでは、主にコスト的な観点から、自らIT資産をもたずに、SIerやITサービスベンダーのITリソースを利用する「所有から利用へ」の流れがメインだったが、東日本大震災後は事業継続プラン(BCP)やディザスタリカバリプラン(DRP)の要素がより重視されるようになった。とりわけ、電力供給が不安視される今夏を直前に控え、ユーザー企業は自らの事業所内に設置していたサーバーなどのIT機器を、自家発電施設を備えたDCへ移設する動きが相次いでいる。
 有力SIerは、今回の震災を見越していたわけではないものの、かねてからの「所有から利用へ」の流れを見据えたDC投資を進めてきた。大手SIerのITホールディングスグループ(ITHD)のTISは、2011年4月、東京・御殿山に約3000ラック規模の大規模・高規格のDCを開業。ITHDグループのインテックも本社のある富山県でDC投資を積極的に進める。ほかにも、新日鉄ソリューションズ、キヤノンマーケティングジャパン、野村総合研究所(NRI)など、大手SIerが2012年から2013年にかけて大型DC竣工に向けた準備を進めている。

DCを商機にビジネス伸長

 供給側がユーザーニーズに応えていくことで、DCを活用したアウトソーシングは拡大基調で推移する。調査会社IDC Japanによれば、国内DCアウトソーシング市場は2014年まで年間平均成長率8.8%で伸び、金額ベースでは2010年の8333億円から2014年には1兆2065億円に拡大すると予測している。DCを活用したITサービスだけでなく、ハードウェアについても新規開発が熱を帯びている。

 富山に本社を置くサーバーベンダーのエーティーワークス(伊東孝悦社長)は、DCでの運用に特化したサーバー開発に重点を置くことで、販売台数を大幅に伸ばす。出荷台数は、2011年2月期で実に前年度比約1000台増の6000台。2012年2月期には、さらに1000台積み増して7000台の販売計画を立てている。ここ数年は「(販売数の伸びの)天井が見えない」(伊東社長)と、好調に推移している。

 エーティーワークスは、国内でも有数の規模を誇るホスティング/クラウドサービス「at+link」を、リンクと協業して1996年にスタート。同社は、このサービスで必要な省電力・省スペースサーバを開発・生産してきた。大手サーバーメーカーがカバーしきれない細かなニーズを的確に捉えているのが強みだ。

 飽和感が強まる国内情報サービス市場にあって、さらに震災のダメージによる企業や消費者心理の冷え込みによるIT投資抑制が懸念されるなかでも、DC関連のビジネスは力強く伸びている。また、首都圏に約7割が集中しているDCリソースも、今後はBCPやDRPの観点から地方への分散の必要性に迫られている。SIerやITベンダーには、過去のビジネスモデルに縛られることなく、これから伸びるビジネス領域へのシフトをより急ぐことが求められている。

 エーティーワークスの取り組みについては、次ページで詳しくレポートする。

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