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2013/03/28 09:08

[週刊BCN 2013年03月25日付 Vol.1474 掲載]

Special Issue

日立製作所 中国の現地企業にも導入が進む「JP1」 顧客ごとのニーズに対応

 日立製作所は、国内で豊富な実績をもつ統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」を世界市場にも展開し、ユーザーの高い評価を得ている。中国市場にも2003年に本格進出しており、日系企業だけでなく、現地企業に対してもすでに多くの導入実績がある。日本企業がIT分野で長年蓄積してきた技術力を活かした成功事例といえよう。中国での「JP1」事業の責任者である日立(中国)信息系統有限公司 軟件事業部の森保治・総経理と、中国市場向けソリューション開発を担当する高橋亨・日立製作所 ITプラットフォーム事業本部ITマネジメントソリューション開発部主任技師に、中国の運用管理ソフト市場の現状と展望、「JP1」の事業戦略などを聞いた。

IT運用の効率化、自動化に追い風

 中国経済といえば、かつては人的リソースの圧倒的な「量」によって発展してきたが、中国政府の統計によると、労働人口はついに減少に転じた。一方で、賃金の上昇率は毎年10%を超えている。森保治・日立(中国)信息系統有限公司 軟件事業部総経理は、「産業の種類を問わず、省コストへの圧力が高くなり、効率化、自動化がキーワードになってきている」と指摘する。

 そうした市場の追い風を受け、日立製作所の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」は、中国で着実に実績を伸ばしている。ITシステム運用の自動化や稼働性能監視、資産管理、セキュリティ管理などを統合的に行うことができ、日本国内はもちろん、アジアでもトップクラスのシェアを誇る。

 当初は日系製造業での導入が中心だったが、近年では、現地金融機関や政府系機関などでの導入が目立つ。今年も銀行2行での採用が決定しており、「とくに信頼性の高いIT運用が求められる分野で自動化ニーズが高まっている。人間のオペレーションに頼ると、どうしてもミスが起こりやすい」と、森総経理は「JP1」の売れ行き好調の背景を説明する。

「JP1/AJS3-SDK」で構築したGUIデモ画面

 システム運用の現場では「業務効率の向上による労働時間の短縮を歓迎している」(森総経理)ほか、マネージャー層からは、ナレッジマネジメント・ツールとしての機能や、従来、システムのオペレーションに割いていたリソースを新規事業などに配置できるという副次的な効果も高く評価されている。

(写真左から)日立(中国)信息系統有限公司 軟件事業部 総経理 森保治 氏、日立製作所 ITプラットフォーム事業本部 ITマネジメント ソリューション開発部 主任技師 高橋亨 氏

カスタマイズできるGUIを提供

 ただし、日本の製品がそのまま中国市場に受け入れられたわけではない。日立製作所は、北京にJP1ラボを設立するなどして、現地のニーズに適合したソリューション、機能を継続して研究・開発してきた。そうした流れのなかで、このほど、最新のニーズに応えるソリューションとしてリリースするのが、「JP1/Automatic Job Management System 3-Software Development Kit(JP1/AJS3-SDK)」だ。「JP1/AJS3」の管理画面を作成できるAPIで、顧客ごとに最適化したウェブベースのGUIが提供可能になる。

 同社ITプラットフォーム事業本部の高橋亨・ITマネジメントソリューション開発部主任技師は、開発の経緯について次のように説明する。「中国の顧客に共通するニーズは、従来手作業に依存していた日常業務を自動化管理できること。また、IT運用に携わる人員が多いので、ウェブベースのGUIがほしいという意見も多かった。また、画面のデザインや機能に対するニーズは顧客ごとに異なるので、パッケージだけで対応するのは困難と判断して、APIを提供することにした」。

 「JP1/AJS3-SDK」は、販売パートナーにとっても、付加価値のある導入提案の大きな武器になる。日立製作所は現在、JP1ラボで「JP1/AJS3-SDK」を使ってGUIを構築したデモシステムを開発しており、これを拡販ツールとして活用する方針だ。さらに、このデモシステムのソースコードをサンプルとしてパートナーにも公開し、多様なルートでより多くの顧客のニーズに応えられる体制を整備する。

 加えて、「JP1」単体の営業活動のみならず、ハードウェア事業とも連携した統合プラットフォームの提供も模索する。「日立グループは社会インフラ系のシステムも中国で展開しており、それらと紐づけて幅広く『JP1』を提案していく。中国政府も内需拡大を掲げており、商機は確実にある」と、森総経理は中国市場でのシェア拡大に期待感を示す。

 しかし、ライバルとなる中国国内のベンダーも、虎視眈々と市場攻略のチャンスをうかがっている。高橋主任技師は「日本市場と同じ感覚では、中国市場の変化にとてもついていけないが、日立グループは最新のニーズに俊敏に対応できる体制を整えた」と話しており、ライバルの攻勢を正面から受けて立つ構えをみせている。

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